建設コンサルタント委員会
第8回 建設コンサルタント シンポジウム
日 時:1994年12月8日(木)
場 所:土木学会図書館講堂(東京都)
第1部 研究成果発表
「社会資本整備における建設コンサルタントの役割」
金指 権一 (株)パシフィックコンサルタンツ
「建設コンサルタントエンジニアの将来像」
内村 好
(株)建設技術研究所
第2部 パネルディスカッション
「建設コンサルタントを取り巻く最近の話題」
―入札・契約、再委託、教育、資格―
座 長 : 岡本 政明 (株)ニュージェック
パネラー: 小泉 明 東京都立大学
菊川 滋 建設省
棚橋 孝道 (株)オリエンタルコンサルタンツ
長谷川 昭夫 (株)日水コン
パネルディスカッションの趣旨 (座長)
入札・契約方式の改訂に伴い、プロポーザル方式が積極的に導入されるようになった。従来型の指名競争方式では、正当な価格をかなり下回る低価格での入札も起こりはじめており、「健全な建設コンサルタントの経営とは」が改めて議論の対象となっている。
設計、施工の領域では、建設コンサルタントの計画・設計力の不足が指摘され、どのように対応していくか、新たな概念の導入も含めて方向性を整理する必要がある。今後、ますます増大する公共事業を合理的、経済的に執行する方策としてCM、またはそれに近い形態の業務は増加していくものと考えられる。
建設コンサルタントにおいても高齢化の傾向にあり、高級技術者として活躍の場を確保するとともに、優秀な若手技術者を確保・育成することも急務となっている。それを大学教育に求めるとともに、建設コンサルタント自ら教育プログラムを創り上げることがより重要であろう。
発注者のよき技術的パートナーとして、技術士、RCCM等の公的な資格に裏付けられた技術者集団として社会に貢献していくことが今強く求められている。
基調報告
棚橋 孝道
・納税者に視点を当てた透明性の確保
・競争原理による技術力の向上・コンサルタントの責任範囲の明確化
・倫理問題と建設コンサルタントの職域
・大学教育はもっと基礎能力の向上に力を・インフラのためという理念が倫理の基本
長谷川 昭夫
・建設コンサルタントが果たす役割と今後の業務領域
・総合病院から町医者まで・企画から機能診断まで
・建設コンサルタントがこれから目指すべき道
・国際学会、国内の各種学会への論文の発表
・博士と技術士
・国際貢献・国民、地域住民に役立ち、感謝されるコンサルタントに
菊川 滋
・外国から見ても「透明性」が確保されるべき
・三者の役割分担の再構築
・設計・施工の分離
小泉 明
・コンサルタントの「社会的地位の向上」
・ソフトの仕事に対する適切な評価・知的所有権
・コンサルタントとしての生涯教育
・建設コンサルタントの将来
入札・契約制度の改革について
座長 :今年の6月に、公募型のプロポーザル方式を採用するようにという通達が建設省から出され、一部には急激な変化に委託者側、受託者側のいずれもが対応に苦慮しているという声も聞こえている。
菊川 :制度改革のポイントは「プロポーザル方式」にあり。プロポーザルは随意契約の相手を決めるための手続き
再委託問題について
座長 :最近の学会誌で、「設計能力の稚さ」を取り上げ、あたかもコンサルタントの技術力が空洞化しているかの表現をされている論文も見られ、我々コンサルタントとして釈然としないが。
長谷川 :技術者一人ひとりの倫理観が重要
棚橋 :コンサルタント職が設計業界の独占で良いのか。
菊川 :「工事契約に必要な図面の製図はどこまでなのか」について議論していく必要がある。報酬体系の再考(ソフトの部分が薄い)も必要
CMについて
座長 :CM〈Construction Management〉。発注者の支援業務であると考えれば、目新しいことはないのでは…。
棚橋 :総合技術のある人材の育成が必要
長谷川 :地方の町医者=建設コンサルタント
座長 :今後、公共事業がますますバラエティに富んでくると、我々が力を出さなければいけない。現場をよく見ることによって、施工技術のノウハウが増えるかもしれない。
菊川 :CMとは、基本的に体制の弱い発注者の支援
長谷川 :施工の技術をフィードバックし、設計に反映すべき。
棚橋 :CMの第一歩はFS
座長 :CMの定義によるが、上流工程まで含めて発注する場合、同じ会社の人がCMを担当するのはちょっと上手くないと考えるが。
菊川 :工事と設計との間の独立性と同じような議論が出てくるわけで、これも仕方ない。
技術者教育について
座長 :高い技術力と倫理観を保有するためには、社内教育も必要であるが、高度な教育を受けた人材が必要ではないか。
棚橋 :大学教育には、基礎工学とエンジニア哲学を望む。
小泉 :大学教育は、倫理思考力の育成。コンサルタントは、生涯が勉強
以上、 第8回 建設コンサルタント シンポジウム報告