水工学論文集投稿の手引
水工学論文集編集小委員会
1. 著者
投稿にあたっては水工学論文集投稿要領に従って下さい.土木学会が主として個人の資格で参加して構成された団体であることを尊重し,原稿は著者個人の名で提出して下さい.なお,土木学会の各種調査研究委員会はその成果を投稿することができます.委員会の報告については,別に定める調査研究委員会の委員会報告の登載基準によるものとし,詳細は論文編集小委員会で決定します.
2. 原稿提出先および提出期日
水工学論文集編集小委員会(以下委員会という)宛に,当該年度の9月末日までとします.原稿受付日は全て,この提出期日に揃えます.
3. 投稿原稿
3.1 原稿の具備すべき条件
投稿原稿の具備すべき条件として考えられるのは,
1) 正確であること
2) 客観的に記述されていること
3) 内容,記述について十分な推敲がなされていること
4) 未発表であること
5) 他学協会誌,等へ二重に投稿していないこと
の5点があげられます.4)に関して,既に発表した内容も含む原稿でも,次に掲げるいずれかの項目に該当する場合は投稿を受付けます.
1) 新たな知見が加味され再構成された論文
2) 個々の内容については既に発表されているが,統合することにより価値のある論文となっているもの.
3) 限られた読者にしか配布されない刊行物に発表された論文.
個々の論文がこれらに該当するか否かの判定は委員会で行います.この判定を容易にし,また正確を期すため,投稿にあたっては,既発表の内容を含む場合,あるいは関連した内容の場合には,これまでどの部分を,どの程度,どの刊行物に発表してあるかを論文中に明確に記述して下さい.なお,一つの論文はそれだけで独立したものでなければなりません.非常に大部な論文を連載形式で完結するということは避けて下さい.
3.2 原稿のまとめ方
原稿は次のようにまとめて下さい.
1) 目的を明示するとともに,何が重点か容易にわかるように記述して下さい.
2) 既往の研究・技術との関連を明らかにして下さい.すなわち,従来の研究・技術などの部分を発展させたのか,どのような点がユニークなのかを示して下さい.
3) 原稿は要点をよくしぼり,簡潔に記述して下さい.原稿は,例えば次のような順序で記述すると良いと考えられます.
(1) 目的
(2) 方法
(3) 結果と考察
(4) 結論
4) 論文の表題は簡潔で,その内容を十分に明らかに表現するものとして下さい.原則として40字以内(英文20ワード以内)とします.副題を付することや長い論文を分割して,その1,その2…とすることは認めません.
3.3 英文概要およびキーワードについて
1) 英文概要を簡潔にまとめ,所定の場所に付けること.英文概要の長さは約15ワード/行×7〜10行程度とします.
2) 内容を十分に表すキーワードを英語で3〜5個選んで,英文概要の下の所定の個所に記入して下さい.
4. 査読
4.1 査読の目的
投稿原稿が,水工学論文集に掲載される原稿として,ふさわしいものであるか判定するための資料を提供することを目的として査読が行われます.査読に伴って見出された疑義や不明な事項について修正をお願いすることがあります.ただし,原稿の内容に対する責任は本来著者が負うべきものであり,その価値は一般読者が判断すべきものであります.
4.2 査読分野
水工学論文集には,本手引きの別表1に示すような査読分野が設けられており,投稿原稿は原則として著者の希望した分野で査読を受けます.ただし,査読希望分野と投稿原稿の内容が合致しない場合には,委員会の判断で取り扱い分野を変更することがあります.投稿する際には,別表1から査読を希望する分野を選んで,「申し込みフォーム」の該当欄に入力して下さい.
4.3 査読員
査読は委員会の指名した査読員が行います.査読員は3名.原則として委員会の委員2名と委員会から査読を委嘱する者1名とします.
4.4 評価
4.4.1 評価
査読にあたり,投稿原稿がその分野においていかなる位置づけにあるか,研究,技術成果の貢献度が大きいか等の点について,以下の項目に照らして客観的に評価します.
(1) 新規性:内容が公知・既発表または既知のことから容易には導き得るものでないこと.たとえば以下に示すような事項に該当する場合は新規性があると評価されます.
a) 主題,内容,手法に独創性がある.
b) 学界,社会に問題を提起している.
c) 現象の解明に貢献している.
d) 創意工夫に満ちた計画,設計,工事等について技術的検討,経験が提示されている.
e) 困難な研究・技術的検討をなしとげた成果が盛られている.
f) 時宜を得た主題について,新しい知見と見解を示している.
