土木学会・土木計画学研究委員会
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徹底討論「土木の創造的転換:総合的地域マネジメント技術の構築と実践」議事録
- 日時:
- 2006年2月1日(火)
- 場所:
- 土木学会講堂
1. 問題提起 I
- 岡田:
- ・ 地域経営、社会基盤整備のために土木工学の再編成が必要
・ 担うべき領域にふさわしい名前と構想が必要
・ 東洋型「耕す,築くという土・木の生命」
・ 西洋型「civil, civicの持つ主体的に関わる住まい手・生活のつくり手」
・ 地域の取組み力⇒生活質の構造転換(準開放型社会システムのマネジメント)
・ 命・活・共(vitae system)
- 日下部:
- ・ コンサルタント委員会の視点から創造的転換、市場の拡大
・ 市民事業(サービス・プロバイダ,財源は社会投資ファンド―証券化)
・ 教育の転換⇒問題解決型の教育⇒ED(Engineering Design)教育
(1) 質疑応答:
- 岡田:
- ・ 岡田はコンサルタントへのニーズは下がると言い,日下部は発想の転換によりニーズは上がると言った.これは,視野を国内に留めるか,海外まで広げるかの違いのようにも考えられる.
・ 地域のサイズ,身の丈に合った地域開発.規模の小さな開発であっても,地域に受け入れられれば,そこで地域と共に技術やシステムが成長していく.
・ 大規模な文明のみに注視するのではなく,地域の文化のための総合知識.
- 藤田(コンサルタント委員会):
- ・ 岡田の言葉は「呪文」のようだったが絵はよくわかった.
- 水谷(環境システム委員会):
- ・ 日下部の言う開放型システムをやっている.
・ 必要な分野だとは思うが,あまり多くの参入者は不要と感じる.大勢力になることはないのでは.
- 日下部:
- ・ その通りだと感じる.
- 土井(神戸国際大):
- ・ 地元住民が反対する街路事業.それに対して行政は交通量調査等,道路計画の範囲内での調査を行い,その正当性を説明しようとする.
・ 住民は交通量調査をして欲しいのではなく,将来の自分達の地域がどうなるのかをはっきり見せて欲しい.地域の歴史的話などを聞く必要がある.
- 日下部:
- ・ 業務遂行のための合意形成では,信頼関係は生まれず,地域にも密着しない.
- 土井:
- ・ インドのデリーメトロで考えたこと
・ 日本の鉄道マネジメント技術は,世界的にも極めて優れた技術:単に鉄道を引くのではなく,まちづくりも並行させる必要がある.地域と一緒に成長する開発でなければ,多額の借金だけが残る.
- 日下部:
- ・ だからこそ,コンサルタントが重要であると考える.
- 大野(コンサルタント委員会):
- ・ 地域マネジメントは目的ではなく手段であると考える.
・ 目的を探求して辿りつくのは普遍的な価値観のはず.たとえば,持続的な社会の構築.持続的とは内と外とで収支がバランスしている状態.かけがえの無いものを守るということも普遍的な価値観.一つしかないとか長い時間をかけないと育てられないものがそれに相当.生命,文化,美(び)など.
・ 総合や統合ではなく,融合が必要となる.
・ マネジメントすることよりも,エリートのリーダーを育成し、みんなでフォローする形が望ましい
・ 人、物、こと(情報)の循環構造を作らないと持続型の社会は形成できない。
・ そういう循環構造をシステム的,学問的に構築していけるかが鍵である
2 問題提起 II
- 室崎:
- ・ 「外から内」というキーワードが大切に感じる.
・ 火災死者を減らすには,消火栓の水理,災害時の電力システムを研究する必要がある.
・ 電線がどこかで切れても,別のルートで回ってきて,その火花が引火して火災が起きる.
・ そういう電力システムに関する研究を放っておいて(研究費を投じないで),地域を活性化させてバケツリレーしましょう,と言っている.
・ 「点から面へ」が重要なキーワード.個々人を個別のケアで元気にするのは限界がある.地域社会を体系的にケアすることで,個々人が元気になる.
・ 阪神大震災で建物が崩壊した後,建築は「これでまた家が売れる」と考えた者が多い.建物が壊れた原因を考えないで,事業所を神戸に移して家を売ることばかり考えた.
