□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□
土木学会 第15回コンサルタントシンポジウム 詳細報告
テーマ『技術者の復権と新展開』〜21世紀に輝く技術者とは〜』
□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□
シンポジウムの開催主旨 : 開催日およびプログラム
|
□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□
開会挨拶 石井弓夫委員長
|
|
話題提供1 三木千壽 東工大教授 「社会資本整備における設計系技術者の役割」 |
|
|
【社会情勢】 |
【建設分野における研究開発の現状】
【他分野や海外での研究開発の現状】
【わが国の建設系研究開発に関する課題】
【今後の建設技術の在り方】 |
話題提供2 高崎哲郎 帝京大学短期大学教授 「誇り高き明治の土木技術者たち」 −本日は青山士と,宮本武之輔を題材に話したい.特に宮本武之輔についても触れたい理由は,土木屋をとりまく環境が現在とは比較にならないほど劣悪だった当時の官僚社会において,土木技術者としての誇りを持って現状を乗り越え,法科優遇の官僚社会で立ち上がっていく生涯を送った人物だからある.
【現在の技術者像における課題】 |
|
【青山 士の技術者像】 −大変に興味ある人物像であったために自分の研究対象とした青山士の70歳を過ぎた頃の話題の一つに,現場視察で意見を求められた際,他の官僚だったら技術的な細かい点を論じるような状況下において,「職員よ正義観を持って国民の福祉向上に奉仕せよ」とのコメントを残したエピソードがある.また,土木学会誌の巻頭言にて「土木技術に対する認識と尊重と協力とをより広く社会に呼びかけ求めて,人類福祉の増進に尽くすように,青山自身も率先してこれをやりたい」ことを記している. −明治時代,国家の揺籃期が少し経過した頃,皆さん周知のように青山はパナマ運河の大事業に参画した.去年の3月に1週間ばかり,青山士が汗をかいたパナマの現地に行く機会があった.そこは灼熱地獄の現場だった.青山士が手がけてから約1世紀を経過しているガツン閘門は現役としてなおも健在であり大いに感銘を受けた. −現地にて,青山士の7年半(25歳から32歳まで)にわたるパナマ時代の仕事振りの記録資料に目をとおしたが,技術とマネジメントの全ての項目でexcellentと評価されている.すなわち,日本人でありながら青山は技術と人を使う土木屋としてexcellentだった.しかも,そうした体験・実績を二流技術者のごとく周囲にひけらかすこと無く,当時の米国技術のエッセンスと人を使うことのエッセンス,土木技術者としてのエッセンスを胸に秘めて帰国した. |
|
【土木技術とは人なり】 −こうした技術者像に接すると,土木技術とは「血と肉の人間が創りあげるもの」であり,最も肝要なことはそうした「人となり」の視点であると言わざるを得ない(技術図書を読みあさるのも悪くないが).したがって,Civil Engineerを「文化技術者」と呼びたい.人間の福祉向上のために役立つ仕事に努力する(汗をかく)技術者のことである. −国土交通省荒川下流工事事務所に,荒川放水路竣功記念の記念碑がある.これに刻まれた青山士による碑文「この工事の完成にあたり多大なる犠牲と労役とを払いたるわれらの仲間を記憶せんがために」は,(クリスチャンだった影響もあるが)共に建設現場で働いた人夫をも称えたもので,こうした碑文は当時の官僚によるものとしては破格である.土木技術者としての精神性を大いに感じることができる.こうしたエピソードを持つ青山士は常日頃「技術は人なり」と言っていたと伝えられる. −昭和の始め,信濃川に構築された竣工後5年目の大河津分水路が濁流に呑まれて水没した.青山士と宮本武之輔がその復旧工事にあたり,復旧が完成した時に青山が作らせた記念碑の言葉「万象ニ天意ヲ覚ル者ハ幸ナリ 人類ノタメ国ノタメ」なる意味は,全ての現象から発せられるアピールを一早くキャッチする者は幸いであると解釈している.どんな優れた構築物も自然現象の前では崩壊することもある.そうしたアピールが察知できて国民の福祉向上に奉仕できる技術者精神を唱える碑文であり,土木技術者の精神,青山士の精神,あるべき姿がこれに記されている. |
|
H12年度第2回コンサルタントシンポジウム風景(1/30/2001)土木学会図書館講堂 |
【宮本武之輔の技術者像】 −宮本武之輔も,当時,法科優先・法科優越であった官僚時代で土方の親方という役目を全うし,弱い人貧しい人のために奉仕した人物である.著名な業績の一つが大河津分水路の復旧工事で,4年間で完成させた.事故処理現場ということで元気の出ない作業員・職員にインセンティブを与えるために作業歌を作り,作業員・職員の家族に仕事の立派さを伝える努力をした所長(管理者)であった.また,所長の役職でありながら当時のマスコミ対応や,被災住民対応に自ら対応した人物でもあった.当時の官僚社会の差別を受けていたにもかかわらず,技術は人なりで,国民の福祉向上を原点において働いた人物であったが,後年は優秀な技術者幹部を満州に送らざるを得なくなり国家の破滅につながる残念な道へ向かってしまう. |
