Preface : 1955 : 2nd Conference

はしがき (本間　仁，昭和30年11月)

昨年11月土木学会関西支部主催により，神戸市において第1回の海岸工学研究
発表会が開かれた．この後，わが国における海岸工学の発展を期して，土木
学会に海岸工学委員会が設置され，本年はこの新しい委員会の仕事として海
岸工学講演会が開かれる運びとなつた．昨年度のものを第1回と考え，本年度
は第2回海岸工学講演会と名づけることとした．内容においては国内での最近
の研究成果の発表に止らず，斯界の最近の発展に関する概観，実地問題に関
する一般的考察をも包括して講演会の名を採用した．

海岸工学 (Coastal engineering) の範囲を厳密に定義することはむづかしい
が，現在のところでは，沿岸漂砂および波浪の問題，これらによつて起こる
災害を防ぐための海岸工作物をその範囲に入れている．土木学会の海岸工学
委員会はこのような諸問題の国内における研究を推進し，さらに用語集，設
計基準案などのように広い分野に関係する一般的事項の仕事を担当すること
を意図し，一部はすでに着手しているのであつて，この目的遂行のために，
日本港湾協会および全国防災協会の援助を受けている．今回の講演会の開催
も両協会に負うところがはなはだ大きい．

また，本講演集の編集および印刷に関しては土木学会編集部をわづらわした．
これら各方面に対して深甚な謝意を表するものである．