・ 日本の大学では,木造建築についての講義が無い.日本人の殆どが木造に住んでいるのに,木造建築・建設に関する研究が遅れていた.その間にツーバイフォーがアメリカで開発され,日本の市場まで脅かした.
・ 震災の後,大学教育は変わるべきだったのに変わらなかった.
・ 一方で,震災にかこつけて無駄なこともたくさんした.地震で命を失う人は,おそらく年平均1500人.住宅火災では1000人.風呂で溺れる人は4000人.交通事故では7000人(1万人から減った).大雪は今年で100人以上.
・ 地域の負の部分をどうなくす(リスク)減災(被害の引き算)
⇒技術そのものの総合化
>個別・縦割りから総合・横へつなげる
>自然科学、社会科学を超えた科学技術
⇒技術適用における総合化(西洋医学的から漢方医学的へ)
>戦略性・包括性・即地性・持続性⇒内発性(漢方医学)
(1) 質疑応答と総合討論
- 藤田(コンサルタント委員会):
- ・ 「新しい地域ニーズ」は土木工学以外では当り前になっている.
・ とにかくリーダーが必要であると考える.
- 室崎:
- ・ 土木でも地域と密着して「まちづくり」をしている実践している人も多数いる.
・ 学問の机より現場の方が進んでいることは事実.フィールドに対して謙虚になるべきだと思う.
・ ヒューマンウェアな話としては理解できる.地球環境は大切,自然も大切.
・ しかし,それをインプリメントするには技術が必要であると考える.
・ 技術を全て否定してしまうことは進歩には繋がらない.ネットワークとコーディネーションはやはり必要である.
- 岡田:
- ・ 現場の中から生まれた「呪文(キーワード)」もある.
・ 「机上の空論」ならぬ「地上の空論」もある.
・ 「現場に出て現場に聞かなければならない」という認識の一方で,地上から構想論を引っぱりだして,学際的に議論する場も必要ではなかろうか.
- 室崎:
- ・ コンセプトを学際的・地域密着的に出す必要があると思う.
・ 予測をする作業も学際的かつ全体でやっていく必要があると思う.
- 水谷(環境システム委員会):
- ・ 抽象的にいろんな意見を言うのは良いが,具体的な解決策も出してもらいたい.例えば,駐車場が必要である一方で,法令も遵守しないといけない.
- 室崎:
- ・ 基準を守りつつ駐車場を作ることは可能だ.色んなニーズを解決するのが技術者である.
・ 壁がなくても構造的に地震に強い建物は作れるが,それを「法律を守る」ことだけで済まそう,そのためのルールだけ作ろうとするのは技術者ではないと考える.
- 永野(コンサルタント委員会):
- ・ 人口増加状況下でのコンサルタントをやってきた.将来の人口増加のみを頼みに需要追随型の地域計画が行なわれてきたため,弊害が随所に表われている.
・ 人口減少時代に,どのようにアタマを切り替える必要があるか,一言いただきたい.
- 室崎:
- ・ 地域社会のニーズをしっかり捉えることが大事だと思う.
・ 既成の概念(e.g., 建築で教えられてきたコルビジェの機能的都市)と現実の状況とのギャップを認識する必要があろうと思う.
3 話題提供
(1) Rajib Kumar, Shaw
- Shaw:
- Integrated Approach and Action in Disaster Management
・ 言葉として書くことは簡単だが,実際のアクションは難しい.ネパール,インド,アフガニスタンでの実践から得た知識をお伝えしたい.What should
be done --- what can be done の違いを頭に入れておくべき.
・ 研究,教育だけでなく,training (実践,訓練)が必要.
・ カトマンドゥの街の煉瓦造りの建物は無節操に増設されており,「どうしようもない建物」になっている.街を少し離れると,建物は(焼いてもいない)日干し煉瓦で作られている.
・ どこから手をつけたらいいか判らないから,まずは学校から.
・ 補強した建物と昔通りの建物の2つの 1/10模型 を作り,実際に施工する大工の前で振動実験をやってみせた.政策決定者,研究者,家主,大工が,皆,その実験工程を見ている.
・ 言語の違いを実演で乗り越える.業者任せでなく家族みんなで建物を作る.
・ 同じ材料でより強い建物をつくる活動.しかし,「絶対に壊れない」建物は作れない.
