土木学会・土木計画学研究委員会
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平成18年度第1回土木計画学研究委員会幹事会・議事録
- 日時:
- 2006年9月20日(水) 18:00〜
- 場所:
- ぱるる京都 会議室4
- 配付資料:
- 議事次第
委員会名簿
仙台大会の委員会議事録
- 需要予測小委員会は,今夏の期限満了をもって閉会する.
活動報告(16年度および17年度)
事業計画(18年度)
- ・宮本:
- 個別調査書は土木学会の評価委員会に参照されるので今後とも重要.
- ・朝倉:
- 個別調査書について,修正意見があれば,朝倉まで.
- ・上田:
- 各項目がどれだけの重みで評価されたかは公開されているのか?
- ・宮本:
- 数量化されている部分のウェイトは公開されているが, 後半部については未確認.問題があったらその点のみを評価委員会が記入して返すのではないか.
- ・北村:
- 論文集,CD-ROMの延購入数が少なすぎないか.
- ・朝倉:
- 要確認.おそらく,参加者以外の購入者数.
検討項目:
1.広報体制:
- ホームページの更新,IPメーリングリスト等に問題はないか?
- ・日野:
- 新着情報のアップは容易.古い情報をどこまで消してよいのか?
- ・岡村:
- サーバーの容量がある限り,古い情報も極力残しておくのがベターだと思う.
- ・日野:
- 容量にはまだまだ余裕がありそう.
- ・朝倉:
- ホームページ以外の広報についてはいかがか.たとえば公募情報など.
- ・上田:
- イベント情報も重要だが,書籍案内・書評欄が貧弱では.経済学の分野では書評自体が参考文献になり得る.
- ・朝倉:
- 書評を書いてもらえそうな候補を常時10〜20名ほどリストアップしておいて,月に誰か一人,一本書いてもらうのはどうだ.
- ・上田:
- 計画学のホームページから書店のサイトにリンクしてはどうか.
- ・宮本:
- 計画学内部向けのホームページのような感じが強いので,できれば,外に向かった情報公開の形にしたい.
例えば,インフラ・PFI研究小委員会のホームページは,内閣府からリンクされている.
- ・日野:
- 外部から計画学のホームページにリンクさせてくれ,という依頼は少ない.
- ・岡村:
- 検索に引っかかりやすいホームページを作るコツはある.
- ・張:
- 英語ホームページをどこまで作成するか.
- ・朝倉:
- 計画学発表会の英文Call for Papersは外注している.そのほかの一般的なものについて,日本語コンテンツをもらって,委員会の方で英語コンテンツを作るのは極めて困難.日本語と英語の両方のコンテンツを頂く必要がある.
- 担当者(日野)先生の交代: 日野先生の残りの任期期間の間に次の担当者を決めて,しばらく協同でHPを担当してもらう
2.公共政策デザインコンペ:
- 来年度の実施対応.
・萩原・吉井先生+幹事会から,田中先生,内田先生,高橋氏,岡村氏のサポート
・田中:
今年度の活動は概ね終了.
- ・朝倉:
- そろそろ来年度のポスターを作る頃ではないか.
- ・田中:
- 公共デザインの評価の際に,「実現可能性」を問うのか,「ビジョン」を問うのかが明確でないと,参加者が困惑する.第1回では,多くが,計画学での発表論文をベースに作られていた.しかし,建築分野などから,かたちを重視したものなども出展されている.
- ・ 苦瀬:
- なぜ「公共デザイン」でも良いが、「土木計画コンペ」という言い方もあるだろうか?
- ・ 朝倉:
- 過去数年の議論を踏まえた名称である.個別調書の中の人材教育欄を参照してほしい.
- ・ 内田:
- 評価基準が評価委員ごとに異なっていた.例えば,単独で出展した作品が,「一人で頑張った」ということで高い評価を得たり,「複数の意見をまとめることこそが公共政策だ」ということで低い評価を得たりしていた.一般投票者も,何を基準に判断するべきか判らなかっただろう.参加者も,何が評価対象なのか判らないと,狙いどころを絞れない.
