平成18年度会長特別委員会


「土木の未来・土木技術者の役割」報告書(案)に対する主な意見について

 会員の皆様におかれましては、平成19年2月9日〜23日に実施させていただきました平成18年度会長特別委員会「土木の未来・土木技術者の役割」報告書(案)に関する意見募集について、貴重なご意見を頂きましたことに厚く御礼を申し上げます。
 下記に、皆様からの主な意見について集約いたしましたので、ご報告させていただきます。

平成18年度 会長特別委員会

  1. 土木技術者の役割
    • 土木技術者は、「良いものを安く」と「利益」を両立するためにはどのようにすればよいのか、を常に追求していくことが必要。
    • 道普請「自分たちの出来ることは自分たちで」といった社会こそ土木技術者の役割がある。草の根的な活動に我々土木技術者が積極的に関わっていくことが大切だと思う。
    • 土木の「美」を実現するための「デザイン」力の強化の観点が欠如していると思う。
    • 災害軽減や災害時の復旧などは土木本来の実務を担うことが使命である。
    • エネルギーの貯蔵・供給体制等のインフラ計画にもっと注力すべき。
    • インフラの維持・補修の重要性などは,一般の人にとっても納得して貰えるテーマである。
    • 官の技術者においては、国会や市民を先導する心構えが必要。
  2. 土木学会の役割
    • この提言を実施していく事が重要で、実施体制を十分検討して頂きたいと思う。
    • 土木技術者の地位向上のためにどうすればよいかについて掘り下げてほしい。
    • 社会に対して、土木の必要性を評価し、訴える事に徹して欲しい。
    • 「問題解決型」の基本理念を軸に土木学会の全ての取り組みを刷新していくべき。
    • 時の政権のスローガンが今回の提言には含まれており、学会と政治・政権との関係が、倫理的に不明瞭に感じられる。
    • 土木学会が従来よりも幅広い分野を取り扱えるように変貌することが必要である。
    • 土木学会は「社会貢献」とか「社会に向け発信」といった漠然としたものではなく、社会に対して大きな責任を負った組織との認識が必要。
    • 土木学会には土木技術者が社会から信頼されるよう、積極的な行動とリーダーシップが必要。
    • 「土木」という名称を大学教育で復活する必要性を論じるべき。
  3. 土木学会からの具体的提案と行動
    • 過重労働などの現実的な問題に対して、具体的な解決策へのビジョンが必要である。
    • NPOなどの具体的な貢献に尽きる。
    • 何故この報告書のとおりには行かないのかを是非議論して欲しい。
    • 「職種ごとの役割」の指針があると、一層理解が深まるのではないかと思う。
    • 高尚な議論よりも、現場での「作業員の高齢化」、「若者の現場離れ」は深刻である。土木でお金が稼げる部分がないと若者は戻ってこない。
    • 全産業の10%の雇用を抱えている建設業の意見を経済界に反映できるよう期待する。
    • 公共事業削減、談合、信頼回復、新しい有能な若者不足、国際化等の課題にもっとダイレクトに踏み込んだ記述をすべき。
    • 重点化し具体的な行動計画と目標設定(スケジュール、アウトカム指標のような)を記述していただけるとわかりやすい。
  4. 社会とのコミュニケーション
    • 将来のために取り込むべき事業、プロジェクトを設定し、重要性を世間に訴える必要がある。
    • 歴史認識に基づくしっかりとした反省をもとに、正確な情報提供を行い、社会からの批判や疑問に正確かつ真摯に答えていかなければならない。
    • 土木学会が社会・マスコミに対しても、正確な情報を発信し続け、専門家集団である土木学会としてタイムリーに表明していくことが大切。
    • マスコミで議論できる土木評論家の育成、判り易い言葉で伝える広報担当官の育成が急務。
    • 予想を超える自然現象(地震動、降雨量など具体的な数値)について警鐘し、対応の緊急性について情報発信すべき。
    • 土木学会の提言と改革で実現に移されたものについて情報発信すべき。
    • 政治と社会、公共事業の係わり合いを世間一般にわかるように開示すべき。
    • 報告書で指摘している多くの問題点を、WEB発信し、子供、一般市民、土木技術者で問題点を共通認識し関心を高める。
    • 一般の方が理解できるこの報告書の要約版が作成され、広報されることを望む。
    • 土木学会誌を土木技術者向けの専門誌と社会・経済・環境面に興味をもっている人々向けのコマーシャルベースの雑誌(「ニュートン」のように)に分ける。
  5. 他の学協会との連携
    • 大学、行政、企業、NPOの役割分担を明確にすべき。地質、気象、建築等と土木で連携して実施計画案を出す行動を起こすべき。
    • 循環型社会を実現するには、ゴミ処理、農業、工業などの動き・技術との連携が不可欠である。
    • 土木技術者と建築技術者との体系的な協力を望む。
  6. 学会運営
    • 社会資本に対するニーズは、土木専門家と一般市民の間に隔たりがある。外部からの視点を取り入れるべきである。
    • 会長の任期が短すぎて改革のための実行力が発揮できていない。
    • 談合や天下りなどで国民から糾弾されている組織を学会の運営から排除すべき。
    • 学会内で提言に関連付けた重点研究課題を公募し、委員会の研究を拡大させるべき。
    • 科学研究費やその他の省庁の競争的研究資金獲得に関して、JSCE2000・2005などの過去の提言と明確に関連付けた研究を推奨する仕組みを作るべき。
  7. 倫理、規範
    • 歴史的な土木界の体質については過去の事実に立脚した指摘と反省が不可欠。
    • 安全性等の信頼性が揺らいでいる中で「構造設計に対する信頼性の確保」にも努めるべき。
    • 土木技術者が社会から尊敬と信頼を得られる体制造りが望まれる。
    • 土木技術者は国民に恥じないよう、技術者倫理に則り、常に努力していく必要がある。
  8. 資格制度
    • 資格者制度は「技術士」との重複感を払拭しないと,根本的な解決にならない。
    • 今の資格制度で、なぜ不十分なのかが理解できない。

Last Updated: 2007.3.26
土木学会