・ せっかく大工を訓練したのに,生活のためにトラック運転手などになってしまう.そこで,大工集団のセメント・ブランドを立ち上げた.生活の基礎を固めつつ,建設プロジェクトに参加する.政府発注の建設プロジェクトでは,その集団から50%は雇うことにした.
・ アフガンではタリバンのせいで荒廃し,'02では資料も人も残っていない.
・ アフガンのNGOの人たちは失なわれた20年をとり戻すのに躍起になっていた.
・ CBDM(Community Based Disaster Management)などもやった.地震だけでなく,台風や洪水,水不足なども活動対象としてきた.
・ 復興も自分たちで.援助の人はあくまでファシリテーター.
・ 現場に行き,自分の目で見ること.何をするべきで,何ができるのか.
・ 現地の人を味方につけることが大事.
・ 新しいものを発見しなければ進歩は無い.グラフや数値の防災ではいけない.マスタープランを作るだけの関わりは要らない.
- 岡田:
- ・ 土木工学者は,これまで非常に大きいものを扱ってきたし,仕事にならないといけない.この観点に立つとき,一人の土木研究者,技術者,専門家,あるいはボランティアの内,どの立場として関わっていくのか,また,それぞれの立場で何ができるのかを考えていかないといけない.
- Shaw:
- ・ 現場を見て,現場の人と一緒に仕事することで,成功するプロセスと失敗するプロセスの見分けがつく.
・ 昔のマスタープランでは,GISの上に数値を重ねるだけだった.これからは,地域とのつながりを大切にしている.
- 藤田(コンサルタント委員会):
- ・ 法政大の文化系サークルが「大学で講義中に地震が起きたらどうなるか」を考えた.
・ 物をどう作る/作り直すことばかりを考え過ぎではないか.
- 朝倉:
- ・ "Integrate"ということで「災害時」だけでなく「平常時」を統合する必要だと考える.平常時にタフな地域が災害時にもタフである事例,そうでもない事例があれば教えていただけないか.
- Shaw:
- ・ Social capital を持つ地域と,そうでない地域を調査した.Social capitalは復興の速さや満足度に大きく影響するだろう.
(2) 小石(玉野総合コンサルタント)
- ・ 主体:住民,局面:管理・運営について事例報告・話題提供したい.
・ 施工・整備を住民主導でやったところはあるか→土地区画整理事業.各戸の敷地から削った土地を公共化したり,売却したりする.かなりの敷地面積が実績としてある.
・ 管理・運営を住民主導でやったところはあるか→稀.コスト負担してまで管理を行なうための動機づけが不明.
・ 土地区画整理組合は,区画整理事業後は解散.
・ アメリカにおけるBID(Business Improvement District)活動.
・ 公共空間のメンテナンス,安全確保,テナント誘致,交通対策,景観形成などをしている.法律による強制参加がある点でTMOと違う.
・ 汐留地区シオサイト.施設を地域で維持管理するという取り決めの下で,高規格の公共施設を整備してもらう.中間法人「汐留シオサイトタウンマネージメント」を設立.
・ 協定により,管理区分分担を極めて細かく定めている.
・ e.g., 躯体部は都管理,それ以外は維持・修繕(時には更新も)までを中間法人や共同管理.
・ 現時点では上手くいっているように見えるが課題もある.
- 強制参加によるフリーライダーや不安定な財政基盤を生む.
- 構成員を地域に限定するための中間法人→限定利益目的(公益目的ではないと判断)→税制優遇なし.
- 公共性があるため用途の弾力性が低い(e.g., 交通管理者との紛争).
・ 土木技術+マネジメント
(3) 土井(神戸国際大学)
- ・ 行政
- - 「民間」への片想い.複雑な意思決定だから遅いのは仕方ない.
- 「中央は偉い,地方は下働き」という構造と意識が,責任感の希薄をもたらす.
- 中央から予算を取ってきてモノを作る人が「優秀な人」で,地域の問題を解決するという目的との間にギャップ.
- 日程調整技術や収支調整技術のための技術者
- 人件費の概念が乏しい.
- ・ 企業
- - 企業の行動原理は,利にかない,法にかない,情にかなう仕事.企業活動が存続・継続すること.
- 100万円企業で貯金するには,200万円稼いで,100万円税金を納める必要.
- 年収500万円を受け取るためには,1500万円稼がなければならない.
- ・ 大学
- - 「実学」である以上,社会との接点が不可欠.例えば,バス会社.企業が儲からないような提言に意味があるか?