- ・ 朝倉
- 評価基準を明確にして募集することと,評価委員に基準を確認することなど,来年度の担当者に依頼する.
3.研究成果の国際発信:
- 既存英文ジャーナル等を活用する.
- 日中シンポジウム(岡田先生,7月)
- ・北村:
- アジアにおけるモータリゼーションをテーマに call for paper をかけたら30編ほど論文が集まった.アジアがアカデミック・ジャーナルの中心となることは明白.アジアをベースの商業雑誌もいずれ発刊されるだろう.
- ・上田:
- WCTRSの transport policy の編集会議に出席した.日本人が少ない.special issue の話は出るが,リーダーシップを取る人は今のところ現れていない.アジアやメガシティでの交通は注目されている.そういう意味では,「空きスロット」はある.
- ・宮本:
- EASTもジャーナルは出しており,その中から selected paper を出したいという議論はあり、検討中である。
- ・張:
- 交通以外の分野でも日本で展開されている土木計画学の研究について,関係する国際雑誌にてspecial issueを提案する必要がある.
- ・北村:
- 政策分析とインフラとの両方にまたがるようなトピックはニッチではある.
- ・上田:
- regional science では経済学偏重のように見える.Environmental planning Aが一番アクセプトしてもらえそう.
- ・朝倉:土木計画学という国際的には境界のトピックでは,適切な相手を探す必要がある.岡田先生が企画された夏の日中セミナーは,ややシステム分析寄り.
4.計画学研究発表会:
- 次期(香川の次)秋大会の開催地(二巡目 and/or 首都圏・関西圏の未開催校)
- ・清水:
- 方針としては,群馬大学が未開催校なので候補の一つ.近い将来には,構成メンバーの代わった未開催校もありだろう.八戸工大,東北芸工大,信州大なども残っている.
- ・上田:
- 応用地域学会では未開催校が尽きたので,暫定的に(大学でなく)企業にお願いしている.確かに会場費の問題もあるが,民間の研究所,国交省などとのジョイント・ベンチャーなども考えられるのでは.
- ・朝倉:
- 今回の香川大も大学外に会場を借りているので,大学構内でなければならない,ということはない.
- ・宮本:
- 研究発表会創設当初の趣旨を考えると,地方中心で開催するのがいいのではないか.
- ・朝倉:
- (これまでの順にはこだわらず)2巡目に入る方が,人員の少ないところに無理矢理お願いするよりも望ましい.ただし,周囲の大学に協力をお願いできるようなら別
(e.g. 足利工大)
- ・清水:
- 学術小委員会でも,2巡目に入ってよいという見解.
- ・朝倉:
- 来年度の春大会は九州大学で決定している.次回の秋大会は喜多先生および学術小委員会と相談の上,基本は1巡目の大学,必要とあらば2巡目を検討する.
5.「フィールド科学としての土木計画学」の展開
- ・朝倉:
- このトピックは,岡田前委員長が引き継ぎを熱望されていたわけではないが,「土木計画学とは何か」の議論に極めて近いと思うので,できれば継続して議論したい.
- ・宮本:
- 「フィールド科学」のとらえ方が各人で異なっていたので,議論が平行線を辿っていたように思えた.議論する際にもう少し焦点を絞る必要があるのでは.
- ・北村:
- 何が「フィールド科学では無い」のかを見る方がいいのかもしれない.本来,臨床と病理が揃ってはじめて科学.それなのに,臨床を中心とした「フィールド科学」をあえて強調するのはなぜか.
- ・朝倉:
- 岡田前委員長は,やみくもなフィールド「調査」と「科学」の対立概念を提唱したかったものと思う.
- ・張:
- 講義としての
Infrastructure Planningの訳語はどんどん変化しているようだが,英語は変化していないように見える.土木計画学とはなにかに関する議論は引き続き必要のではないか.
