号議案:平成11年度事業報告

 

 

平成11年度 事業報

平成11年4月 1日〜平成12年3月31日

 

 土木工学の進歩および土木事業の発達ならびに土木技術者の資格の向上を図り、もって学術文化の進展と社会の発展に寄与することを目的とする本会の、平成11年度における主な事業は以下のとおりである。

 

1.理事会活動

@ 土木学会定款の改正に伴って、細則、規則、内規のもとに合理的、効率的な学会運営を推進した。

A 土木学会「土木技術者の倫理規定」を制定し普及・啓発を関連部門と協力し積極的に推進した。

B 土木学会賞として新たに「環境賞」を設置し実施した。

C 技術推進機構の設置に伴い、本格的な事業内容の検討を開始した。

D 日本技術者教育認定機構(JABEE)に参画し、国際的に通用する技術者教育プログラムの評価、技術者教育の認定の取組みを図った。

 

2.委員会活動

@ 委員会活動としては、土木工学に関する学術・技術の進歩・発展に貢献する調査研究関係の常置委員会、特別委員会および受託委員会34と、学会運営上必要な総務、企画、国際等の委員会32の合計66委員会が設けられ、その下に置かれた486の小委員会、部会、分科会、ワーキンググループ等を合わせ、延べ8,304名の会員により、年間延べ2,064回の会議が開催された。

A 21世紀に望まれる人々の暮らし方、住まい方とこれを支える社会基盤整備の方向を探ることを目的として特別委員会を設けるとともに、企画委員会において土木界が取り組まねばならない長期的課題とその目指すべき方向について検討を進めている。

B 受託研究の委員会活動では、調査研究部門のコンクリート,原子力土木,環境等の継続研究9件と、技術推進機構部門の新たな特別研究として、科学技術振興調整費(科学技術庁委託)による大型プロジェクト研究等3件の研究を実施した。

 

3.行事活動

@ 本年度全国大会・第54回年次学術講演会は9月22日から3日間、広島大学を会場に開催された。 しかし、第3日目は台風18号の影響を受け予定された1,486編の学術講演,共通セッション,見学会は中止となった。年次学術講演会は7専門分野59教室で行われ、2,434題の論文発表と、延べ13,400名の参加者があった。また、市民参加型の特別講演、研究討論会などを含めた全国大会全体の参加者は延べ17,665名となった。

A 各種委員会の研究成果の公開と情報発信・情報交換の場として、講習会、講演会、研究討論会 、シンポジウム、セミナー等が活発に開催され、毎月1回定期開催の定例談話会等を含めたこれら行事の年間開催回数は延べ89回、参加者数は延べ13,900名となった。

B 日本学術会議はじめ他の関連学協会との共催、協賛、後援等の行事も延べ139件(国際会議関係の協賛10件、後援5件を含む)となった。

C 支部における各種行事も盛んに開催された。支部ごとに毎年1回開催の年次学術発表会での発表件数は延べ3,261題、参加者は延べ6,328名となった。

D 土木事業や土木技術の役割を、社会との対話の中で広く広報していくための活動として、中学生対象のサマースクール(「やさしい土木教室」)を北海道大学で実施したのを始め,市民参加行事としての「土木の日」「土木の週間」行事を各支部と協力して全国各地で積極的に展開し、その数は約193件、参加者総数は約117,474名を数えた。

 

4.出版活動

@ 本会の機関誌である「土木学会誌」は、本冊12冊 (年間総頁数:1,450頁、綴込み付録3冊)を発行し、その総発行部数は485,150部となった。その主な内容は、シリーズ特集「21世紀の社会資本を創る」や「サスティナブル都市」「デザイン」をはじめ、ミニ特集「はかる」や学生の頁や会員の声の頁を設けるなど、開かれた学会誌を目指した。

A 学会の最も重要な役割の一つである評価機能の成果としても「土木学会論文集」は7専門分野で、それぞれ年間4冊の計28冊と英文論文集年2冊の計30冊(総頁数:6,470頁)を発行し、総発行部数は93,350部となった。

B 既刊図書の販売管理や新刊の進捗状況の工程管理、予算・決算の策定など、出版会計全般的な管理を行った。新刊としては、各種委員会の編集による新規刊行物23点を刊行した(行事テキスト、報告書を除く)。 また、特別会計による出版物「阪神・淡路大震災調査報告書」4点を刊行した。これにより全15巻すべてを刊行した。

