「公園は実に良く出来ている」審査員のだれもが異口同音に発した感想である。しかし、「廻りが、、、」と言って口をつぐんでしまう。
本年、新たに設定された「奨励賞」は、あるレベルには達し良く出来ているが、何らかの惜しまれる問題が残ったものを対象としている。この「片山津温泉砂走公園」は、片山津温泉の中心に位置し、温泉街活性化の基幹施設とも言えるものである。そこは、水生植物の池を巡る大らかなランドスケープと、足湯施設が程良く組み合わされており、全体と部分のデザインバランスも高いレベルにある。
しかし、周辺の景観があまりに貧しく、公園の背景として相応しいとは言い難い。周辺地区との連携を意図したことは理解できるが、温泉街からの「見え」をもう少し考えても良かったのではないだろうか。現在の植栽が、今後成長したとしても、この問題は改善するとは考えにくい。公園自体のデザインレベルが高いだけに残念な作品である。
(田中)
部分の写真ではよくできていると思えるのだが、全体の写真ではそのよさが伝わってこないというのが一次審査のときの印象だった。まわりの雑多な風景が目に入りすぎるのである。現地を訪れて確信になった。おそらく、周囲に開かれた公園を目指したのだと思うし、周囲が変わることを期待したのかとも思われるが、考えすぎだったのではないだろうか。空間は、モノとモノのあいだに在る。少なくとも、雑多な住宅群の二方部分はここまで開放的に見せないほうが良かっただろう。空間をつくる素材には残念ながらなり得ないし、変化を期待するには無理がありそうだ。領域性を確保しつつ周囲とも連続間のあるデザインを目指すべきだったのではないだろうか。周囲の大地も良く見れば緩やかなアンジュレーションを作っているのだが、ここではもう少し大地の扱いに大胆さがあってよさそうだ。空洞化が激しく曇天の続く冬の寂しい風景の中では、特にそう感じさせる。
(江川)
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