学会(日本森林学会・日本木材学会・土木学会)連携によるシンポジウムを開催

 

 去る34日,土木学会講堂にて,3学会連携「土木事業への間伐材利活用シンポジウム〜日本森林学会,日本木材学会と共に森林保全と地球温暖化を考える〜」が開催されました.このシンポジウムは,地球温暖化防止対策や森林機能の保全・回復のために,国産木材の利用拡大が望まれることから,土木分野での可能性について学際的な議論を行ったものです.

 基調講演では,京都大学今村祐嗣教授(前日本木材学会長)が「土木事業への間伐材利活用〜土木学会、日本森林学会,日本木材学会と共に森林保全と地球温暖化を考える〜」と題し,木材の役割と特徴などについて話された後に,昨年9月に発足した「土木における木材の利用拡大に関する横断的研究会」を紹介されました.東京大学白石則彦教授(日本森林学会総務理事)は「3学会による横断的研究を通じて,森林保全と地球温暖化を考え土木分野への間伐材利用拡大を図る」と題し,森林の現状と戦後からの変遷,今日の課題と可能性について,また,早稲田大学濱田政則教授(前土木学会長)は「土木分野における木材活用と環境対策への貢献」と題し,学際的技術開発と研究の必要性,土木分野における木材の利用例などについてそれぞれ御講演されました.

 その後のパネルディスカッションでは,筒井信之氏(()創建)のコーディネートにより,パネリストの松本裕喜氏(林野庁)「間伐材など国産材の利用拡大に向けた取組」,政近圭介氏(国土交通省)「国土交通省における木材利用の取組」,外崎真理雄氏(森林総合研究所)「土木部門での木材利用拡大の環境的意味」,木崎眞氏(つくばね森林組合)「林業の現状−林業活性化のために思うこと−」,秋庭悦子氏(グリーンコンシューマー東京ネット)「土木事業への間伐材利活用シンポジウム」,平沢秀之准教授(函館工業高等専門学校)「橋梁分野における木材の利用拡大」による御講演と議論が行われ,筒井氏により,本シンポジウムが土木分野における木材利用拡大の起点と位置づけられる,と締めくくられました.

 本シンポジウムの参加者は約130名で,75名の方から戴いたアンケート結果によれば参加者の部門,職種,年齢は次の通りでした.部門は,土木関係の方が67%を占めておりますが,木材関係(17%),環境関係(7%),一般(5%),林業関係(4%)であり,多方面からの参加があったことがわかります.職種別では,総合・専門建設業が54%と半分以上を占め,官庁・公団・地方公共団体,大学等教育関係,設計コンサルタント,建設以外の民間の方々がそれぞれ約10%ずつ参加され,NGONPOを含む一般の方も5%参加されました.年齢は,3140歳が23%4150歳が39%5160歳が21%でこれらの方々で大変を占めていますが,2130歳(7%)と若い方や6170歳(10%)のベテランの方の参加もありました.

 アンケートの分析結果や詳しい内容については,今後本ホームページおよび学会誌の委員会報告に掲載して行く予定です.また,2008年土木学会全国大会にて,関連テーマの研究討論会を開催予定ですので,御興味のある方は是非御参加下さい.

 

写真-1 パネルディスカッションの様子

 

(a)部門           (b)職種               (c)年齢

-1 参加者のアンケート結果