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社会基盤の政策マネジメントの実践 |
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本企画セッションの目的は,社会基盤の政策について実務者と研究者が協力して新たな政策マネジメント体系の構築とその実施に向けた検討を総合的に行うことである.社会基盤施設に関わる政策のマネジメントシステムに関する諸々の事項,例えば,アウトカム指標のあり方,アウトカム指標にリンクした政策立案の具体的方法論,トップダウン型政策プロセスとボトムアップ型政策プロセスの融合方法,各種の新たな仕組みのモニタリング,研究トピックの抽出整理,マネジメントの実践事例,こうした取り組みや活動に関する報告などの論文を歓迎する. 参考:社会基盤の政策マネジメント研究小委員会http://www.jsce-ip-pmcommittee.com/ |
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市民参加・PI |
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本企画セッションの目的は,PI(パブリック・インボルブメント),市民参加について実務的な研究を深度化させることである.これまでも様々な機会で,社会基盤の計画プロセスにおいてPIや市民参加の事例が発表されてきたが,本セッションでは既往の研究発表をさらに発展させ,PIの効果・評価を論じた研究,PIのプロセス・マネジメントの研究,メディエーション(紛争解決)や心理学的アプローチを応用した研究などの観点からPI・市民参加を論じた投稿を歓迎する. |
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モビリティ・マネジメント |
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モビリティ・マネジメント(MM)は、これまでも基礎技術に関する研究が積み重ねられ、ここ2-3年で実践事例が急速に増加してきた。しかしながら、地域属性や対象者によってどのような動機付けやプログラムが最適であるのか、また情報技術の活用やPIとの連携、海外の動向把握など今後もさらなる研究の進展が必要であると考えられる。このような状況をふまえ、MMの基礎技術と事例に関するセッションを企画します。 |
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学校教育と土木 |
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総合学習の時間の導入を契機に,環境や福祉など公共問題に関して専門的な知識を有する行政,学会,大学教員が学校教育の現場と共同でプログラムを開発し,実践してきた.これまで,クルマと公共交通の使い方,バリアフリー整備,道路・街路整備,河川環境,土木遺産など,社会資本を題材に,よりよい社会を形成していくための公共的視点を学習する実践例が増えている.本セッションでは,学校教育の現場で,土木に関するこれら幅広い題材を用いた学習実践例や土木工学の専門家としての学校教育に対する関わり合い方などの報告を通じて,学校教育における専門家の役割を再考する. |
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地方部における土木計画学−その役割と可能性− |
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本セッションでは,地方部で土木計画分野を対象としている研究者による,各地での取り組みについての事例紹介をもとに,それぞれに固有の問題構造について理解を深めるとともに,問題解決のための共通フレームの構築,統合的なアプローチの可能性について議論する.地方部では,急速な高齢化・人口減少,少ない交通需要の広域的分散,経済活動の低迷・公共事業関連予算の縮小などにより,インフラのサービス水準の確保が困難になっている地域が少なからず存在する.街の活性化,医療・福祉や防災性の確保など,地域社会を維持するための実践的な取り組みに関する知恵を広く持ち寄り,体系化する場としての土木計画学の役割について議論する. |
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地方部の活性化とソ−シャルキャピタル |
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人口減少と長寿社会の到来において,国土の中には,定住面や交通面などの条件が整っていないため,生活圏の形成が難しい地方部が存在する.これらの地方部では効率的な社会基盤整備や都市サ−ビスの充実が難しい.このため,地域住民が真に求める「使える基盤整備」や「地域コミュニティの再生」などから地方部の活性化を検討する必要がある.本企画の目的は2つある.1つは,地方部の持続的発展可能性を担保する道路などの社会基盤の役割についてあるべき姿を導くこと.2つめは,ソーシャル・キャピタルの視点から地域に存在する人的ネットワ−クの変容をとおして,住民協働を越えた「起業的地域」の形成可能性を導くことである. |
