JSCE
土木学会

企画委員会

土木・建築分野における新技術の開発・促進戦略に関するワークショップ

平成12年6月20日 13:00-15:00 日本学術会議講堂

(聴講者意見リスト)
通番コメント
1将来的に現状とその違いをきわだたせるものとして、自然環境は避けて通れないものと思われますが、土木技術が主導的立場で、環境に配慮しつつ土木技術を発展させるための方策等について、土木学会の考え方等を知りたいと思います。
2切り口の提示が多すぎた。個々の技術の流動性を高めるために、技術売買できる市場が必要。そうすることによって企業グループの枠組みを変えることが可能になるのではないかと思料する。
3新技術を認める素地の確立が技術開発を推進する原動力になると思う。(発注者側の参加が必要と思う)
4今日出なかった議論で、R&Dの阻害要因の一つに、コストダウン技術によって工事費が削減される結果、建設会社自身の売上あるいは利益の減少につながってしまうという点があると思われる。それでも民間工事の場合には工事獲得につながるため、技術開発意欲が損なわれることはないが、官庁工事の場合には特にそうした要因が影響するのではないだろうか。
51.せっかくのワークショップに行政側のパネラーが不在なのはどうか(技調、土研など)。
2.新技術(独占的技術)を採用するための明解なガイドラインを設定できないか。
3.幾つもの課題を包括的に解決する手段はなかなか難しい。とすれば出来るところから一歩ずつ解決していく必要があるのでは。
4.国、自治体まで視野に入れた議論が必要。
6日本の土木分野において、様々な弊害が生じて来た最も大きな要因に、公共事業を景気対策として(政治の道具)使われていたことではないかと考える。つまり、どういう社会資本が必要かよりも、お金を落とすことが優先されたように思う。この体質(政治)が変わらない限り、今日議論したことが有効に活かせない可能性があるような気がしてならない。
7比較的本音の意見が出ておもしろかった。技術開発がペイするかどうかはもっとつっこんだ議論が必要だと思います。
8新技術の開発・促進について、官と民のそれぞれの立場からの議論、討論は、非常に意味深いものを感じました。システム体制を変えていこうとするならば、発注側の国と今回の話題ではあまりあがってこなかったコンサルタントの方の考え、感想が聞けたらよいと思います。
9新技術の開発ワークについては、遅れている官を含め「産・学・官」3者一体の議論を展開すべきと思う。環境保全とコストは必ずしも連動しなく、むしろ相反するのではないか?
10論点がやや不鮮明の観を受けました。技術開発のインセンティブに対するよりつっこんだ、具体的な議論を次回望みます。
11新技術を現場で採用する際の責任体制、保証制度について青写真が見えない。
12日本は環境に関する研究開発を積極的に進め,世界の中心としてやっていくべきだ。
13コストダウンにつながる新技術開発は困難。地震国日本の社会資本は環境保全・安全性を忘れてはいけない。「コストダウン」の掛け声にもっと理論的に抵抗する必要あり。20〜30年で壊れるコンクリート構造物は社会資本と言えない。コストと時間に追われた。反省すべし。
14入札・契約制度と新技術開発はリンクしていない。ゼネコンの技術研究所の存在と新技術開発の遅延を解決しなければならない。ゼネコン統一の研究所が必要か。現状の日本のやり方を正す
15発注者側の人達を入れて議論しても良かったのではないか
16公共事業費の削減や高度成長期が終わった今、新技術の取り組みは、ソフト分野や制度を変える必要性がわかった。また、開発費が少ないのは大きな問題であり、重要なことだと思う。
17今日のWork Shopでは日本VS海外の技開へ向けたビジネスMindが明らかに異なることがわかった。民間側は常にCost Performanceを尺度に開発しているようだ。海外には国(官側)が全然見えない。日本との差異は明らか。日本株式会社として挙国体制をとっている。資源のない国としては英知をBusinessとして国際社会へ発信するには、挙国体制が必要。世界Standardとはいえ、手順については日本的文化風土があっても良いのではないか。
181人1人の出席者の意見をもう少し掘り下げて聞きたかった。5分という時間では不十分。新技術の開発・促進戦略というのは論題として大きすぎたのではないか?また、講聴の機会を設けて欲しい。
19討議されている内容は、皆んな賛成と思う。しかし、具体性に乏しい。たとえば官の方向の情報が欲しい。今後、規制をどうするのか、エコロジー化で何を期待しているのか。今でも建設業の人間のただ働きを期待している要素が多い。まるっきり人的な供給を建設省などの官及び外かく団体へできなくなった場合はどうするのか。また、今日のパネラーに役人がいないことははく力に乏しい。