(2) 有用性:内容が工学上,工業上,その他実用上何らかの意味で価値があること.
たとえば,以下に示すような事項に該当する場合は有用性があると評価されます.
a)主題,内容が時宜を得て有用である.
b)研究・技術の応用性,有用性,発展性が認められる.
c)研究・技術の成果が有用な情報を与えている.
d)実験・実測のデータで研究,工事などの参考として寄与する.
e)新しい数表・図表で応用に便利である.
f)当該分野での研究・技術の体系化をはかり,将来への展望を図っている.
g)研究・技術の成果は実務に取り入れられる価値を持っている.
h)本原稿を掲載することは会員および読者に益するところが大きい.
i) 今後の実験,調査,計画,設計,工事に取り入れる価値がある.
j)問題の提起,試論またはそれに対する意見として有用である.
(3) 速報性:内容の完成度や緻密さよりもむしろ,早期に発表することに何らかの価値があること.たとえば,以下に示すような事項に該当する場合は速報性があると評価されます.
a) 緊急の災害・事故に関する調査結果を報告している.
b) 開始目前もしくは進行中のプロジェクトについて,問題を提起している.
c) 新しい学術的・技術的成果を含んでおり,その発表を早めることが学界,社会に貢献すると判断される.
d) 時宜を得た主題について,早急に必要とされる新しい知見と見解を示している.
e) 学界,社会に緊急に解決すべき問題を提起している.
f) 学界,社会が緊急に必要とする情報を提供している.
(4) 完成度:内容が簡潔,明瞭に記述されていること.本論の展開が読者に理解できるように記述されているか評価します.ただし,著しい厳密さ,正確さ,完璧さ, 格調の高さ等は必要としません.次のような点についても留意して評価します.
a)全体の構成が適切である.
b)目的と結果が明確である.
c)既往の研究・技術との関連性は明確である.
d)文章表現は適切である.
e)図・表はわかり易く作られている.
f)全体的に冗長になっていない.
g)図・表等の数は適切である.
(5) 信頼度:内容に重大な誤りが無く,また読者から見ても信用の置けるものであること.次のような点についても留意します.
a)重要な文献が落ちなく引用され,公平に評価されている.
b)従来からの技術や研究成果との比較や評価がなされ,適正な結論が導かれている.
c)実験や解析の条件が明確に記述されている.
4.4.2 判定
各査読員は4.4.1での各項の評価と,現在までの水工学論文集に掲載された論文を参考にして,水準以上であれば,掲載「可」とし,掲載するほどの内容を含まないと考える場合,および掲載すべきでない場合「否」とします.ただし,4.4.1での各項の評価のうち,1つでも問題があると評価されれば直ちに「否」と判定されるものではありません.多少の疑義,疑問な点があっても学術や技術の発展に寄与する内容があるものは掲載されるように配慮します.特に,速報性については十分な配慮と示唆が必要とされます.以下に示す諸項目は委員会が「否」と判断する基準にしているものです.
I.誤り
a)理論または考えのプロセスに客観的・本質的な誤りがある.
b)計算・データ整理に誤りがある.
c)現象の解析にあたり,明らかに不相応な理論を当てはめて論文が構成されている.
d)都合のよいデータ・文献のみを利用して議論が進められ,明らかに公正でない記述により論文が構成されている.
e)修正を要する根本的な指摘事項をあまりにも多く含んでいる.
II.既発表
f)明らかに既発表とみなされる.
g)連載形式で論文が構成されており独立した論文,報告と認めがたい.
h)他人の研究・技術成果をあたかも本人の成果のごとく記述して論文の基本が構成されている.
III.レベルが低い
i)通説が述べられているだけで新しい知見がまったくない.
j)多少の有用な資料は含んでいても論文,報告にするほどの価値は全く見られない.
k)論文,報告にするには明らかに研究・技術的検討等がある段階まで進展していない.
l)着想が悪く,当然の結果しか得られていない.
m)研究・技術内容が単に他の分野で行われている方法の模倣で,全く意義を持たない.
IV.内容全体・方針
n)政策的な意図,あるいは宜伝の意図がきわめて強い.
o)きわめて片寄った先入観にとらわれ原稿全体が独断的に記述されている.
p)理論的または実証的な論文,あるいは事実に基づいた報告でなく,単なる主観が述べられているに過ぎない.
q)私的な興味による色彩がきわめて強く,論文集に掲載するには問題が多い.
r)学会としての本来の方針,目的に一致していない.