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リスク社会における制度的資本と社会関係資本 |
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様々なリスクが存在する下において,インフラの計画から建設,運営までを的確に実行していくには,関係利害主体の規律付けが必要であり,そのための具体的な仕組みが,一つにはフォーマル化されたものとして法律や契約の束としての制度であり,それも広義の社会間接資本の中で制度資本と位置づけられている.いま一つは,フォーマル化されたものではなく,人やそのネットワークの中に体化された知識やルールとしての社会関係資本(ソーシャルキャピタル)である.本セッションはこの両方の新しい資本の捉え方を軸にして,リスクマネジメントの仕組みについて広範に議論していくことを意図している.なお,発表論文の予定とセッションの企画運営については,リスクマネジメント研究小委員会が中心になって行う予定である. |
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土木計画学におけるガバナンスと制度設計 |
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土木計画学分野で扱う問題では,さまざまな利害関係者の意思決定のコーディネーション問題が重要となる場面が多い.本セッションでは,このような意思決定をコーディネートするための制度設計(法律,契約,規制等)について議論を行う.制度設計の問題をガバナンス(統治)の問題と捉えることによって,問題分析及び政策的知見の導出のための包括的な方法論を確立する意義は極めて大きい.また,実際的問題に対する政策的知見を見いだす上で,実務上の慣習等にも精通した人材との共同研究は必要不可欠である.本セッションを通じて,制度設計に関する実務的問題に対する分析的手法の可能性と限界についても明らかになるものと期待される. |
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交通計画の制度体系の再構築に向けて その2 |
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厳しい財政状況,人口減少,少子高齢化,既設施設の大量更新時期の到来,経済圏拡大等の環境変化に伴い,交通社会資本の整備も新規整備だけでなく,維持・改良を含む交通の長期マネジメントへ転換させ,計画の役割や内容を再構築し,各施策の投資根拠を明確に説明することが必須となる.国土形成計画や重点計画の検討も本格稼働しており,道路,空港,鉄道等の各交通システムにおいて,長期・短期,広域・都市圏,既設・新設を含む交通計画制度体系の再構築に向けた検討を行うべき時機と考えられる.本企画セッションでは2006年度春大会のSSに続き,今後の新たな交通計画体系のあり方を目的とし,理論・実践を問わず幅広い投稿を期待する. |
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新たな国土の形成と管理に向けた地域課題の分析とその解き方 |
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現在検討中の国土形成計画の下では,「多様な広域 ブロックが,世界(特に東アジア)と直接交流するとともに,地域の成長のエン ジンとなる都市及び産業を強化すること等によって自立的に発展する国土を形成 する」ための方策を,地域が自らの戦略と広域的な連携の下に見出すことが求め られる.このようなことに鑑み,本セッションでは,地域が一丸となって地域づ くりを進めてゆくための問題解決ツールの提供を目指して,@近接するアジアの諸都市との交流回廊の形成,A集約型都市構造の形成に向けた土地利用,防災及び交通経営,B観光や地域資源を生かした地域活性化,C地域コミュニティの維持・活性化,D人口減少少子高齢化時代に地域が抱えるその他の諸課題,に関する地域構造分析,経済効果やインパクトの計測・評価,合意形成等に関する研究発表,討論を行う. |
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広域地方圏の形成と経営のためのプレイスマーケティング |
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今日ほど「地域づくり」という言葉が多用される時代はない.国土形成計画法に基づく新たな空間ビジョンや道州制の議論が進む中,地域をどのような視点やフレームで捉えるのかが問い直されている.しかし,ローカリズムとグローバリズムのジレンマに揺れる地域づくりの定義は曖昧である.経済力のみならず,美しさ,生活の質,人々の知識,これらは全て地域の競争力に帰着する.こうした認識から競争力を多元的に捉えるプレイスマーケティングの手法等が近年注目を集めている.本企画セッションでは,欧州のトランスボーダーガバナンスの事例等を参照に,わが国の広域地方圏の形成と運営の為の新たな土木計画学的アプローチについての討議を行う. |
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少子・高齢化の国土・都市モデル |