20阻害要因が明確になっていない。方向性はある程度理解。
21官学民の役割分担について、もっと踏み込んだ議論を行って欲しい。公共事業への批判に対する戦略に関するワークショップを開いて欲しい。
22現状の公共事業の発注、入札制度は議論されていたとおりである。新しい技術を提案しても、前例がない。すなわち、会計検査時に問題が有り、発注者側も苦労してまで取り組みたくないという考え方が多いのも確かであります。新技術を取り入れた場合の問題(資料のまとめ方)をクリアして行く事も大切ではないでしょうか?以上から、民間側の新技術の開発が、ハード面に進む理由ではないと思います。
23もう少し配布資料を充実させてほしい。
24大規模シールドトンネル、超超高層ビル等、テーマを決め、官学民でプロジェクト(共同研究)を作れば、波状効果が大きい。また国際的技術力の水準が向上する。土建業者が多数あるので、今後整理統合すべきだ。大手も3社で充分。
25松川氏の日本の事業はオーバースペックとの主張は同感である。国、地方とも金がないことは事実なのだから、コスト縮減に向けた技術開発や、官・民・大学が参画できる仕組みづくりが必要。例えば、どこの企業、どこの大学に、どのような技術があるのか研究がなされているのかといった情報提供が必要。
26組織の代表というのでなく、個人としての発言であれば、いま少し活発な意見交換となったのではなかろうか。若手(20〜30代の)のパネリスト、若手の意見が聞けたらよかったと思う。外国人、発注者、消費者、土木・建築以外の立場からのパネラー(決してその組織の代表としてではなく)もいらっしゃれば、議論も深まったのではないかと感じた。
27官・民の役割について 官、特に土研などは、直轄の事務所と連携することにより、フィールドも充分に用意されており、基礎的な研究を進めていくこと、実際の活用についてのデータを得ることも可能であり、役割の重要性をあらためて感じました。
28新技術の開発として、これまでの認識が間違っていたと思います。ひとつは目的です。目的の中に時間理論があることを理解。また、性能発注に対する公的な保証、評価が必要だ。これら、私としては新しい知見を伺いました。対価の問題については、答えは出ませんが、個々の立場で、実証追求していかなければならないと思います。
29各パネラーの提案をシンプルにまとめ、各方面への運動論を展開してはどうか(ほとんどの方向が示されているように思う)。上記の提案に近い、既に実施されている先進例を全国からリストアップし、例示する。多くのことが実施できる時代となっているので、運動論の展開が重要。
30建設業のイメージアップを図ることが第一であろう。建設業が国民の財産(インフラ施設等)を造り、維持していくことをもっとアピールすべきである。そのことが定着すると、技術開発に対する考え方ももっと前向きになるのではないだろうか(すなわちお金を出してもらえる)
31土木建築の研究が低下しているとの話であるが、思い切った新製品開発へ目を向ける(今までは失敗がこわくてやれなかったテーマ)。例えば100年住宅。
32新技術の開発・促進戦略というテーマで、著名な先生方の考え方を聞き、大変参考になりました。民間のゼネコンのパネラーの方の発表は具体的で有意義でした。研究開発費用が削減の方向(現在の民間コストパフォーマンスの為、仕方ないというものの)にあるという事で、欧米の競争力に益々負けてしまうのではないかと危機を感じる次第です。
33開発途上国への技術移転が一段落し、特にアジア諸国について言えば、力をつけてきている。日本はこの国々と同じ高さにいるところでは競争力がない。コスト削減(人件費等)で対抗するしかないのか。日本人が苦手とされる創造性と独創性を養い勝負すべきだと思うが。
34新技術の開発には大学、民間企業が互いに知識を提供しあう必要があるというセッションであったが、根本的に見てみると、大学は文部省、民間は建設省と通産,運輸の管轄下にある。まずやるべきことは、省庁の統一の意見の下で「新技術開発」というプロジェクトを策定すべきではないか。
35非常に有意義なワークショップである。今後の継続、発展が望まれる。国(建設省他)、自治体の積極的な参加が望まれる。税を使って投資すべき技術開発を国家レベルでビジョン化していきたい。学会他がコーディネーターとなる。ODA、環境も大きいテーマ。
36技術者が腕を振るえるということは、エンジニアとしてのアイデアやジャッジメントが評価されること。そして、エンジニアがリスクを取ることでもあります。経済の世界では、投資に対するハイリスク、ハイリターンは常識ですが、公共事業においては、技術基準により国がすべてのリスク(責任)を取るシステムが(高度経済成長時の必然として)長く続いたので、リスクティキングを過度におそれて避けることを良しとする風土が出来てしまった。これが最大の阻害要因だと思います。→リスクを取りやすくする方策を
