土木学会 構造工学委員会 重点領域小委員会
土木構造物標準示方書(共通編)策定小委員会
土木構造設計に関する国際環境は,ISO2394,ユーロコードなど,急速に国際標準化への方向に進んでいるが,一方で,土木構造物の地域風土や文化との関連性を維持することは,世界標準とは異軸の重要な価値観であり,地域ごとの多様性の維持も重要な課題である.このような背景から,土木学会では,共通性と地域多様性を両立させる包括的設計体系の概念として,性能設計体系 (Performance based design) を機軸とする活動が活発に行われており,鉄道構造物等設計標準,土木鋼構造物の性能設計ガイドラインが示され,今後も多くの基準類の見直しが行われると考えられる.
従来,国内の土木構造物の設計法については,構造物の目的や構造特性に応じた研究や技術検討がそれぞれのフィールドごとに行われてきた.すなわち,土木構造物は,建築構造物が点としての性能を要求されるのに対し,国土全体に広がっており,ネットワーク構造としての性能が求められる.このため,構造物の重要性,安全性,地域性,規模,周辺環境への影響,使用材料など検討対象とすべき事項が多種多様である.そのため,安全性のレベル設定や照査モデルの開発.そして推定データの不確定性に対する解釈は,個々の構造物ごとになされてきた.このことは,上記の国際協調という観点からは望ましいことではない.この対策として,国土交通省では,分野間の整合化を企図して「土木・建築にかかる設計の基本」を検討し,2000年3月に最終報告をまとめている.また,土木学会においても,ISO2394やユーロコード0に対応する「包括設計コード策定基礎調査委員会(日下部委員長)」により,「Code PLATFORM(包括設計コード)」(2003年)が策定されている.
本重点領域小委員会では,これらのISOやユーロコードあるいは包括設計コード等の研究成果を基に,実際の設計に資する共通示方書の策定を目的とする.具体的には,鋼構造,コンクリート構造,合成構造,基礎構造等の全てに関わる基礎的事項.例えば設計・施工の前提や技術者の資格.あるいは契約と責任等に関する一般事項について解説し.さらに各分野での理解を助けるために用語の統一を図る.目標として実務に使える構成とし.各機関の基準のモデルコードとしての位置づけを目指す.
以上に鑑み,土木学会構造工学委員会「示方書(共通編)策定小委員会」では,種々の土木構造物の基礎となる事項の調査を行い,それを基に「土木構造物標準示方書(共通編)」としてその成果をまとめる.土木構造物の要求性能の多様性を考慮し,国際社会および国民(市民)に対する説明責任を果たすべき示方書(共通編)を作成することを目指す.
委員長 石橋忠良 (東日本旅客鉄道(株))
幹 事 津吉 毅 (東日本旅客鉄道(株))
幹 事 秋山充良 (東北大学)(平成20年9月迄)
WG1主査 本間淳史 (東日本高速道路(株))
WG2主査 鈴木 誠 (清水建設(株))
WG3主査 幸左賢二 (九州工業大学)
・WG1(主査:本間淳史)
予定される主な検討内容:
(1)総則
(2)契約方式と技術者のあり方(⇒契約当事者(発注者・請負者)双方の責任と義務の明確化について記述する.)
(3)設計段階における土木技術者の役割と責任(⇒設計に携わる土木技術者は,契約形態に基づく所定の責任と権限により良質な成果を作成すること.)
(4)施工段階における土木技術者の役割と責任(⇒施工契約において,発注者側エンジニア,請負者側エンジニア,技術監理エンジニアの業務内容,権利,責任が明確であること.)
(5)維持管理段階における土木技術者の役割と責任(⇒主として点検を対象とする.)
・WG2(主査:鈴木 誠)
予定される主な検討内容:
(1)土木構造物の要求性能
(2)用語の定義(⇒codePLATFORM,コンクリート標準示方書,鋼合成構造標準示方書,地盤工学会基準,土木・建築にかかる設計の基本,鋼・合成構造標準示方書,複合構造物の性能照査指針(案)などから,鋼分野,コンクリート分野,および地盤分野の全てに関係する用語を中心に選択する.)
・WG3(主査:幸左賢二)
予定される主な検討内容:
(1)構造計画の基本
(2)各構造系における構造計画(⇒鉄道構造物,道路構造物,港湾構造物を対象に,各構造物の構造計画の一般事項・条件・構造物の特徴・配慮事項等をまとめる.)
(3)構造計画の事例(⇒鉄道構造物,道路構造物,港湾構造物を対象に,過去の具体的な構造計画の事例を紹介する.)
(4)計画資料(⇒構造計画の参考となる資料集.過去の実績に基づいた「桁高−支間関係図」などを収集する.)
【平成21年4月】
条文+解説の作成.その後,委員内審議
【平成22年4月】
審議終了.その後,印刷
平成22年4月を委員会活動終了時期の目安とする.
幹事長 秋山充良
東北大学大学院工学研究科土木工学専攻
〒980-8579
Tel
022-795-7447 Fax
022-795-7448 E-mail akiyama@civil.tohoku.ac.jp
最終更新日:2008年8月29日