倶多楽湖公園線 工事現場見学

倶多楽湖公園線

 倶多楽湖公園線は、登別駅・中央自動車道等と登別温泉を結ぶ唯一のアクセスルートです。大型の観光バスはもちろん、温泉街での緊急時には、登別市外からの救急車・消防自動車などの緊急車両が通過する重要な路線です。また、温泉街の住民にとっても、買い物や通勤の他、通学などによる歩行者の利用も多く、生活に密着した重要な生活路線となっています。
 しかし、倶多楽湖公園線は現在、線形が悪く急勾配区間も数多くあり、幅員も狭く歩道もない為に歩行者や自転車などは危険な状況での通行を強いられています。そのためこの工事は、幅員の拡幅による大規模な改良工事を行うことで、車両や歩行者等に安全な道路を整備する目的で行われています。

写真-1 工事前の現場

立体プレハブ桟道橋

 倶多楽湖公園線のように山間部の急斜面における道路拡幅工事は、現道が狭く工事用道路の確保が困難であったり、交通量の多い道路であるから通行規制が難しいなどの制約があります。また今回の工事箇所周辺は国立公園に指定されており、周辺環境へあたえる影響が少なく、かつ短期間で施工できる工法を検討する必要があります。
 立体プレハブ桟道橋は、「山間部の複雑で狭小な地形でその施工を可能とする」ため」、大型建設機械を必要としない「小型・軽量の部材で構成」されており、現場施工期間の短縮するために標準化された部材を特別な技能、技術を擁せずに施工できることを目標に開発された工法であり、それに加えて「地形や植生に対する影響が小さいこと」といった利点があります。
 この工法は、現在では全国で100件以上の実績がある工法です。また、この工法が施工箇所の要求事項をほぼクリアできる工法であることから、平成15年度に行った概略設計において採用決定し、平成22年度より施工を開始しました。

写真-2 現場を見学する様子

工法の特徴

 @杭と桁が剛結された立体ラーメン構造で、荷重に対して優れた耐荷力を有しています。
 A短尺軽量なプレハブ部材で構成されており運搬、仮説が容易で施工性に優れます。
 B地形や植生など自然環境への影響が最小限で済み、環境保全に優れます。
 C手延べ式施工により、既存交通を確保しながら拡幅工事が行えます。
 D荷重は杭により支持地盤に伝えるため現況斜面の安全性を損なうことはありません。
 E地形や施工条件に適合するために複数の構造タイプがあります。

写真-3 説明を受ける学生

終わりに

 私たちは今回、3回目の訪問となりましたが、現場が完成に近づいてゆくところを見るという数少ない機会であり、また実際の現場に勤務する方々に実務に関する様々なお話をきかせていただき、大変勉強になりました。現場を見学することは、講義だけではわからない部分を見ることが出来るため、参加した学生にとっては自らの将来を考えるためのいい機会となります。今後もこのVISIT事業を続けてゆくことで、土木への関心を高め、業界の発展へつなげてゆきたいと思います。

写真-4 現場見学に参加した学生

謝辞

 企画・運営に携わられた関係者の皆様、及び大変お忙しい中、私たちにお付き合いいただきました企業・機関の皆様に感謝の意を表します。

河本 幸子
Sachiko Kawamoto

室蘭工業大学大学院
建築社会基盤系専攻 土木工学コース

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