37米国人に民間の技研のことを説明すると不思議な顔をし、お金の出所の話になり、Stock Holder's Benefitに反すると言う議論に行きつく。また、民間の研究所の意見の、信頼性(独立性)も考慮する必要がある。
38新技術の開発や活用を阻害している一番の要因は、官の実績主義だと思います。土木分野でも審査証明等公的な評価はありますが、それだけでは採用につながらないのが現状です。官・民共に新技術を使う目的を共通にし、その仕組み(パイロット、フィールド事業)等を有効に活用することが重要であると考えます。
39契約方式等について、世界がどのように行っているか知る機会になってよかったと思いました。最近よく言われているカタカナ用語が多く予備知識(ある程度の水準)がないと、フロアからの意見というものが出づらいのではないかと思います。
40港湾技術研究所で入省時3年、途中2年ほど居ましたが、すでに40年近くなると各室で計画を立案することが多く、大きな方向を変えることが難しいのではないか。今コンサルタントにおりますが、コンサルタントの役割、責任が明確でない。特に新技術の開発のインセンティブがない。
41土木・建築分野において、公・学・民と様々な立場から新技術の開発が進められているが、開発された技術が速やかに活かされる環境作りの必要性を感じた。
42建設産業以外では、研究内容がオープンになっているような気がする。その結果、一層良い技術開発が進められ、受け入れられる製品に反映されている気がする。日本の建設産業における研究開発は、政府や関連機関から積極的に情報発信すべきだ。本ワークショップなども、さらに公開性を高める工夫(TVなど)を事務局に望む。民間の研究機関はないが、研究業務を行っている業務へのサポートがあると良い。国の研究計画(例:土研etc)はさらにオープンにしてほしい。高価な研究機関名鑑(科学技術庁)でないとわからないのもどうかと思います。
43本日のワークショップで大変自分の考えと共感できる点は2点。
1.性能発注による民間主体技術開発の促進。性能発注による技術審査機関の創設(官民双方より)。
2.技術開発プロジェクト(パイロットプロジェクト)の推進を通じて、この閉塞状況を打開できないか。
44技術開発を行う前に、現状技術のレベルを前面に出していけるシステムが必要である。現状では公開することによる問題が大きい。
45建設省の最近の方向性からも、民間の技術開発はプロジェクトに特化したものとなり、1社独自の技術となる傾向。工法協会や学会、協会で共同研究的なものは減るのではないか。そのような環境になって始めてフィービジネスかインセンティブが芽ばえてくる。
46前田さんから今後の仕事が単価契約になるのではないかという話しがあった。東京電力、東京都水道局の維持管理の設計の仕事が一部単価契約で行われている。こういうものがISO9000に載りにくいとか図面の書き方、その他を統一する必要がある。本当にそうならいろいろと考えてみたいと思った。
47日本としての戦略を立て、それを産・官・学の役割分担を明確にした協力体制で取り組むことが必要だと思う。何事も戦略が重要。
48何のための技術開発・促進化の答えは「豊かなインフラ整備のため」であろう。そのためには、本日の議論、特に制度、システムの改革が必要であるが、学会、業界の中だけではなく社会的な議論に早急に持っていかなくては、ゼネコンは悪だ、公共事業は悪だという国民の考えは変わらない。それが一番の急務で、それが国民の理解を得られれば制度の改革、技術開発の方向性は見えてくるのでは。
49技術開発はビジネスとして(フィーも含め)認めることは必要であり、同感である。ソフトアイデアと既存技術とのシステムモデル化などビジネスも出るとしての発展が今後の主流となるだろう。
50これまで新技術の開発目標は、単にコストの縮減、工期短縮ということが目標であったが、これからは、情報、環境保全,福祉など他分野との境界領域も加味した技術戦略を進めていかなければならない。日本における建設分野での研究機関は、官・学・民の三体のよって成り立ているが、頭脳を生かす意味においてもこれからは学の分野での研究の拡充をはからねはならないと考える。そのためには、公共事業費に占める技術開発費用をさらに増やすとともに、それに向けての社会的な合意形成も必要と考える。
51様々な話しを聞くことができ、大変参考となりました.ただし、自分の頭の仲を整理するのに苦慮しています。メモとしてA4版で6枚ほどのボリュウムになってしまいました。今回のワークショップの内容をまとめたものを土木学会ホームページに掲載していただけるのでしょうか?
