日時:2000年12月11日(月) 14:00-17:00
場所:土木学会B会議室
出席者(敬称略;○= 出席者):
○佐藤委員長(東大)○青木(豊技大),○浅野(鹿大), 泉宮(新潟大),○ 磯部(東大), 伊福(愛媛大),○喜岡(名工大),○栗山(港研),○小島(九共大),○後藤(京大),○高木(INA),○田中(東北大),○鳥居(土研),○中山(水工研),○灘岡(東工大),○松原(鳥取大), 三村(茨城大),○山下(北大)の各委員
一般参加者は30名程度.
配付資料:1.『海岸工学の中長期展望』(趣旨,構成等);
2.海岸保全基本指針(冊子);
3.飯岡漁港整備について;
4.飯岡漁港整備・参考資料
議事:
1.委員会の位置付けおよび設立趣旨についての説明(佐藤委員長)
・資料1に基づく趣旨の説明
・委員会の設置期間:1年を予定(柔軟に対応).
・Webページによる情報(成果)公開を検討.
・シンポジウムの開催を予定.
・『砂礫浜の保全』に対象を限定.
・事例紹介+議論(問題抽出)の形式で5回程度委員会を実施.
・委員会はオープン(委員以外の希望者の参加を妨げない)とする.
・本日の議題のイントロとして,九十九里海岸の形成過程概要が紹介された.2.九十九里海岸の形成過程についての概説(土研,山本氏)
・数千年オーダーの長期変形
・崖侵食対策以降の浜の変遷
・長期的に見て,大略的な土砂収支はとれているとのコメント有り.3.北九十九里海岸の侵食対策(高木委員)
・漂砂源となる大河川なし.
・屏風ヶ浦の崖侵食対策(漂砂源カット)以降に問題が顕在化.
・汀線変化:両サイドが侵食,中央部(片貝漁港)付近が堆積.
・ヘッドランド工法による侵食対策を実施中.
・ヘッドランドの下手側(野手海岸)の侵食傾向.ヘッドランド延伸を検討中.
・(議論)ヘッドランドなしでサンドリサイクルだけでは困難か.
原理的には可能.かなりの量になるのが問題.
・(議論)砂浜回復には養浜とセットでの対応が必要.
・(議論)費用対効果の観点を導入した評価の必要性と海岸保全の哲学(理
念)の必要性
・(議論)ヘッドランドの景観上の不利.自然の浜の姿との乖離.4.飯岡漁港整備について(千葉県漁業課・鈴木氏)
・漁港整備の経緯
・浚渫土砂の処理
以前は下手側(下永井海岸)に再投入(=サンドバイパス).
現在は,埋立土砂として利用+沖合8km地点への投入(貝の漁場の保全;
漁協の要請).
・(議論)ヘッドランドによる汀線回復と貝類の漁獲高増加の因果関係は未解明.
・(議論)沖合への堤防の延伸が周辺地形に与える影響を考慮する必要が重要.5.長大砂浜海岸の保全のための技術的対応について(鳥居委員)
・養浜の検討要素(土砂管理,コスト,維持管理,生態系)
・漂砂制御施設の検討要素(コスト,性能,生態系,漁業,景観,など)
・生態系との関連で底質粒径が重要.
・ヘッドランドの補足率の算定法の説明
・(議論)ヘッドランド設置に対する疑念(良好な海岸が創造されていない).
一般市民への説明の方法として『放置した場合のシナリオ』を示
すことも必要.侵食対策が必要なことを示す材料となる.6.今後の研究会の運営について(議論)
・『何が知識として欠けているのか』を具体的事例を通じて抽出する作業が必要.
(沖合漂砂,生態系,汀線変化モデルの精度など)
・具体的事例説明を依頼し,それに対する議論から技術的問題を検討するという
基本的運営方針が確認された.
・海外の事例を検討してはどうか.→1回程度で概観する.
・一般市民への説明力をどう考えるか.→中長期的視野の重要性(将来像の提示).
・一般論(基本的事項のレクチャー)と具体的問題の紹介を縦糸と横糸のよ
うに組み合わせる構成も考えられる.
・河川からの土砂供給の評価について(河道内貯留を含め)レビューするこ
とが必要.
・各自治体での海岸保全基本計画の策定のサポートを考える(雛形,基準の
提示).
・既存データの開示をアピールする努力を求めたい.
・成果の社会還元の方法として中高教師をインタープリターとして活用する
ことを検討しては.
・成果のまとめ方について,(1)で技術的課題の整理を行い,Webでの公開,
一般からの意見を募る;(2)シンポジウムの開催
の2点が基本的に了承された.
・具体的は対象,広域の漂砂系を重点的に対象とする.
候補海岸 (案);
静岡・清水海岸 または 富士海岸;仙台海岸;九十九里海岸;
湘南海岸;新潟海岸・石川海岸;国縫または道川;東播海岸;宮崎海岸.・次回は日本海側の海岸(新潟海岸 and/or 石川海岸)を予定,
2月2日 14:00-17:00 土木学会講堂.
以上.
(後藤仁志 記)