話題提供3 中村裕司 (株)I.S.S.代表取締役 「欧米に学ぶコンサルティグ・エンジニアの未来」 |
|
|
【コンサルタント環境の今後の変化】 −本日の話題は,昨年11月にアメリカ,12月にロンドンに飛び,主としてAsset Managementに係わるHighway Agencyの方々と意見交換した結果を踏まえて,これからの展開に関する私見を述べてみたい.コンサルタントを取り巻く今後のグローバルな環境条件として,話題のタイトルは(配布資料に示したとおり)「ゲームが変わる」「ルールが変わる」であり,目指す方向はSustainable Societyの実現だととらえている. −20世紀から21世紀に移行して我々のゲームの内容が 「造る時代」から「利用する時代」へ,「建設する時代」から「マネジメントの時代」へと変化するととらえられる.ゲームが変わると当然ルールも変更されるが,我々が読み取らねばならないルールの変化の一つ目は,「官主導」から「市民主導」のルールに変わると考えている.英国では Customer Focusedを意識した政府運動プログラムが進行中である.二つ目は,投資対象が価値創造に向けられる,いわゆるValue for moneyである.三つ目は仕様発注から性能発注へ,発注形態が設計施工一括方式へ,技術万能時代から多様な評価尺度の時代に向かうのが21世紀のルールではないかと認識している. −このようなルール変化が生じると,三木先生がおっしゃられたライフに関する見方も変化してくる.今までは投資対象となるか否かの「要」の部分と,性能を示す「強」の部分だけが強調されていたが,これからは「美」である感性の部分の寿命も加わる.すなわち,これからのゲームとルールはSustainable Developmentを究極の目的とした体系になる. |
【コンサルタントの新たな役割】
【英国に学ぶ公共事業のヒエラルキーとコンサルタントに求められる資質】 |
話題提供4 西村隆司 日経コンストラクション編集長 「国民から見た日本の土木技術者」 |
|
|
【わが国のコンサルタント像の現状認識】 −仕事量が減り,このままでは数年後にかなりの廃業が予想されるという建設コンサルタントビジネスを取り巻く厳しい現状に対して,コンサルタント自身の危機感の薄さが感じられるという意見を最近よく耳にする.日経コンストラクションが他産業のビジネスマン対象に昨年実施したアンケート結果から,現在のコンサルタントがどのように見られているかの実情を紹介する. −建設産業全体に対するイメージを尋ねた結果では,9割以上の人が社会基盤整備の上で欠かせない重要産業であると回答している.業界内の不透明性を指摘する回答もあるが,日本の土木技術は世界一であると言ったわが国の建設技術に対する賛美の声は多くの人から聞こえている.ところが,他産業のアンケート回答からは「建設コンサルタント」「コンサルティングエンジニア」の言葉や概念が出てこない. −次に,建設業界の異業種であるゼネコンへのアンケートに基づいたコンサルタント像を紹介する.設計図書のミスについてのアンケートでは,7割が詳細設計は現場をよく知っている建設会社に任せた方が良いと回答している. |
【異業種によるコンサルタントビジネスへの進出】 【コンサルタントの雇用環境】
【コンサルタントの技術力】
【21世紀に輝くための技術者のプライド】 【技術力を備えたコンサルタントにとってはチャンスの時期】 |
パネルディスカッション「技術者の復権と新展開−21世紀に輝く技術者とは−」
パネリスト : 三木千壽,高崎哲郎,中村裕司,西村隆司 駒田 :
設計分野における「性能規定設計」概念の導入や,コンサルタント業界においての「技術力に基づくコンサルタント選定方式」など,我々を取り巻く状況が様々に変化していく中で,どちらも考え様によっては技術者の解放,復権を促すものととらえられる.すなわち前者は,仕様書やマニュアルに縛られ技術者の創意・工夫・努力が反映されにくい状況であったこれまでの仕様規定からの解放であり,後者における技術力に基づいた発注システムは今後間違いなく進んでゆき,その際には,会社ではなく技術力を担うエンジニアが着目されるだろうという点で技術者の復権である.これからは真に実力があるコンサルタント個人が仕事をできる環境となっていく.そのようなことを委員会で申し上げたことも要因となって本日のシンポジウムの内容が企画された.
【個人が出ないわが国のコンサルタント】 |
|
駒田 : それでは,フロアーからのご質問を伺います. |
|
【コンサルタント業態の変化と環境改善の動向】
【これからのコンサルタントに求めたい資質】 【技術・技術者の復権に向けて】
【個人の技術力が見えない日本】 【コンサルタントに求められる今後の姿勢と努力】 駒田 : わが国のコンサルタント業界はそろそろ明確に2分化する必要があるのでしょうか?そうしないと,コンサルタント全体が沈没してしまうとか,正当なコンサルティングフィーが確保できなくなるのでしょうか? |
閉会挨拶 大野博久幹事長 |
|
以上(記録 田中副幹事長)