安全問題研究委員会活動の基本原則


 

安全問題研究委員会活動の基本原則

(覚書)

平成12年1月28

土木学会安全問題研究委員会

 

はじめに

 本委員会の目的は,内規に明記してあるように,土木工学に関連した事故・災害についての諸問題を調査・研究し, 広く社会に貢献することにある。対象とする事故・災害は,原因が自然的か人為的か,また過失・怠慢か否かを問わない,土木工学に関連したすべての事故・災害である。

 この目的を遂行するに当り,委員会活動の基本原則を明確にする必要性を認め,平成11年度の委員会で審議して,本覚書を設定した。

 

. 事故・災害・安全問題に対する基本認識

@ 潜在的なリスク(危険)があるから,安全が問題になる。守るべき基本の無視に基づく事故・災害が残念ながらあるが,科学技術的、経済的制約から,潜在的なリスクを0にはできない。避けられないリスクに基づく事故・災害もかなりある。

A 一般に潜在的なリスクが顕在化する確率は極めて低い。そのために,かなり無理をしても事故・災害にはならないことが多く,慣れや気の緩みが生じ易い。また殆どの人は事故・災害には遭遇しないので,組織が小さくなると安全への取り組みが疎かになり,特に個々人の問題とは考えなくなる。

B 人のミスは許されないで済ませるのではなく,人はミスを犯し易いものであるという認識に立った対策が必要である。

C 潜在的なリスク(危険)が顕在化することを減らす努力をすると共に,顕在化した時の被害の拡大をできるだけ抑制する方策(潜在的なリスクが顕在化することの予知も含む)と,ハードとソフトの両面からの危機管理対応を予め考えておくことが極めて大事である。

D 不幸にして被害に遭った場合の救済を社会の責任で行う方法を確立すべきである。

 

. 事故・災害発生時の委員会として対応

 直接本委員会が原因調査や対策の提言に関与しないが,上記1の認識に基づいた一般論に絡んで取り上げることはあり得る。その場合学会の調査団に情報の提供を求めたり,調査団の中に本委員会の委員が加わるなどする。

 

3.具体的な活動

 上記1の認識に基づいて,個々の事故・災害・安全問題について分析すると共に,学会員及び一般市民をまじえて議論し,随時報告書を出すものとするが,当面の具体的な活動を次に示す。

@ 安全問題討論会の2年毎の開催

A 施工時小委員会活動(労働災害関連)

B 発生した事故・災害に関する議論

C 上記1の認識に基づいた解説書の作成

 その他取り扱う問題の内容に応じて,適宜土木学会の各研究委員会との連携を図ると共に,各種安全問題に関連して土木学会として社会へ対応する際の補佐役を務める。

 

補足 委員の組織人的立場(職域代表)と個人的立場の関連

 基本原則としては,学会活動には個人の立場で参加する。ただし組織としての意思は個々の委員を通じて反映させ,委員会としてはそれらを総合判断して議論する。

 


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