- ・ 阪急電鉄の利用者推計
- - 利用者数の推移.'95に沿線人口の推計とPTデータを用いて'15を推計.
- 沿線人口は0.1%減少,利用者数は13.9%減少.高齢者が増えて通勤が減るから.
- こうしたデータが示す状況でも利益が出るように会社の経営改革が行われた.
- ・ 都市再生には技術者のやることはいっぱい.
- ・ 公共事業を従来型で行うと,行政「へとへと」住民「くたくた」コンサル「右往左往」
- ・ 必要な技術として,例えばLRT導入のための需要予測は必要性を量的に保障する需要予測(多い程良い)よりも,事業として成立するための仕組みを考え,需要量を想定することと,検討案.
- - 必要なことは…
→ LRT導入で都市がどう変わるか.既存の赤字公共交通とどう違うのか.
→ 運行コストを賄う利用者数の算定…安定経営か暗転経営か.
→ 資金すべてを行政で?
- こういう仕組みを考える技術者が必要.
- ・ 「まちづくり」の定義
- ・ 「地域の住民が自律的,継続的に取り組む環境改善活動」
- ・ そのために必要な技術
- - 人々が集る場づくり(コーディネータ)
- 意見を出し合う技術(ファシリテータ)
- 意見を実現させる技術(プロデューサ)
- ・ 地元の専門家(住民)と技術の専門家.例)バリアフリーと段差と排水.
(4) 中井(東京大学)
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- ・ 重点的・集中的な金銭・人的投資をしてこなかったので効果があがらなかった.
・ 片山津地域.地元の土で舗装材を開発.お年寄りが休めるベンチの創設.
・ 片山津には公共の水辺がないため,住民に「潟の町」という意識が希薄.
・ 水を引き込んで池を作り,水生植物を再生する広場を作った.
・ 観光客150万人を取り戻すことは不可能.しかし,現実問題として,住民は旅館のあがりで生計を立てており,野鳥や公園は所得に直結しない.
・ 中井は,civil engineering のプレゼンスとは,モノ を作る/作ってしまえる迫力と責任であると考える.それが地域復興の契機となれば幸いである.
4 参加者を交えての徹底討論
日下部総括コメント:
- ・ →小石
- - 行政側も,現場の課題・問題点を知った上で,必要なものについては法整備も含めて考えていっているようだ.
- ・ →土井
- - ファシリテータ,コーディネータ,プロデューサのそれぞれにデザイナーが必要であるだろうと感じる.
- ・ →中井
- - まちづくりをやっていて一番強く感じるのは,第三者の立場で,長年かけて場を作っていく人材の不在.テーブルをセッティングでき,資金を持ってこられる戦略性があり,腕のたつ専門家を集めてコラボレーションができる人が必要.しかし,そういう人を給料を払って雇うシステムは存在しない.
- ・ 地元の行政、コンサルタントが地域でどういう役割を果たすか,そこへ人材を派遣する地方大学がどういう教育を行なうかが今後の重要な課題であると考える.地方大学が、地域再構築の理論と実践の拠点になるべき.
- 水谷(環境システム委員会):
- ・ 地域住民がどこでどう給料をもらって生計を立てるかについてのビジョンまでを考えていくのが地域マネジメントではないか?景観,街路,公園を整備するだけでは何にもならないのではないか?それについて一言頂きたい.
- 中井:
- ・ 広場や道のデザインそのもので地域住民を食べさせていくことは不可能.インフラを通じて,地域が持つ歴史や潜在活力に気付き,自発的に変わって行く契機を作ることが地域マネジメントではないかと考える.
- 宮本(武蔵野工業大学):
- ・ 土木計画学からはもっと現場に入っていくべきだと考える.地域と相手の顔が見え,喜んでもらえるような研究が必要である.
・ 中井先生の「モノを作ることこそ土木」という考え方にも共感する.
・ 近年のソフト偏重主義な土木は,手段と目的を取り違えているのかもしれない.
・ 適正な民間の活用は必須.そのための(例えば人件費などの)制度を整備していくことは重要であろう.
- 加賀屋:
- ・ 20年以上前に「計画学(とはどうあるべきか)論」を議論したことを思い出した.
・ プロジェクトというものに対して,我々がどう考えているかをはっきりさせていく必要があるだろう.