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基盤研究A「人口の量的・質的変化に対応する国土計画と社会資本整備の動学的経路」メンバーによる研究成果を中心に,少子・高齢化を国土・都市モデルへの反映させるためのモデル作法について論じる.例えば企業立地に関しては多くのモデルが存在するが,撤退がその逆プロセスになるとは限らない.公共施設やコミュニティの維持に関しても同様の選択と集中が必要とされる.この種の問題へのアプローチとしては,人口を駆動力として用いる静学モデル,OLG等の動学モデルにおけるシナリオ分析,更に人口減少国と増加国を含む2国モデルなどが考えられる.他に歴史的な実証分析も考えられるが,今回は主として理論面の分析を中心に議論する予定である. |
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人口減少時代の地方中小都市における地域づくりの課題と取り組み |
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高度経済成長期から今日まで,地方都市ではほぼ一貫して人口流出が続いてきた.今後少子高齢化時代に入ると,生産年齢人口の減少に伴い税収が減じ,多くの自治体が財政難に陥ることが予想される.こうした中で,九州などの地方で典型的にみられる,社会基盤の整備が遅れ目立った産業のない中小都市では,いかに住民の生活環境とモビリティ水準を維持し,地域の活性化を図るかが問われるであろう.本セッションでは,以上の認識から,地方中小都市の基盤整備を含めた地域の維持,地域づくりへの取り組み事例の報告に基づき,今後の地域づくりの方向を探る.発表の内容は,基盤整備,広域連携,地域産業の再生など,特に限定しないこととしたい. |
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エリアマネジメント技術の開発と実践的適用 |
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まちづくり三法の改正により,今後,郊外部への大規模店舗の立地は抑制される見通しとなったものの,必ずしもそれが中心市街地や都市圏全域の活性化につながるという保証はない.中心市街地域の利用価値を高めるためには,郊外部を含めた都市域全体でのエリアマネジメントが必要である. 本企画では,中心市街地活性化や郊外部での大規模開発規制などの技術や政策評価手法などの新規の研究分野について,理論,および実践の両面から討議する. |
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土地利用モデルの再考 |
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開発プロジェクト便益の空間分布,交通モデルの精緻化との連動,コンパクトシティなどの新たな計画課題に対して,土地利用モデルが果たすべき役割は過去以上に高まっている.また,本分野における研究への取り組みは一時衰退を見せたものの,一般均衡アプローチ,マイクロシミュレーションなどの新たな手法の発展と共に,近年再び研究成果が蓄積されており,新たなステージへと踏み出しつつある.以上をふまえ,本セッションでは,交通プロジェクトを中心とした政策評価への活用に向けた土地利用モデル研究の目指すべき方向性,課題の解決に向けた具体的な方策について,集中的な討議を行う. |
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空間統計 |
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土木計画学における政策分析・予測・評価やそのためのモデリングにおいては,様な空間データを扱う必要があり,空間データに内在する特質とこれに対する統計学的な面での考慮の必要性に関して,以前からその重要性が認識されてきた.一方,このようなデータを扱う学問分野(空間計量経済学,空間統計学など)は,特にここ数年,実用化に向けて目覚ましい進歩を遂げている.本セッションは,空間データを扱った統計学的なアプローチによる様々な研究を公募し,空間データを用いた統計分析の最新の研究動向についての情報交換と議論を行うことを目的とする. |
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防災基礎論 |
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防災計画の分野が本当の「学」や「論」となりえるためには基礎研究の充実が不可欠である.一方,自然災害は地震や台風などのひとつの自然現象を引き金とするが,それが被害を引き起こす過程には人間社会の複雑な営みが,災害前の平常時から災害発生直後,復興期にかけた時間的なダイナミズムを伴って介在している.防災計画の基礎研究を展開するためには,災害現象の詳細な観察と基礎学問に基づいた論理的帰結とを行き来しながら,複雑に絡まった問題の糸を慎重に解きほぐしていく必要がある.本セッションでは様々な視点による基礎的研究の成果を発表するとともに,互いに問題の本質的要素や構造について集中的に議論することを目的とする. |
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地域防災力向上のための社会技術研究 |
