序文 (本間 仁,昭和33年11月) 1954年に神戸で第1回の講演会を開いた当時は,学会の中でも海岸工学とは何 だろうかと言われていたが,このように毎年講演会を続けることができ,わ が国の海岸工学の基礎もできてきたのは,まことに喜びにたえない. 本年の講演会は,(1)波,波圧など,(2)漂砂,海岸浸食またはそれらに関連 した工学的問題,(3)海岸堤防,その他の構造物,の順に配列した.これらの 業績が次第に蓄積されて行くことによって,世界に寄与しうる日本の海岸工 学が発展してゆくものと思う. 昨年12月にアメリカのフロリダで開かれた海岸工学第6回大会の報告を見ると, 報告されている論文数は,(1)風と波16編,(2)海岸の底質移動問題9編,(3)海 浜の工学的問題15編,(4)海岸構造物14編,となつていて海外での海岸工学の 進歩を物語つている.われわれとしてもこれらの報告を参考にするとともに, 日本国内の業績も英訳して,海外との文献交流に役立たせたいと考え,第2回 および第3回の海岸工学講演集から10数編を選んで,英文講演集を編集し,す でに印刷の準備中である.第4回以後の講演集または他の方面に発表された論 文についても,この仕事を続ける計画である. 終りに,今回の講演会のために多大の援助を与えられた運輸省第二港湾建設局 の方々に深甚な感謝の意を表したい.