・ 地域の「取り組み力(coping capacity)」の担い手・育み手になることが大切ではないか.
・ 地域の持つ潜在的活力を引き出す契機・刺激となることは,土木計画学研究委員会にもコンサルタント委員会にも有益だと思う.
・ インフラ整備の各段階で,地域住民が関わる場を形成していく(マルチ・ステージでの関わり)必要があろう.
- 発言者不明:
- ・ 制度づくりの制度(?)を確立すること,地域が持つ問題点を浮き彫りにする能力が大切.
- 土井:
- ・ 小石の発表に関して.税制の取り扱い.
・ 税制優遇が受けられず国税として吸い取られた分は,本来は区のお金であり,それを活用することでお金の内部循環が上手くいったのではないか.
・ 地域マネジメントで得られる「果実」は住民に帰着するため,コンサルタントへの成功報酬は払われにくい.
・ 歩道空間,歴史空間の核を作るために幹線道路は必要だ.
・ 住民側の「移行対立がないと補償されない」といった先入観などの払拭も必要.
- 小石:
- ・ コンサルタント報酬について,維持管理で発生する報酬だけに基づくビジネスモデルは成立しないように感じる.
・ 自分のマンションのセミ公共部分に対する維持管理費で月1万円払うことには抵抗がないのに,「純公共空間」になった途端にもったいない,払えないと感じるのは何故だろうか.
- 田中(岐阜大学):
- ・ 皆さんに考えて欲しいこと.「地域に対する愛着心」をマネジメントすることはできるのか.
- 中井:
- ・ 「自分の住んでいる地域を心底嫌っている」人や「100% 好きでたまらない」という人は居ない.合意形成のプロセスは,地域への愛着心だけで決まるものではない.地域の微妙な人間関係の中で,どうやればスムーズに議論できるか,そこが出発点である.
- 田中:
- ・ 補足.成解になるほど.縦割りをやめて横繋ぎにした結果が景観である点になるほど.social capital を測ったり,マネジメントしていくことができるのか.コンサルタントの実務ではどうだ.
- 発言者不明:
- ・ 人と人がポジティブに相互作用する仕掛けづくりをしていくことが地域マネジメントであり,建設産業の本来の姿ではないか.
- 発言者不明:
- ・ 地域に対する「愛着」を,各人が「モノを作ることに迫力と責任を持つ」ことと定義するならば,地域に対する愛着心を持つことは,良いことだと考える.
- 岡田:
- ・ 愛着のマネジメントはできるのか.して良いのか.
・ 行政の定めた枠組みの中で,通り一遍ではない地域活性化を我々が求められたとき,地域の取り組み力(coping capacity)にどう関与するか.
・ その結果は,プロセスでのみ生み出されるものである.
・ 自分の住む地域が生命体である,ということに気付けば,自分の身体の不調を自分で診断して,節制していくだろう.それを気付かせてあげることが愛(憎)着心のマネジメント.そのための関与の力.地域が,自分達の身体である(自分が保有する財産である)と認識できたときに,マネジメントは変わる.地域の
ownership
が重要である.
・ 地域に関わるとき,半端な気持ちでは関われない職業倫理が問われる.それを問い,育む場として,すなわち,教育の場,およびプロの倫理を育む場としてのフィールドが必要だ.
・ 市民のための地域事業にコンサルタントが直接的に関わって報酬を得るような国家的制度が必要である.
・ 「安全で安心で美しい」国策が必要.
・ 土木工学,コンサルタントが行き詰まっていることは事実.
・ これまで紡いできた知識技術をどう活かせば良いのか,ということへの道筋は見えてきた.
・ しかし,新しくやってくる学生に「この道を歩めば,こんな素晴らしいキャリアが待っている」という希望・姿勢を見せることもまた同時に必要であると考える.
・ 今回は,その「お見合い」として大成功だと認識している.
・ ぜひ,春までにこのメンバーでもう一度集まって,知の定型化をはかりたい.
- 事務局:
- ・ コンサルタント委員会の成果物を積極的にアピールしたい.
・ いずれ,本シンポジウムの「主役」である住民にも参加いただいて,お話に参加していただく場所をつくれればと思う.
文責:長江@神戸大学
2006年2月3日作成
2006年2月17日修正(朝倉)
2006年2月27日修正(秋葉,土居,中井)
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