所在地:大阪府大阪市北区中之島1 地図
事業者:大阪市ゆとりみどり振興局
氏名 |
所属(当時) |
役割 |
西辻 俊明 |
株式会社現代ランドスケープ | ・計画・設計デザイン全般 |
小田 雅俊 | 株式会社現代ランドスケープ | ・バラ園設計担当 |
幡 知也 | 株式会社現代ランドスケープ | ・剣先・風と光の広場設計担当 |
登坂 功 | 株式会社現代ランドスケープ | ・公会堂前広場他設計担当 |
増田 昇 | 大阪府立大学大学院教授 | ・中之島公園再整備基本計画策定委員会委員長 |
株式会社東光コンサルタンツ大阪支店 |
・土木設計アドバイザー | |
京阪園芸株式会社 | ・バラ園設計アドバイザー | |
大阪市ゆとりとみどり振興局 | ・事業主体 |
京阪中之島線、なにわ橋駅で下車し地上に上るとすぐ目の前に中央公会堂や中之島図書館が見える。川の両側に立ちはだかる高層ビルや高速道に挟まれた、まさに残された都会のオアシスだ。
大正から昭和初期にかけての歴史的建造物や橋梁群を眺めながら、ゆっくりとくつろぎ、散策出来る空間がここの最大の特徴であり、全体的にはそれらを引き立てるようなさりげない整備を行っている。親水性は最も優先されるべき要素で、可能な限り水際に遊歩道をとり、視点場にはバルコニーを設けるなどの手法は成功している。目立たないがそこに設置されているフェンスは素材、ディテールまで秀逸である。実はこのフェンスの存在が水際をキリッと締めることに成功している。
夕刻から歴史的な橋梁はライトアップされ、公園の照明が点灯し始める。バラ園周辺にジョギングや散歩に訪れる市民は、昼よりもむしろ多く感じる。ただ想像していたより歩道照明が明るくしかも輝度が高く。天神橋のライトアップも引き立たない。中之島公園通りの照明も明るすぎて情緒がない。中央公会堂のほんのり照らし出された夜景を見るとやや残念だ。
大切なのは古き良き施設群、そして水辺、散策スペース、それら全体が醸し出す風景である。そういう意味でこの空間はヒューマニックで情緒的であるべきであろう。事業者間の調整は容易ではないだろうが、相互にハーモニーを奏でるセンスがもう少し考慮されると、より空間の質が高まったのではないかと思った。(南雲)
川は古来“結界”の役割を持つとされているが、この再整備地区をはさむ二つの川が、周辺の市街地とは異なる気分を提供している。加えて、計画地に架かる3つの橋が仕切りとなって、橋下をくぐる毎に景観の変化を楽しませてくれる。全般に大川の分流である堂島川と土佐堀川の水面景観を強く意識した横断構造で、さまざまな高さの視点場が用意されている。水際部の処理も5~10年という高い確率の建築物への浸水予測にも関わらず、パラペットなど目障りな高潮対策の設備を排し、親水性を確保するコンセプトやデザインは評価される。
淀屋橋から上流にかけて難波橋間は、イベント等の賑わい空間として石材が多用され、階段護岸など幾何学的であるが、新たな植栽部や垂直壁の基部に土盛し、堅苦しさを緩和している。
難波橋から阪神高速道高架橋までは、ローズガーデンの再整備地区である。この地区は、トイレやレストランの建物構造や色彩がすっきりとしたデザインで配置されている。また、バラを主体とした植栽もゆとりをもって配置され、街灯や木製スチールが上品な仕上がりとなっている。阪神高速道から上流は、樹林地から片側勾配で広い芝地や駐輪スペースと寝ころびベンチ、斜路型展望テラスが適度に配置され、居心地のいい空間である。
このように中之島の地理的特性の利用、橋を境に上流に行くに従って市街地景観とは真逆の空間へといざなう手法は、計画者のいう「ノリシロ」の役割を充分果たしている。(山道)
大正から昭和初期にかけての歴史的建造物や橋梁群を眺めながら、ゆっくりとくつろぎ、散策出来る空間がここの最大の特徴であり、全体的にはそれらを引き立てるようなさりげない整備を行っている。親水性は最も優先されるべき要素で、可能な限り水際に遊歩道をとり、視点場にはバルコニーを設けるなどの手法は成功している。目立たないがそこに設置されているフェンスは素材、ディテールまで秀逸である。実はこのフェンスの存在が水際をキリッと締めることに成功している。
夕刻から歴史的な橋梁はライトアップされ、公園の照明が点灯し始める。バラ園周辺にジョギングや散歩に訪れる市民は、昼よりもむしろ多く感じる。ただ想像していたより歩道照明が明るくしかも輝度が高く。天神橋のライトアップも引き立たない。中之島公園通りの照明も明るすぎて情緒がない。中央公会堂のほんのり照らし出された夜景を見るとやや残念だ。
大切なのは古き良き施設群、そして水辺、散策スペース、それら全体が醸し出す風景である。そういう意味でこの空間はヒューマニックで情緒的であるべきであろう。事業者間の調整は容易ではないだろうが、相互にハーモニーを奏でるセンスがもう少し考慮されると、より空間の質が高まったのではないかと思った。(南雲)
川は古来“結界”の役割を持つとされているが、この再整備地区をはさむ二つの川が、周辺の市街地とは異なる気分を提供している。加えて、計画地に架かる3つの橋が仕切りとなって、橋下をくぐる毎に景観の変化を楽しませてくれる。全般に大川の分流である堂島川と土佐堀川の水面景観を強く意識した横断構造で、さまざまな高さの視点場が用意されている。水際部の処理も5~10年という高い確率の建築物への浸水予測にも関わらず、パラペットなど目障りな高潮対策の設備を排し、親水性を確保するコンセプトやデザインは評価される。
淀屋橋から上流にかけて難波橋間は、イベント等の賑わい空間として石材が多用され、階段護岸など幾何学的であるが、新たな植栽部や垂直壁の基部に土盛し、堅苦しさを緩和している。
難波橋から阪神高速道高架橋までは、ローズガーデンの再整備地区である。この地区は、トイレやレストランの建物構造や色彩がすっきりとしたデザインで配置されている。また、バラを主体とした植栽もゆとりをもって配置され、街灯や木製スチールが上品な仕上がりとなっている。阪神高速道から上流は、樹林地から片側勾配で広い芝地や駐輪スペースと寝ころびベンチ、斜路型展望テラスが適度に配置され、居心地のいい空間である。
このように中之島の地理的特性の利用、橋を境に上流に行くに従って市街地景観とは真逆の空間へといざなう手法は、計画者のいう「ノリシロ」の役割を充分果たしている。(山道)