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九州の近代土木遺産

福岡地区

山国橋
区市町村

福岡県
築上郡吉富町〜
大分県
中津市

完成年

昭和9年

形式

RC桁橋(カンチレバー、レンガ橋脚)

諸元

橋長214.37m、有効幅員8.00m、径間16.49m(13連)

評価情報 【概要】 藩政時代の渡し舟に始まり、1869(明治2)年には船を横に並べる船橋となり、1903(明治36)年に幅4.5mの木造トラス形式の山国橋が完成した1),2)。このトラス橋の老朽化を受けて1934(昭和9)年に建設されたのが現在の山国橋である。県境となる山国川に位置することから、福岡・大分の両県が総工費117,125円を支出した。設計図面には設計者として河窪という技術者が記されている。
山国橋はスパン16.9mを有する13径間のRCゲルバー橋で、橋脚には木造トラス橋の煉瓦橋脚が利用されている。橋長は200mを超え、戦前に建設されたRCゲルバー橋の中でも重要な橋梁のひとつであると言える。また、レンガ橋脚を有する同形式の橋梁は少ない3)。高欄は壁高欄に半楕円状の開口を設け、内部を開口壁によって分割した意匠が施されている。こうした意匠は同時期のRC橋に多用されていることから、建設当時のRC橋デザインの特徴をよく残しているということができる。
山国橋両岸の吉富町と中津市は、地域の新たな観光資源の創出の一環として山国橋のライトアップを計画している。2021年度には照明実験が行われた。今後の実装に向けて、検討が進められている。また吉富町は、同町内に架かる佐井川橋(2016年度選奨土木遺産)と山国橋をあわせて、観光ガイドで紹介するなど、近代化遺産の観光活用を推進しており、選奨土木遺産認定後の利活用の促進が期待できる。
山国橋は、昭和初期に建設された鉄筋コンクリート造の長大橋であり、ゲルバー桁や二穴式の煉瓦積み橋脚を有する貴重な地域の土木遺産である。日本の近代土木遺産A評価3)

所有者・管理者:福岡県、大分県
参考文献:1)福岡県築上郡吉富町ウェブサイト、2)『明治工業史 土木編』p.43、1970,3)
土木学会編:『日本の近代土木遺産 現存する重要な土木構造物2800選』、p.259、2005
(写真)
山国橋全景

山国橋全景(撮影:羽野)

橋台・高欄

橋台・高欄(撮影:羽野)

大分側橋脚

大分側橋脚(撮影:羽野)

福岡側橋脚

福岡側橋脚(文献1)より)


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