 

5.国際活動  

@アジア土木技術国際会議の開催を通じて、アジア地域が抱える土木技術に関する諸問題を多国間連携のもとに解決すべく、日本土木学会のリーダーシップのもとに1999年9月27日にアジア土木学協会連合協議会(ACECC)が発足した。会員は、アメリカ、台湾、韓国、フィリピン、日本の5カ国の各土木学会である。

A第54回全国大会にアメリカ、中国、台湾、韓国の各土木学会からの招待参加があった。各国代表者を交えて、アジアにおける技術交流と日本の役割をテーマにしたパネルディスカッション、2001年に東京で開催される第2回アジア土木技術国際会議に向けてのラウンドテーブルによる意見交換の他、交流会を実施した。

B外学協会との協力協定をアジア諸国に広げ、中国土木工程学会、タイ工学会、シンガポール工学会、バングラデシュ工学会、ベトナム建設協会と協定を締結し、協定学協会は現在16ケ国となった。

C アメリカ土木学会全国大会に会長他5名が参加して、国際基準の開発に対するASCE並びに協力学協会の役割をテーマとしたラウンドテーブルで議論を交わした。また、本州四国連絡橋公団から多々羅大橋特別セッションでプレゼンテーションが行われると共に、会場内に設けられたブースで同橋に関する資料が展示され好評を博した。

D 留学生に意見発表と相互理解の機会を与える目的で、7分野からの論文を募集して1999年8月6日に第1回サマーシンポジウムを開催した。参加者は留学生93名、日本人会員

25名に上った。

E 新たに海外支部を設立して、その第1番目の支所として台湾支所設立が承認された。

F 英文によるインターナショナルニューズレターを継続して刊行し、現在3号に至っている。国内の大学は元より、協定学協会にも送付して日本の土木学会からの情報発信の手段としての役割を担っている。同時に土木学会ホームページ英語バージョンを充実して、留学生や海外土木技術者からのアクセスの便宜を図っている。

G 土木学会学術交流基金による土木技術者の海外派遣を20件、海外からの受け入れを1件実施した。

 

6.技術推進機構の活動

@新たに発足した技術推進機構活動の開始に伴い、運営に関する諸問題について検討を行った。

そのための諮問機関として「企画プロジェクトチーム」を設置し、平成12年度からの本格的な活動のための事業内容、人事および組織、長期計画について検討を行った。

A土木関連のISO対応について、建設省、運輸省および農林水産省からの共同委託を受け、ISO対応特別委員会による活動を行った。その中で、国際会議への参加や関連基準類の翻訳に対しての支援、ISOに関する情報発信活動としての「ISO対応速報」の発行などを行った。またISOに関する話題提供および討議を目的とし「ISOへの対応に関する第2回シンポジウム―ISOとCEN―」を実施した。

B土木技術者資格の国際的相互承認について、建設技術者資格の相互承認に関する検討委員会により活動を行った。その中でAPECエンジニアの発足に伴う諸問題、技術士制度の改革、イギリス土木学会との技術者資格の二国間相互承認などについて諮問および検討を行った。

C外部からの研究費を導入してのプロジェクト研究として「構造物の破壊過程解明に基づく生活基盤の地震防災性向上に関する研究(総合的検討)」および「社会経済基盤施設の安全性と長寿命化のための性能評価システムと設計計画法に関する調査」の2件の調査研究を科学技術庁からの委託により実施した。

H 2001年に東京で開催される「アジア土木技術国際会議」のための準備活動を行った。また1999年9月に発足した「アジア土木学協会連合協議会(ACECC)」への対応を開始した。

 

7.名誉会員の推挙及び表彰

第85回通常総会で14名の方々に名誉会員推挙状を贈呈すると共に、土木学会として功績賞4名,技術賞8件、論文賞18名、論文奨励賞7名、吉田賞1件(論文部門1件)、田中賞11件(研究業績部門1件、論文部門2件、作品部門8件)、技術開発賞3件、出版文化賞1件、技術功労賞5名に対して、それぞれ賞状と賞牌を授与した。

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