4.4.3 登載の条件
登載可否の判定は,3名の査読結果に基づいて委員会で行います.登載可と判定された場合,査読員からの修正意見があれば,修正依頼を行います.修正意見に対して著者が十分な回答を行ったかどうかは,委員会で判断します.回答が十分でない場合は,登載を取り消します.
5. 投稿原稿,最終原稿
投稿原稿とは,論文の査読の段階で用いるための原稿です.最終原稿と同一のフォーマットで作成したものを,所定規格で電子ファイル化し,委員会指定のWEBサイトからアップロードして下さい.最終原稿は,登載決定後にCD-ROMに集録されます.最終原稿も所定の書式と規格で電子ファイル化し、委員会指定のWEBサイトからアップロードして下さい.原稿にはハイパーリンクや動画設定などを含まないように注意願います.査読の際に修正意見が出された場合は,適宜修正を施した後,委員会指定のWEBサイトからアップロードして下さい.なお,適切な修正がなされていない場合,委員会の判断で登載を取り消すことがあります.
6. 投稿原稿の書き方
6.1 書式および申し込みフォーム
投稿原稿はA4版イメージで提出して下さい.原稿は論文集の様式に従って,タイトルや文章,図表などをレイアウトし,作成して頂きます.また,査読の結果によっては修正をお願いすることがあります.投稿時には委員会指定のWEBサイトから申し込みフォームに次の事項およびその他必要事項を記入して下さい.
1)表題および著者名(和文および英文).ただし,英文の名前はfirst name(名),family name(姓)の順とします.
2)会員資格および勤務先,第1著者の個人会員番号
3)査読希望分野
4)連絡先氏名・住所など
5)その他
6.2 ページ設定およびページ数
マージンは左右が2cm,上方が2cm,下方が2.5cm程度とし,2段組で1段25文字50行を標準とします.段幅は約8.2cmです.和文原稿作成例または英文原稿作成例を参照して下さい.
水工学論文集では6ページ以下を厳守とします.超過は認めません.
6.3 文章および章・節・項
文章は口語体により,特に英文もしくは片仮名書きを必要とする部分以外は漢字まじり平仮名書きとして下さい.私的な表現,広告,宣伝に類する内容の記載は避けて下さい.章・節・項の見出しの数字は次のように統一します.これ以下の見出しは用いないで下さい.
1.,2.,3.………章
(1),(2),(3)……節
a),b),c)………項
見出しはゴシックにし,左詰めで書きます.
6.4 式および記号
式や図に使われる文字,記号,単位記号などはできるだけ常識的な記号を使い,必要に応じて記号の一覧表を付録としてつけて下さい.数式はできるだけ簡単な形でまとめて,式の展開や誘導の部分を少なくして文章で補って下さい.式を書く場合には,記号が最初に現れる箇所に記号の定義を文章で表現して使って下さい.また,同一記号を2つ以上の意味で使うことは避けて下さい.PC機種により文字・記号のフォントが変化しないことを著者の責任で確認して下さい.
6.5 単位系
単位は原則としてSI単位を用いて下さい.単位に,従来単位系を用いる場合は,かっこ書きでSI単位系を併記して下さい.
例:単位体積重量 1tf/m3 (9.8kN/m3) ,圧力 5kgf/cm2(0.49MPa)
6.6 図,表,写真
1) 図,表,写真は原稿のファイルサイズが別途指定された上限を超えない限りカラー図版でも結構です.
2) 表題および説明文は原則として本文と同じ言語を使って下さい.
3) 図,表,写真の横には本文は組み込まないで下さい.
4) 図,表,写真の中の文字は見やすさを考慮した大きさ・配置にして下さい.図,写真などの圧縮際しては,委員会WEBサイトの「pdf作成指針」を参照し,pdfファイル変換後の解像度が小さすぎないように注意してください.
5) 図,表,写真を他の著作物から引用する場合は,出典を必ず明記し,かつ必要に応じて原著者の了解を得て下さい.
6) 図の製図方法は原則として『土木製図基準』を参照して下さい.でき上がりを考えて線の太さ,文字の寸法に注意して下さい.文字はA4版の出来上がりにおいて1.5〜2mmとなるのが標準です.また,記号類は小さすぎないように少し大きめに描くようにして下さい.