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今わが国の防災に求められることは,住民が自発的な行動として,自助や共助に関わる防災行動を積極的に行うことであり,それにより地域防災力を高めることである.そのためには,住民一人一人に対する防災意識の啓発だけでなく,具体的な対応行動を促すことが重要であり,それを後押しする社会技術が必要不可欠といえる.以上の認識に基づき本企画セッションでは,地域防災力や個々の住民のリスク情報理解の向上,対応行動の促進を目的とした社会技術の開発,実践に関する研究報告を通して,実務的,学術的議論を深めることを目的とする. |
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土木計画学におけるライフサイクルアセスメント(LCA)の活用 |
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ライフサイクルアセスメント(LCA)は,人間活動に伴う各種環境負荷を把握し,改善のためのデータを提供する有力な手法の1つとして研究が進んでおり,土木計画学が対象とする都市・社会資本・交通への適用も多く試みられている.しかしながら,土木計画分野における本格的な適用に至るまでには多くの課題が残っている.そこで,LCAの実例や理論的検討に関する発表を通じて,土木計画分野での環境評価におけるライフサイクル思考の意義やその導入による政策分析のメリット,そのために必要な方法論について議論し,さらに他の環境評価手法との関係も踏まえた今後の研究の方向性を討議することを目的とする. |
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夜の都市計画 |
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24時間化した現代の都市においては,人々の生活の質を向上させる視点から,「住む」,「働く」,「憩う」,「往来する」という都市社会の基本的な4要素を,時間軸を考慮してバランスよく配置し,夜間の都市活動にも十分配慮した都市計画が求められるものと考えられる.しかし,従来の都市計画は,日中の都市活動を主たる計画対象とし,夜間の都市活動が幾分疎かにされてきた感が否めず,人々が,安全に,安心して,快適に,夜間の活動に参加できる環境が整備されているとは言い難い.本セッションは,主に夜間の人々のアクティビティに着目して,盛り場の成立や変遷,余暇活動の実態分析,都市観光と情報提供,夜間照明の整備など,夜の都市計画に関連する多様な研究事例を報告し,本研究課題の重要性と今後の都市のあり方や計画論に関する活発な議論を行うことを目的とする. |
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土木遺産の保全に関する土木計画学のアプローチ |
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戦後生まれの土木遺産が文化財指定を受け,景観や環境面において評価され地域の資産となっている反面,維持・補修の難しさや非経済性から,歴史的構造物が安易に廃棄,改修される状況も多くみられる.ストックの有効活用,適切なインフラストラクチャーのデザインやマネジメントのために,災害対策や安全性,経済性などと同様に,歴史的文化的価値を土木構造物の「機能」として捉えることは可能であろうか.地域戦略としてのアセットマネジメント,歴史性を便益として捉える社会システムの構築など,広く土木計画学的アプローチにより土木遺産の保全について議論したい.本テーマは土木学会歴史的構造物保全技術連合小委員会の活動の一環である. |
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観光交通計画手法の新展開 |
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近年,観光地における交通計画を考察するための環境が大きく変貌しつつある.分析対象,分析データなど,これまでにないアプローチやデータ取得方法等,従来の休日・観光交通を対象とした計画手法(調査分析手法や需要予測手法など)を体系的な再構成を目指すにあたり,多くの研究事例に基づく討論を行うことを目的とする. |
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非日常交通行動の新しい理解(調査・分析・政策評価) |
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休日の私事や観光トリップ,都市間交通は,通勤・業務トリップと比べ低頻度であるが,その時間価値は高く,弾力性も大きい.そのためこれらの非日常交通行動を顕在化できれば地域経済効果が引き出せるため,適切な施策の必要性は極めて高い.非日常交通行動に対して,四段階推計法などの標準的な調査,分析手法の適用は困難であったが,発達した観測機器やインターネット上で提供される交通サービス情報は,非日常交通行動の理解に新しい可能性をもたらしている.本セッションでは,非日常交通行動に対する新しいデータの獲得方法,不完全データの利用方法に関するトライアル事例を共有し,今後の調査・分析手法の研究課題を議論する. |
