長大な海岸線を1km程度ごとに区分し,その区分内の海岸線をわずかに変形させることにより波に対して安定な海岸を創造しようとする工法.長い海岸に斜めから波が来襲すると一方の端では大きな侵食が生じ,もう一方の端では過剰な堆積が生じるのに対し,ヘッドランドにより区分された海岸では土砂の移動が短く分割された区分内に閉じ込められるため,侵食と堆積を小さく抑えることができる.ヘッドランドを突堤形式とするもの(鹿島海岸,九十九里海岸)と離岸堤形式(清水海岸)とするものがある.
突堤式ヘッドランド(茨城県大野鹿島海岸)
突堤式ヘッドランド(千葉県九十九里海岸)
離岸堤式ヘッドランド(静岡県清水海岸)
海岸線に平行に消波ブロックを積み重ねて堤防としたもの.堤防の背後陸側では波が穏やかとなるため,波の力を抑えることができるうえ,海岸の侵食を防ぐことができる.一つの堤防の長さは100m程度で,50〜100mの間隔をおいて連続的に設置することが多い.静岡海岸には50基を超える離岸堤が設置されている.
離岸堤(静岡県静岡海岸)
山地の急斜面などでは土石流を防止する目的で砂防ダムが設置される.砂防ダムは,土砂災害の防止に重要な役割を果たしているが,平常時の土砂輸送も遮断するため,下流や海岸の土砂環境に影響を与える場合がある.そのため,砂防ダムをオープン形式とし,平常時の土砂輸送を妨げない構造形式が導入されている.
オープン形式砂防ダム
海岸侵食対策の一つで,土砂を人工的に投入する工法.構造物による工法がハードな工法と呼ばれるのに対し,養浜工はソフトな工法に分類される.
養浜工の一形態としてのサンドリサイクル(鳥取県皆生海岸)
羽衣の松前面には,海底谷がいくつも海岸に迫っている箇所がある.これらの海底谷には,海岸に沿って移動する土砂の一部が落ち込んでいることが確認されている.
表層土砂の分類
表層土砂の分類