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験潮とは海面の昇降(潮位)を計測することであり、基準面の決定だけでなく地殻変動の監視、津波や高潮の検出など防災においても重要な役割を果たしている。その原理は、導水管を通じて建屋内の井戸に出入りする海面の昇降を計測するもので、 波の影響を受けず、正確な計測が可能である。
細島験潮場は、明治25年(1892年)に設置された現存する 日本最古かつ現役の験潮場である。建屋の基礎部分は当初木造であったが、海虫による食害に遭い崩壊したため、翌明治26年に東郷産の花崗岩を用いた石積みに改築された。正面の切妻屋 陸軍の徽章である。明治27年(1894年) 監守となった桑野家の人々が、昭和61年(1986年)まで代々92年間、毎日朝 夕2回人力により計測していた。現在では無人化されており、 G.S.A.Tと呼ばれる験潮儀によって自動的に潮位が記録 され、つくば市にある国土地理院へ送信されている。 なお、「験潮場」は国土地理院が設置しているものに対する名 称であり、海上保安庁設置のものは「験潮所」、気象庁設置の ものは「検潮所」のように表記が区別されている。現在、国土 地理院直轄の験潮場は全国に25カ所、九州に3カ所あり、九州では当施設の他に仮屋験潮場(佐賀県東松浦郡) と阿久根験潮場 (鹿児島県阿久根市)が稼働している。
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