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複雑系科学と交通現象 |
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複雑系モデルは多数の研究分野において,要素還元的な分析方法での解決の困難な問題に対する応用が検討されている.一方,現実の都市システムの構成要素は極めて多様であり,たとえば都心活性化方策の効果の計測などについては複雑な相互作用を考慮する必要がある.このため,マルチエージェント,人工社会および進化論的過程などを組み込むとともに,ファジィ理論,GA,GPなどの現象解析への適用性を検討する研究が展開されている.またモータリゼーションの進展,中心市街地の衰退などをモデル化して現象解析を行う研究も期待できる.このように都市問題に対する各種の政策を複雑系として分析する方向性について議論を深めるものである. |
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物流の調査・モデル化・評価の方法論 |
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物流は,交通渋滞・交通環境・交通事故・エネルギー消費などの面で多くの問題に直面している.ジャストインタイム輸送やサプライチェーンマネジメントなどの物流の効率化が,交通においては多頻度小口輸送の増加という結果を招き,トラック交通を増大させ,交通渋滞の激化,交通環境の悪化となる場合も見られた.しかし,最近になって,ITやITSが徐々に普及し,これらの新技術を活用して従来の問題点を克服し,効率的かつ環境に優しい物流システムを構築できる可能性がでてきた. そこで本企画論文では,このような新しい状況を踏まえて,物流システムを今後どのように構築してゆけばよいのかという問題について,特に調査・モデル化・評価手法について,新しい研究の展開の方向性を探る.現在,東京および京阪神における物資流動調査やトラックのプローブデータなど,豊富な調査データが使用可能となっているが,物流調査のあり方,それらのデータを用いた新しいモデル化および効率性・環境への影響を考慮した物流施策評価手法について討議する. |
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モビリティと幸福感−交通と生活満足レベルの関係性− |
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交通施設整備を含む社会資本整備は,最終的には生活の質の向上を目的として行われている.一般に,社会資本の整備や所得の向上に伴って,行動に伴うモビリティに対する時空間制約が緩和されることから,モビリティはこれまで生活の質の向上を測る指標としてトリップ数などで計測されてきた.しかし態度行動変容アプローチの研究成果に基づくと,社会資本整備に伴って必ずしもトリップ数は増加しないことが明らかになっている.そこで本セッションでは,生活の満足度とモビリティはどのような関係にあるのかを中心として議論を行い,生活満足度についての理解を深めることを目的としている. |
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生活交通サービスの新たな展開 |
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地域住民の生活と社会参加の機会を確保する上で,生活交通サービスは極めて重要な役割を果たしている.本企画セッションでは,生活交通サービスのあるべき姿を実現するための問題提起,調査・分析・評価・計画手法の開発,適用上の工夫,事例研究などに関する最新の成果を持ち寄り,多面的な観点から集中的な討議を行う. |
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地域交通への参加と支援 |
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平成14年2月のバスの規制緩和以降,赤字路線からバスが撤退後代替バスを自治体が運営することが増 えている.また,市町村合併に伴い新たな公共交通を自治体が計画していることも多くなってきた.しかし一般に自治体にとって経験のない事業だけに混乱し, 失敗も少なくない.一方こうした自治体の公共交通計画に土木学会の会員が参加や支援をすることも多くなってきている.支援や参加の方法はアドバイス,委員 会への参加,調査や計画作成の受託など様々であると考えられる.ここでは各地での土木学会員の地域交通への参加や支援の事例を紹介し,課題や問題点を討議 することで今後の活動に役立てることを目的にする. |
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公共交通再生とまちづくり |
