わが国は,長期にわたる経済の停滞,国際競争力の低下などが進行する中で,東日本大震災が勃発し、翌年12月には民主党政権から自民党政権に替わり、アベノミクスの実施,東北の震災復興,2020東京オリンピックの決定,地方創生法の施行など、「社会資本の検討・整備・活用(以下「社会資本整備」と略す)」を巡る状況は、大きな転換を迎えつつある。さらに少子高齢化・人口減少社会への移行に伴う中央と地方の地域格差の拡大など,憂慮すべき事態が起こっている。
つまり、地方における社会資本整備は,従来の延長線上で進めることは難しく、多くの高度な検討を重ねていく必要があるが、自治体の土木・建築系技術職員は質的・量的に不足している現実がある。
私たちは、「地域におけるコンサルティング・サービスのあり方」を検討するために、2つのアンケート調査を行った。一つは「土木学会会員と委員会委員」を対象に、もう一つは「自治体の土木系技術職員」を対象に問いかけ、各々からとても興味深い結果が得られた。
そして、技術職員が不足していながらも、より適切な「コンサルティング・サービス」を社会資本整備に活かす方法を調査検討し、各々の地域の抱える課題に応じた方法で、自治体の外にいる産官学野の技術者の知恵を活用する「有効な外部支援の活用方法」を整理し、より合理的な(安く・早く・良い成果を生む)かたちで,社会資本整備を実施し易くなる方法をまとめることができた。
課題を抱える多くの自治体において、この報告書が参考になることを期待したい。
私たちのアンケート調査にご協力いただいた「土木学会会員と委員会委員」「自治体土木系技術職員」および「ミニシンポジウムにおいて講演いただいた講師」の各位に対して、心より感謝いたします。
平成28年5月
土木学会 コンサルタント委員会
地域におけるコンサルティング・サービスのあり方に関する検討小委員会
委員長 田中 努
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