福岡市営地下鉄七隈線トータルデザイン

所在地:福岡県福岡市中央区渡辺通5丁目 ほか 地図
事業者:福岡市交通局

 

受賞者

氏名
所属(当時)
役割
佐藤優 福岡市 地下鉄デザイン委員会 委員長 ・トータルデザインプロデュース
赤瀬達三 (株)黎デザイン総合計画研究所 ・土木構築・駅舎・サイン・営業設備・車輛等のトータルデザイン
定村俊満 (株)ジーエータップ ・土木構築・駅舎・サイン・営業設備・車輛等のトータルデザイン
横田保生 (株)ジイケイグラフィックス ・土木構築・駅舎・サイン・営業設備・車輛等のトータルデザイン
廣谷勝人 (株)ジーエータップ ・土木構築・駅舎・サイン・営業設備・車輛等のトータルデザイン
宮沢功 (株)ジイケイ設計 ・土木構築・駅舎・サイン・営業設備・車輛等のトータルデザイン
福岡市 交通局 ・建設事業の推進

 

講評
 デザインとコストをどう調和させるか。デザインに気をとられて出来上がった構造物に、どうしてここにこれほどのカネをかけるんだろうと思わせるような候補もある一方で、コスト削減に正面から取り組んだものとして七隈線の試みは賞賛に値すると思う。トンネルの断面を小さくすることで、駅舎、車両も狭い空間のなかでどう快適さを実現するか、ユニバーサルデザインをどううまく組み込むかという課題の解決策として、多様な試みの調和が見て取れる。
 じっさい車両に乗ってみると、たしかに小さい。内部は狭いので、利用する女子学生には不満もあるという話を聞いた。座ったとき、向かいの席が近いのである。しかし、これは制約上やむを得ないこととして前提されたことであり、その他の工夫、たとえば、色彩や間接照明、エスカレータの上下の空間、手すりの位置、ホームから改札に出るエレベータの位置など、どれもデザインのコンセプトによる統一感が感じられた。一言で表現すれば、「かわいい」地下鉄である。(桑子)

 

  福岡市中心部の天神南から西区の橋本まで、12km間を24分で結ぶ鉄輪式リニアモーター式の地下鉄である。この地下鉄の特徴を一言で言うならば、車両を含め小ぶりで、親しみやすい空間デザインということであろう。駅舎はそれぞれの立地を考えたデザインとなっているが、共通点は軽快で明るくすっきりとしたデザインという点である。難を言えば、駅舎の建築部から地下空間構造物への取り付け部、駅の壁材と柱のデザインとの不整合などがみられるなどトータルデザインへの取り組みがもう一歩である点であろうか。イメージカラーは緑で、駅員の制服まで緑なのは面白い。乗って楽しい地下鉄である。(島谷)