52各出席者の意見の方向があまりにも発散しすぎであり、ある程度事前にまとめても良かったのではないかと思う。問題提起については、様々な案が出てよかったと思います。次回行うときは理想論よりも、もっと実行に移せるような考えを出したほうが良かったのではないか。5分内で発表者の方が発表できる内容になっていないので、もっと時間を長く(4hくらい)すべきでは。
53学術研究機関等が基礎的研究、ゼネコンや企業が、もっと形になる研究というのが一般的な考えのようだが、基礎研究だけでは成立しにくい。結果として、大きな目で見た貴重な研究リソースが分断されてしますので、あまりにも明確な線引きは避けるべきだと思う。Payするしないのもんだいは、アイデア〜初期検討まではコストとは比較的無関係にできる機関をつくり、行政からも補助を出すなどしてはどうか。その中でpayで着そうなものを企業で研究するのも一つの手だと思う。
54日本の建築業のシステムを、もっと評価しても良いと思う。ただし、ドンブリ感情は透明性がなく、社会に受け入れられないのでフィーシステムの導入には賛成である。ワークショップを開催したと言う実績づくりが目的になっているようにも思える。もっと少人数で行ってよいと感じた。パネラーの方へワークショップの趣旨と進め方がうまく伝わっていなかったように思える。國島先生と松川先生の発言は完結であってよかった。
55国と民間で行うべき事を明確にするとともに,一体となった取り組みや研究を推進することが重要と考える。当社でも新技術の開発推進展開を行っているところであるが、プロジェクトに実施していくものと、長期的な戦略の基実施していくものとを明確にしていく必要があり、その意味でも今回の議論は興味深いものであった。
56技術開発の方向性がどのようなものか、統一見解がはっきりしなかったようには思うが、多くの意見が聞けて大変参考になった。公共投資増額への働きかけをどうするのか、具体的に聞きたかった。
57性能設計について、その評価を発注側が正当にできるか疑問がある。例えば単純化された構造提案に対し価格を下げる等(人情として理解できるが)公正な評価機関が必要と思う。このままコストダウンをつきつめると、民は米国的なブローカーになりかねない、feeのシステム導入等により技術者の確保を図らなければ研開費は益々減少。
58様々なご意見を聴き、大変参考になりました.研究開発について官・民(学)の役割分担の課題があったが、パネリストに官側の代表がいないのが残念であった。建設省、土研の「行司論」との兼ね合いが議論のマトとなる。
59運輸省、建設省の科学技術予算が極めて少ないことに土木界全体でその原因を考える必要がある。科学技術会議の議員において、交通技術、建設技術に対する認識や評価が非常に低いことに憂慮している。公共事業が「在来型」とやゆされているため、そのベースになる技術についても在来的であって新技術はあまりないと思われているのかもしれない。行革により、総合科学技術会議が創設されるが、それに対応し、総合的な技術開発プログラムを作成すべきではないかと思う。そのプログラム達成のためのロビー活動を産を中心に各方面にする必要がある。
60新技術を用いた正当なフィー、利益を得る仕組みが日本ではまだまだ不十分。時間短縮であってもコスト削減や価値を生み出していることがあるが、評価されていない。徐々に変化して改善されていると思うが,これから少しずつ着実に進めていく必要がある。本日の議論では具体的な戦略としては多少物足りない。海外を含め、成功例を探して分析してみてはどうか。
61日本の建設産業(官民含めて)が非常に特異な社会であるということをあらためて認識した。個人の生き方という非常にBASICなところから始め、何に価値を見出していくか、国家に対して本当に利益になるのかという観点から、お金の使い方を考えていくことが先ず基本になると思います。(ヨーロッパ、米国はこのあたりから日本と異なっている)
62環境技術、創造型技術を含め、目の前の技術をいかに開発していくか改めて考えさせられた。
63国際的に見て、日本の建設技術レベルが遅れているとは私自身思いませんが、現在の建設業界におかれた環境が、新しい技術が取り入れにくい状況にあるのは事実かと思います。私自身勉強不足でありますが、土木学会の建設マネジメント委員会の中で同じようなテーマで活動していますが、よく議論されるのが、新しい技術に対する評価手法や、その技術を採用するにあたっての責任のあり方が問題になると思います。仕組みとしては、性能発注、デザインビルド、VE等いろいろなシステムが考えられると思いますが、一般的に認められるような評価手法や責任分担の仕組みが難しいと考えます。産・官・学の立場でそれぞれおかれた環境が異なります。技術開発についてはそれぞれに見合ったすみ分けが行われる中で実施すべきと考えます。
