序文 (本間 仁,昭和34年11月) 工学の進歩は学術的な方面と実地の技術面の両方が並行してゆかなければな らないことはいうまでもないが,同時に双方からの資料がたえず交流してい ることが特に必要である. 海岸工学講演会は今日まで,研究者と実地に当る技術者の間での知識の交換 と討議の場所を提供してきたのであって,今後もこの方針には変るところは ないと思う.しかし今回は,同時に特定の問題についての講義を入れること を試みた.わが国の海岸工学がようやく工学の一分野として,まとまった姿 をとりつつあるときに,このすう勢を助長し,海岸工学の正しい知識が広く 拡がることを念願してこの試みを初めたのであって,これが将来は海岸工学 委員会の大切な仕事の一つになるものと考えている. 英文海岸工学論文集は幸いにしてわが国の海岸工学の現状を海外に伝えるの に,かなり役立っているようである.本年も引続き第2巻を出す準備をしてい るので,これについても各位の関心とご支援をお願いしたい. 最後に,今回の講演会を開くにあたって,地元の新潟県,市を初め関係諸官 庁などから多くの御支援を与えられた.ここに厚く感謝の意を表する次第で ある.