1.施設の概要
大源太川第1号砂防堰堤は、大源太川の「四十八滝」と称する地盤の強固な狭窄部に築造された、直轄砂防事業として日本で最初に完成したアーチ式砂防堰堤である。 昭和10年に魚沼地方一帯を襲った暴風雨によって引き起こされた災害を契機とし、直轄砂防事業による集中的な砂防工事が開始されたが、大源太川での対策として本堰堤が計画・施工されている。堰堤サイトの岩盤が良好であったことから、経済的に有利なアーチ式砂防堰堤を採用したものと考えられる。計画貯砂量は550,000m3にものぼり、河床堆積土砂の流出を抑え、下流の湯沢町中心部の発展に寄与している。 堤体は「粗石コンクリート構造」で構成されており、優れた技術を有する石工職人らによって築造された。本体表面の石積みとアーチ構造が織り成す景観は、現代においても朽ちることなくその美しさを保っている。 また、第2次世界大戦後、アメリカ軍が本堰堤の暗渠を閉塞し、水を貯留させてボート遊び場として利用したことから、リゾート施設としても使用され、現在は周辺のキャンプ場等観光施設と併せて、「大源太キャニオン」として親しまれている。
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図-1 位置図 |
2.施設の諸元
形式:アーチ式砂防堰堤(シリンダー公式による定半径アーチ堰堤) 構造:練積コンクリート堰堤 本堰堤:高さ 18.0m、長さ 33.0m、体積 1,609m3、天端幅 2.2m 副堰堤:高さ 3.0m、長さ 10.0m、天端幅 1.5m 計画貯砂量:550,000m3
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【写真−3 完成後、右岸側より望む】 |
【写真−4 本堰堤施工中 高さ7m上り】 |
【写真−1 砂防堰堤全望】 |
【写真−2 大源太湖上の吊橋(歩行者専用)】 |
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