- ・朝倉:
- そもそも,「土木計画学」という講義の内容が各大学でバラバラ.土木計画学とは何か?と聞かれた時に,ヒトによって回答がバラバラになってしまう点は問題かもしれない.
- ・上田:
- 委員会でこの議論を継続することは必要不可欠だが,それと具体的な活動が有機的に結びつくとは言えないのでは.毎回,計画学研究発表会で「計画論」というセッションを設けて議論するのはどうだろうか.
- ・苦瀬:
- 古くは「土木・計画学」か「土木計画・学」という議論もあった.いつの時代も議論はあったので,それを記録に残しておくことが大切ではないか.
- ・朝倉:
- 喜多学術小委員長と相談する.
- ・田中:
- 現場主義の委員会の中で,「外から見た計画学」は,単なる対費用効果の評価をするための学問のようにしか見てもらえない.そういうイメージを払拭するような情報発信をしていく必要がある.
6.来年度,全国大会研究討論会の企画担当者
- ・朝倉:
- 「アジア地域の地震災害科学への貢献−土木計画学からのアプローチ−」というテーマで討論会を行なった.本来,こういった討論会の内容はもともと準備しておくべき.どういう討論会をするべきか,あるいは勇気をもって「研究討論会を行わない」とするのか,などを委員会で議論しておきたい.
- ・宮本:
- 「止める」という意思決定はよくない.
- ・
上田:
- 年次講演会における計画学分野の教員の参加者数が少なすぎる.発表者は学生や実務関係者.ということは,内部向けの研究討論会は不要.
研究討論会の数も多く,似たような討論会が複数存在しており,乱立気味の常置委員会が,義務的にやっているようにも思われる.
そこで,下記を提案したい:第1に,「委員会の中で○○といったことを討論したい」ということを決めておき,それを(主に外部の方と)きちんと議論できるならやる.第2に,それが実現できないのなら,計画学は勇気をもって止める.
年次講演会での研究討論会は,全国大会の性格を活用して,「分野横断的」なトピックで,数を限定し,委員会活動の点数稼ぎの企画は採択しない,ということを計画学から積極的に提案していくのはどうか.
- ・朝倉:
- 全国大会の実行委員会レベルでは恐らく決定できないので,理事会等で議論する必要があるだろう.
- ・朝倉:
- 「止める」という意志決定は後からでもできる.準備しておくにこしたことはないので,研究小委員会の成果ベースで考えること,その上で,分野横断的なトピックに関連するテーマを計画学研究委員会で提案できるようにしておきたい.
- ・上田:
- アセットマネジメントは6部門でもやっている.各委員会・部門で勝手にやっていて,統合もされようとしていない.
- ・宮本:
- 逆に,各委員会・部門から,それぞれ一人づつ発表してもらい,統一的に議論する場を,土木計画学のイニシアティブで設けるのはどうか.
- ・上田:
- 成果物をいつでも出せそうな小委員会がいいと思う.経済性照査のような他分野と連携している活動を小委員会と結びつけて発表する手もある.
- 研究討論会を意識する・しないに関わらず,「小委員会以外で他分野と連携している活動」をサーベイしておくのは良いだろう.たとえば,
- ・耐震化の経済性照査:朝倉,上田,長江,多々納,澤井
・流域計画との連携:多々納,福岡
・現場との連携(土木史?):田中
7.講習会,シンポジウム,ワンディセミナーの新企画
- ・朝倉:
- 学会として活動の成果を会員・非会員に公開することは必要不可欠だが,最近,これらの成果報告が滞りがちである.評価委員会対策というわけではないが,成果物が見えない小委員会もないわけではない.「こういった報告を要請しては」という提案があれば,お聞かせ頂きたい.
- ・宮本:
- 建設マネジメントの方では,義務付けを行なっている.
- ・朝倉:
- 現在では「毎年,一定量の成果物を出す」ことは義務付けられていない.
