巨大地震と大津波から国民の生命と国土を護るための基本方針
平成23年5月27日
- 日本学術会議 東日本大震災の総合対応に関する学協会連絡会 議長 濱田 政則
- 社団法人 空気調和・衛生工学会 会長 坂本 雄三
- 一般社団法人 こども環境学会 会長 小澤 紀美子
- 公益社団法人 地盤工学会 会長 日下部 治
- 地域安全学会 会長 重川 希志依
- 一般社団法人 地理情報システム学会 会長 吉川 眞
- 公益社団法人 土木学会 会長 阪田 憲次
- 一般社団法人 日本機械学会 会長 佐藤 順一
- 社団法人 日本建築学会 会長 佐藤 滋
- 一般社団法人 日本原子力学会 会長 辻倉 米蔵
- 公益社団法人 日本コンクリート工学会 会長 桝田 佳寛
- 日本災害情報学会 会長 河田 惠昭
- 公益社団法人 日本地震学会 会長 平原 和朗
- 一般社団法人 日本地震工学会 会長 久保 哲夫
- 日本自然災害学会 会長 中川 一
- 公益社団法人 日本水産学会 会長 竹内 俊郎
- 社団法人 日本造園学会 会長 武内 和彦
- 日本地域経済学会 会長 中村 剛治郎
- 社団法人 日本都市計画学会 会長 岸井 隆幸
- 社団法人 日本水環境学会 会長 藤江 幸一
- 社団法人 農業農村工学会 会長 河地 利彦
- 一般社団法人 廃棄物資源循環学会 会長 酒井 伸一
研究者、技術者の集団である各学協会の連絡組織である東日本大震災の総合対応に関する学協会連絡会は、政府、地方自治体および関係機関に対し、以下のことを提言する。
基本方針
わが国の地震・津波対策について、2011年東北地方太平洋沖地震が引き起こしたような極めて稀な大津波および地震動に対しても、国民の生命と財産に重大な影響を与えることなく、国土・環境・国民生活を護り、社会・経済・文化活動の著しい停滞を防ぐことを基本方針とする。
取り組むべき課題
東北地方太平洋沖地震を経験し、地震・津波に対するわが国の防災・減災力向上のため、取り組むべき課題として以下の事項を挙げる。
- 発災後の緊急対応
- 災害実体の早期把握のための情報収集・通信手段・伝達体制の整備、地理空間情報等の各種情報活用の仕組みの構築
- 緊急対応のための食糧・水・医療品等の広域備蓄と輸送体制の強化
- 被災者の保護・支援のための広域体制の整備
- 復旧・復興
- ライフラインシステム(道路、鉄道、電力、上水道、下水道、廃棄物処理施設、ガス、通信)の機能損失の最小化と早期の機能復旧
- 地域の復旧・復興のための広域支援体制の整備
- 農林水産業の復旧・復興を含めた産業復興のための対策
- 地震・津波に強い国づくり、まちづくり
- 防災社会基盤施設の機能強化と建設
- 地域の特性に配慮した津波に強いまちづくり(津波監視体制の強化、津波避難施設の建設、居住地域の選定、耐津波市街地の設計等)
- 大都市圏の災害回復力の向上
- 多様な専門家が地域・自治体と協働できる支援制度の整備
- 調査・研究・教育
- 分野横断的課題への学協会連携による取り組み
- 東日本大震災の全容把握と総括および次世代への伝達
- 低頻度で発生する巨大津波を含む津波の研究と提言(遡上した津波の挙動の解明、津波の外力特性の解明、津波に強い構造物等)
- 建築物・構築物・産業施設・地盤の耐震性・耐津波性向上に関する研究の推進(継続時間が長くかつ強烈な地震動および長周期地震動に対する耐震性)
- 防災教育の充実、災害経験の伝承および避難訓練等の強化
- 地域組織(行政、企業、学校、病院等)の事業継続計画(BCP)ならびに地域継続計画(DCP)の策定・実践支援
追記:基本方針は、理工学、農学、水産学、人文科学など広分野の学協会が、今後のわが国の地震・津波対策に関して、共通する基本的な方針を示したものである。本震災からの復旧・復興、まちづくり、地域づくり、防災対策等に関しては、それぞれの分野、学協会よりこれまで発信されて来た提言・提案等に加え、さらに社会への発信が継続される。
Last Updated:2011/06/07