序文 (堀川清司,昭和55年11月) この度,土木学会関西支部との共催により,第27回海岸工学講演会を,神戸 市において開催することになった.当地は,第1回および第3回の講演会が開 催され,わが国での海岸工学の歴史上にも重要な意味をもった所である.こ の度地元関係機関の御厚意により,当地において再び講演会を開催すること となり,まことに感概深いものがある.過ぎし24年の間に,わが国での海岸 工学は目覚ましい発展を遂げ,また輝かしい幾多の研究成果が生み出されて きた.このような実績は,諸先輩の御指導と同僚諸氏の研鑚の賜物であるこ とは言うまでもない. 昨年鹿児島市で開催された第26回海岸工学講演会の論文集の序文において述 べたように,講演会で発表される論文の数は年を追って増大し,この分野の 研究者,技術者の層が着実に厚くなってきていることは,極めて喜ばしいこ とである.しかしながら,その反面,論文集の編集や印刷,講演会の運営に 若干の困難が生じ,そろそろ限界に達してきたことも事実である.このよう な趨勢をふまえて,海岸工学委員会では数年来真剣に検討がなされてきた. 昨年に至って,いよいよ何らかの処置を講ずべき時に達したと判断し,講演 会開会の挨拶の中で予告した次第である. その後,委員会,幹事会において慎重に検討を重ね,今回の講演会から新た な方式をとることとした.期日までに提出された2000宇の論文概要は156編に 達したが,これをもとに各論文に対して5名の査読者からの報告を求め,それ らを集計した結果,120編が採択されることとなった.もっとも査読にあたっ ては,著者から申告された研究論文,研究報告の区分けを参考にするように 考慮された.これは現地からの報告を歓迎するという伝統を維持したいとい う配慮からである. 最終的に期日までに原稿の提出されたのは116編であり,これらが本講演会で 発表されることとなった.以上の結果として,今回の講演会では時間的に若 千の余裕ができ,したがって休憩時間を適宜とることが可能となった.この 時間を有劫に活用して,十分に個人的な討議を行っていただきたいと考える. 今回の経験をふまえて,われわれは今後ともより有益な講演会に育てていき たいと考えているので,委員はもちろんのこと,講演会に参加された各位か らの積極的な御意見を期待している. 今回の講演会を神戸市において開催するにあたっては,土木学会閣西支部の 御支援を受け,更にまた運輸省第三港湾建設局,兵庫県土木部,神戸市港湾 局,開発局など地元各機関の絶大な御支援をうることができた.また論文集 の編集,印刷,校正にあたっては,海岸工学委員会論文編集小委員会ならび に土木学会事務局担当者の献身的な努力に負う所が絶大であった.ここに, これらの関係各位に対して深甚な謝意を表する次第である.