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かつて都市と鉄道・公共交通は共に発展し支え合ってきた.しかし,産業構造の転換,人口構造の変化,そしてモータリゼーションの進行などにより中心市街地の衰退と密度低い市街地の外縁的な拡大が進み,都市の賑わいの衰退,公共交通の存続の危機が顕在化してきた. こうした状況に対して都市の安全・安心・魅力の向上や活性化,持続可能な都市形成を考える場合に,都市のインフラとしての公共交通の存続・再生の方策を検討することは極めて重要な課題となる,本セッションでは,以上の問題意識のもとで公共交通再生とまちづくりとの連携に関する議論を行いたい. |
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中小規模需要の地域交通計画の体系化 |
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2006年10月に改定された道路運送法では,中小規模需要に対応した乗合交通(コミュニティバス・乗合タクシー・DRT)をはじめ,STサービスや病院送迎バスなどの多様な交通手段を市町村のガバナンスによって位置づけていくことが求められている.そこで,本セッションでは,地域における小規模需要の交通手段に関する計画・運営・運行の各側面に着目し,地方自治体や地域住民はどのような役割を担うべきか,また,地域や市民属性に適した交通手段をどう選択するかを中心に議論する.また,観光を含めた地域経済の発展や,モビリティ・マネジメント,生活の幅の広がりなど,こうした交通手段が果たす多様な役割についても議論を深める. |
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バリアフリー推進のための評価手法 |
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交通バリアフリー法とハートビル法が統合されてバリアフリー新法が施行された.一層の施策展開のため,参加型社会の構築と多様な技術・手法が求められている.特に,効果的な整備推進のために事業評価の技術・手法を向上させることが求められている.バリアフリーの評価には,基本構想などの計画評価,財源負担と事業効率の評価,1人でも多くの人が使用できるようなアクセシビリティデザインの評価,さらには本来的な福祉の実現としての個人の生活機能向上の評価など,幅広い視点が考えられる.このセッションではこれらのバリアフリー評価のあり方と今後求められるべき手法の確立に向けて議論を展開することを目的とする. |
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交通サービスの信頼性解析 |
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21世紀における社会経済システムはより複雑かつ活動的になり,従来の交通サービスの量的な充実のみならず,今後ますますサービスの質を評価し向上させることが重要である.交通サービスの質を評価する一つの指標として信頼性の考え方があげられる.災害や事故などの突発事象が発生してもネットワーク全体としての大きな機能低下が生じない,といった災害等に関する耐性の評価や,交通集中などに起因する渋滞時発生時にも深刻な遅れが生じない,という交通需要の変動に対する頑健性評価がその考え方の一例である.また,道路交通サービスのみならず,信頼性の高い公共交通サービスの構築もますます重要となっている.本企画セッションでは,このように適用対象および評価目的によって様々に提案されている交通サービスの信頼性指標およびその計測評価手法についてこれまでの研究成果を整理し,今後の交通サービスの信頼性研究の方向性を議論する. |
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道路網の旅行時間信頼性 |
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経済・社会活動の高度化とともに,道路交通サービスの質的な向上が求められている.自然災害,事故などによる通行止や大幅な遅延だけでなく,交通システムの障害・維持管理に伴う規制や需要の変動を原因とする旅行時間の不確実性を適切なデータに基づいて分析・評価し,道路利用者に情報を提供することは,道路交通サービスを供給する側にとってとりわけ重要な課題である.近年の交通調査手法の高度化により,これまで実用的信頼性研究のネックとなっていた長期間の観測データ獲得も現実のものとなりつつある.本セッションでは,これまでの研究成果と多様な観測データを有機的に連携させることにより,理論的な背景を明確にした実用的な信頼性研究について議論したい. |
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シームレスアジア時代の国際交通政策 |
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世界で次々とFTAが締結されるなどにより国際物流の規模が拡大する中,物流の環境は大きく変化している.世界の海運分野では大手企業同士の合併・買収,アライアンス形成が進展し,激動の時代を迎え,また,コンテナ船の大型化も進行している.同様に人流の面でも,航空自由化,LCCの台頭,H&SネットワークとPtoPネットワークへの二極化など,市場を取り巻く環境が変化しつつある.このような世界の交通環境の大きな変化に伴い,貿易・交通政策およびそれらの影響評価の重要性がますます高まっている.そこで本セッションは,貿易・交通政策研究に関する課題と今後の展開について情報を共有するとともに,政策分析の方法について集中討議を行う. |
