序文 (岩田好一朗,平成6年11月) 第24回国際海岸工学会議が本年10月23日から28日に至る6日間神戸市で開催さ れた.1996年に東京都で開催された第10回国際海岸工学会議以来,実に28年 振りに日本で開催されたわけである.第10回国際海岸工学会議を契機にして, 我が国の海岸工学分野の科学・技術水準が著しく向上・進展し,現在この分 野で世界のトップ・リーダー的な位置を占めるに至ったことを思うと,国内 で国際会議を開催する意義は極めて大きいといえる.今回の第24回国際海岸 工学会議には,泉州沖の関西国際空港の開港(本年9月4日)とも相埃って,国 内外から多数の研究者・技術者が参加し,約300編の優れた論文の発表と熱心 で活発な討議が行われ,21世紀に向けての海岸工学分野の科学・技術の進展 に大きな貢献をしたことは本当に喜ばしいことてある.このような大成功裡 に閉幕した第24回国際海岸工学会議を運営された組織委員会と実行委員会の 委員長を始めとする委員各位に対して深く謝意を表する次第である. さて,「地球規模環境間題研究小委員会」と「研究現況レビュー研究小委員 会」の2つの小委員会では,今年度から新委員長の下で,「沿岸域のあり方− 21世紀に向けた海岸工学の課題」,「標砂環境の創造に向けて」,「Estuarine Engineering の体系化」と「沿岸環境要素の評価手法に関する研究」の課題を採択して, 第2期目の調査研究活動を開始した.これらの調査研究の成果が期待される. また,第1期目の研究小委員会の調査結果がまとまり,それぞれ「地球温暖化 の沿岸影響」と「海岸波動」の題目の2冊の書籍として,今年9月土木学会よ り刊行された.今後この面における学術の進展や設計等の実務面で極めて重 要な寄与をすると考えられるので,常に身近に置いて御利用頂ければ幸いで ある.また,海岸工学講演会の40周年記念事業として行っていたスライドラ イブラリー「日本の海岸と港湾」の再編集作業が完了し,今年10月スラィド 集/写真集「日本の海岸とみなと第2集」として土木学会より刊行された. スライド集と写真集の両方御利用頂けるので,教材や啓蒙用などとして幅広 く御使用頂けれは幸いである.なお,第1期目の研究小委員会およびスライド ライブラリー編集小委員会の委員長を始めとする委員各位の献身的な御努力 によりこのような出版が可能となったものであり,ここに改めて謝意を表す る次第である. 第41回海岸工学講演会では,240編という今までで最も多い論文が発表され, 3日間4会場を全て使うことになった.海岸工学講演会を東京都で開催するの は10年振りであり,講演会の開催に際して絶大なる御支援を賜った中央大学 理工学部を始めとする地元の方々に深く感謝する次第である.また,論文集 の刊行に際しては,いつも論文査読者,海岸工学論文集編集小委員会および 土木学会事務局各位の献身的な御尽力に負うところが大きいこと,業界案内 を通して各種法人・民間各社から御支援を頂戴していることを記し,ここに 深く謝意を表する次第である.