6.7 参考文献
a) 参考にした文献は引用順に番号をつけて本文末にまとめて記載し,文中にはその番号を右肩上に示して文末の文献と対応させて下さい.
b) 参考文献の書き方は,著者名,論文名,雑誌名(書名),巻号,ページ,発行年月日の順に記入して下さい.英文の雑誌の場合は姓,イニシャルとします.著者数が多くとも,参考文献リストには全ての著者名を記載して下さい.ただし,本文中で引用する場合には,3名以上の場合に限り,第一著者のみを書き,あとを“ほか”もしくは"et al.”として省略して構いません.
c) 単行本の場合は,著者名,書名,ページ,発行所,発行年,とします.英文の単 行本の場合は書名は各単語とも頭文字は大文字とします.雑誌名,書名はイタリック体にしてください.
6.8 脚注
本文中の脚注や注はできるだけ避けて下さい.本文中で説明するか,もしくは本文の流れと関係ない場合には付録として本文末尾に置いて下さい.
6.8 原稿の書式
最終原稿用の和文・英文原稿作成例の書式に従って下さい.
7. 修正原稿の書き方
査読後,論文の修正依頼があった場合には,「修正原稿の例」を参考にして,「新旧対照表」の修正意見番号と対応させながらAcrobatのテキスト注釈またはノート注釈機能を用いて修正箇所に注釈を入れてください.修正原稿と新旧対照表を所定の規格で電子ファイルに変換して委員会WEBからアップロードして下さい.
8. 最終原稿の書き方
論文集に登載が決定された原稿は所定の規格で電子ファイルに変換して委員会WEBからアップロードして頂いた後,CD-ROMへ集録されます.投稿原稿の場合と同様に,電子ファイルに変化する際には,図面や写真の解像度が極端に低下しないように留意して下さい.章・節・項の見出し数字に用いるゴシック体(太文字)や,数式・記号に用いる斜体などの字体には専用のフォントを用いるように留意して下さい.本文についてもPC機種により文字・記号のフォントが変化しないことを著者の責任で確認して下さい.これらの条件に合致しないものは,再提出をお願いすることになりますのでご注意下さい.最終原稿用の和文・英文原稿作成例および 作成上の注意の書式に従って作成して下さい.
9. 版権と著者の責任
投稿要領7.の通り論文集に掲載された個々の諸作物の著作権は当該著者にあり,原稿の内容については投稿者が責任を持つことになります.したがって,CD-ROMへの集録後あるいは印刷後発見された誤りについては,委員会は関与いたしません.当該著者が自分の責任で処理して下さい.
10.
著作権の行使の委任
他人の著作物を引用(転載)する場合の手続きの簡略化,外部へのデータベース情報の提供,近い将来予想される「著作権の集中的処理機構」への参画など,著作権をめぐる内外の情勢は大きく変化しております.本会へ著作権の行使を委任していただくことにより,それらに迅速に対処することができます.
11.
その他
(1) 投稿原稿は,体裁上最小限必要とされる条件が満足されているかのチェックがなされ,これが満足されていない場合は受付を一時保留し,著者に問合せを行います.
(2) 送付された原稿ファイルは,投稿原稿,最終原稿ともにいっさい返却いたしません.
(3) 個々の原稿についての査読員名および査読内容は公表いたしません.
(4) 著者負担金は,1編17,000円(水工学論文集CD-ROM1部を含む)とします.ただし,第一著者が土木学会の個人会員でない場合は10,000円を加算します.別刷は作成致しません.
注)著者負担金は、年度によって変更することがありますので、予めご了承下さい。
(5)その他,投稿に関する問い合わせは下記の係までご照会下さい.
〒160-0004 東京都新宿区四谷1丁目無番地
社団法人 土木学会 水工学論文集編集小委員会係
電話:03-3355-3559
Fax:03-5379-0125 E-mail:iwanishi@jsce.or.jp
別表1 査読分野一覧
(1)水文統計・PUB
(2)大気陸面過程
(3)降水
(4)流出
(5)雪氷水文
(6)地下水・浸透
(7)河川計画,河川管理
(8)土砂生産・土石流
(9)流砂・河床変動
(10)水害・氾濫
(11)管路・局所流
(12)開水路の水理
(13)流体力・流体振動・波動
(14)密度流・噴流・拡散
(15)水理現象の数値解析
(16)観測技術
(17)河道・流域の環境
(18)湖沼・貯水池の環境
(19)海岸・海洋環境
(20)その他
1997年(平成9年)7月10日制定
1998年(平成10年)6月24日一部改正
2000年(平成12年)9月19日一部改正
2005年(平成17年)7月22日一部改正
2006年(平成18年)8月16日一部改正
2009年(平成21年)7月10日一部改正