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地域ITSの実践・展開 |
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ETC,VICSやカーナビなどの普及促進, IT技術と道路との融合などにより,ITSは先進技術の検討段階から社会に浸透させるための新たな段階となるべき転換期を迎えている.このようななか,今後は各地域における固有のニーズに基づくITSサービスや技術の適応,現地での実導入が必要である.そのために本セッションでは,国内各地域で行われている地域ITSの実務的または実用的な事例研究や取組みを取り上げ,それぞれの地方に適応したITS技術のあり方,およびその手法の効果,活用方法などについての検討なども行う.また今後地域ITSを実践して行く上での今後の展開方向を討議する. |
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プローブパーソン技術の周辺とその展開 |
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GPSや様々なセンサー情報を用いたプローブパーソン調査技術の進展が著しい.こうした技術は,詳細な行動データを収集するだけではなく,収集した行動情報をリアルタイムに用いることで多様な行動情報サービスの提案がなされるなど,その発展に期待が高まっている.本セッションでは,プローブ技術全般について,1)データ処理アルゴリズム,2)詳細な行動データを用いたモデル研究,3)高度なデータ処理を前提とした歩行者交通流のモデル化,4)行動認証を基本にしたポイントシステムなどとの融合と行動変容,5)高度な交通調査技術などについて議論したい. |
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コンパティビリティに配慮した道路空間システムのありかた(コンパティビリティ) |
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地区交通計画において喫急の課題である自転車通行帯問題を何とか解決したい.また快適な道路空間を実現したい.このために地区交通計画に「コンパティビリティ(共存性)」という新しい計画概念を導入し,新しい地区交通計画論を展開することで,今後の地区交通・道路整備の方向性を研究する端緒とすることが狙いである.コンパティビリティ(共存性)は,交通手段(の諸元・特性)と道路空間(配分・デザイン)と制度(規則・マナー)の三者の同時設計を考えることである.主対象は歩行者・自転車を中心に概ね原付四輪までであるが,セグウェイ導入の可否,将来理想交通手段まで視野に収める.また地区交通・道路整備の理念から,政策検討のための分析・評価手法まで,意欲的な研究を期待する. |
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街路の歩行者・自転車--行動工学の視点から |
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都市内の歩行者・自転車交通を対象とする研究の,着実な進展を図ることをめざし,今日までの到達点と短・中期的な研究課題を明らかにするために集中討議を行う.公募論文を主体とする.公募対象は,調査から設計・計画までの,いずれのフェーズでも構わないが,行動・挙動に何らかの意味で立脚したものに焦点を絞る. |
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道路交通性能向上に寄与する道路構造と交通運用 |
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本企画は,過去3回にわたる関連企画セッションの第4弾として位置づけられ,道路交通の円滑性,安全性,機能性などの性能向上に資する道路構造や交通運用について集中討議を行うものである.交通容量・サービスの質と整合する交通需要の捉え方,道路の計画・設計・交通運用の一体的な技術体系の構築のほか,平面交差部の計画設計・制御,柔軟な交通運用方策の提案などに関する最前線の研究・実務報告を広く公募する. |
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動的配分理論の過去と未来 |
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混雑した道路ネットワークを分析するための理論体系として,時間軸および待ち行列を明示的に考慮した「動的配分理論」が長く研究されてきている.動的配分理論はITSなどの道路交通の諸施策における重要な理論的基盤であるにも関わらず,その重要性はまだ十分には認識されていない.本セッションでは,動的配分理論の既存研究に関するレビュー発表を通じて,これまでの成果を再評価し,その上で現状の課題を明確にすることを行う.そして,今後何をするべきか,そのコンセンサスを研究者(特に道路ネットワークの研究を志す若手研究者および学生)で共有し,もって動的配分理論の普及と発展に資することを目指すものである. |