- ・上田:
- 研究小委員会である以上,アカデミックな研究成果が報告されなければならない.特に,論文集の special issue へ研究成果を報告することは必要だと思う.現時点では,各小委員会は,研究論文の蓄積よりも,実務的な政策提言を急いでいるように見える.3年間の活動の成果として,研究論文が出ずにイベントや政策提言が氾濫する風潮は,いずれ,土木学会自身の首を締めることになるのではなかろうか.
- ・朝倉:
- 本来は,アカデミックな成果と連動した政策提言が望ましいが,それをいきなり小委員会に要求するのは厳しいのでは.そのため,イベントや講習会であっても活動は活動と見なすのがよいのでは.
- ・上田:
- アカデミックな成果を最初から放棄して“見切り発車”している研究小委員会もあろう.「研究」小委員会であるからには,原則,アカデミックな研究活動をするべき.
- ・苦瀬:
- 「先端的研究を研ぎ澄ます学術的な活動」から,「判らないことを一所懸命議論してきたので,シンポジウムしよう」という活動まで幅はあるのだから,その中のどれかはやってくれ,というスタンスが望ましいのではないか.
- ・北村:
- 「研究小委員会は何をするところか」をもう一度議論する必要があるかも.
- ・朝倉:
- 規約には研究小委員会の定義は書いてあるが,その妥当性や実態との整合性をもう一度見直しておく.
- ・朝倉:
- 各小委員会に以下をサーベイしておく:現在の成果発表状況;アカデミックな成果とどう結びついているか;および,どのような考え方で活動しているか.
- ・朝倉:
- 小委員会の構成員がかなりダブっているところもある.活動が活発ともとれるが,あまりに重複していると小委員会を統合することを検討されても良い.
8.研究小委員会の活動評価:
- 出版物,講習会など,目に見える形で成果が示されているか?
- ・朝倉:
- 小委員会と直接は連動ないが,成果発表を企画するとしたら,どういう案があるか?
- ・北村:
- special issue の研究発表:「アジアでのモータリゼーション」
- ・苦瀬:
- 「物流調査はどこへ行くのか?」というワンデーセミナーをしてもらうのは.
- ・北村:
- 昨今,「交通安全に関する統計解析・経済評価」が注目されている.現状では,データが十分に公開されておらず,科学的な安全政策がとられているようには見えない.少子高齢化,飲酒運転厳罰化などの背景を踏まえ,公共安全や交通事故解析などをテーマとしたワークショップをしてはどうか.
- ・上田:
- 交通安全の経済評価は,保険分野で議論している可能性はある.
- ・張:
- 実践的ITSで,ここ3年くらい,多少なりとも議論している.
- ・苦瀬:
- 「交通管理・道路管理・土地利用・建物管理の連続性」あるいは「都市空間の管理」といったものをきちんと議論できる場はない.
- ・北村:
- 制度的・政治的要因も大きい.
- ・朝倉:
- 実務でそういった問題に直面している方が詳しいかも.幹事の高橋氏@IBSに相談しておく.確かに,都市そのものを対象としたシンポジウムが最近少ないように感じる.
- ・ 田中:
- 九州デザイン・シャレットに出席.土地利用,漁港,物流,鉄道,高齢化,農村の過疎化と都市再生を結びつけたシャレットを学生と行なった.首都圏の都市再生はあるが,過疎・高齢化地域での都市再生の議論はない.
9.その他
- ・北村:
- 「計画とは何か」や「計画論」というセッションするなら,その枠と(色んな世代からの)話題提供者を今の内から考えておくべき.
- ・上田:
- 上田,森杉,小林,藤井,奥村などで「社会資本とは何か・どうあるべきか」という論点集を執筆している.それをネタとするのも良い.
- ・朝倉:
- 春大会に出版が間に合えばスペシャル・セッション,そうでなければ,出版に合わせてセミナーを開いても良いと思われる.
- ・朝倉:
- 次回土木計画学委員会は,秋大会@香川の初日(12月1日)の昼にセッティングしたい.必要があれば,幹事会を,前日(11月30日)の夜に開催する可能性がある.
文責 長江剛志(委員兼幹事)
作成日:2006年9月26日(火)
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