64国際競争力をあげるにはコストダウンが必要であるが,本日の話しでは、いわゆる性能規定の考え方が捻出できるエンジニアリング能力の養成が重要であることがわかった。その場合は、やはり米国式のブローカー型にならざるを得ないと感じた。国内で高付加の価値に対して費用を払うクライアントがいる限り、技術開発は続行していけるし、日本の風土、災害が起きやすい国では無くなりはしないと思う。技術開発がビジネスにつながれば良いと思うし、真剣に考えるならば、フィーに関係なく環境関連の技術開発は必要と思われた。誰もが異論なしと感じた。
65プロパテント政策が推進されつつあり、技術開発分野における知的所有権の役割およびその機能に対する議論が最近増えてきています。本日のパネラーの方々の中にもパテントについて言及された方もいましたが、この観点からの議論は不十分だったように思います。ベンチャービジネス、TLO(Technology Licenseing Organization)、大学の独立法人化等々の動向の中で、技術開発のB/Cを高めるためにも他組織あるいは国家機関との協力は不可避と感じていますが、技術開発全般の機能再編も含めた議論が必要で、かなり大きなテーマと思います。特許等の活用という観点からもう一歩踏み込んだ議論を期待します。
66入札・契約制度が大幅に変革されてきているとはいいながら、新技術の開発・促進という切り口でみると、実態は旧態依然のように思います。例えばVE提案、cost縮減策等、提案制度は確かに一般化しつつありますが、その(提案の)秀れた者(業者)が受注するかというと必ずしもそうとはいえない(評価のあり方、業界調整)。それは求められている技術が、それ程大それたものでなく従来の技術の中での工夫などで対応できるものが大半だからだと考えられます。いずれにせよ、もっと新技術開発者、提案者へのインセンティブを手厚くしないとカベにぶつかることになるように思います。
67新技術・新開発は日本において実績等が無いためビジネスになりにくいとのご意見がありましたが(費用等の評価面にて)、現在までも常に新技術が生まれとおり、適切な評価機関が必要と思われました。たとえば、日本建築センターでの評定、評価機関のごときもの
682010年に公共事業費の1/2が更新費・維持管理に要するとの意見があった。新技術の開発も重要であるが、既存の構造物のロングランの対策・研究も大事だと思う。特に建築構造物の外壁の中性化の対策についての研究は進んでいるのでしょうか。
69 (何故新技術の開発を促進するのか)
→(前提:建設投資が21世紀には減少する)
→(対応:1. 600〜700万人の建設就労者を養うため、建設原価を縮減し分配できる部会を確保(受け皿となる必要がなくなるまで)。2. 長寿命構造物を作り、維持費、管理費を減少する。そして新規建設費の減少をくいとめる。3. 海外進出で総額を確保する。4. 新分野へ進出(高齢化社会対応、地球・宇宙環境保全)。
→(必要な技術:1.ハード志向からソフト志向が必要(画期的なハードは望み薄?)。2.ハードの中心が今は行程に向いているが、投資が減れば資本の回転率が今ほど必要とされなくなる可能性大?)。
→(組み合わせ技術:1.意識変更(国際化に対応)。2.システム化(設計、施工、登記の利点、欠点を補う一貫システム)
70パネラーの皆さんからのご意見やご提案、大変興味深く拝聴させて頂きました。以下に本日の感想等を述べさせていただきます。本日のご意見の多くが、技術開発において官が負うべき役割の大きさ、期待について言及されていましたが、パネラーに官側の研究者・技術者がいなかったこと、またフロアからこれに関するご意見が出なかったのが残念でした。公共事業を主体とする土木分野において、技術開発を阻害する様々な要因が指摘されていましたが、実務面では、公共事業であるが故の会計法の制約や会計検査制度の問題が非常に大きいと思います。国税を執行する以上、会計検査の必要性を否定するものではありませんが、会計検査をクリアするための前例主義の横行は、技術開発の導入インセンティブを大きく阻害するものであり、妥当性や合理性等の検査基準、評価基準を見直す必要があります。競争原理にさらすことで、事業の妥当性や合理性がある事業については、顧客満足度(CS)を評価・判断の基準とすべきと思います。今後の技術開発の官民分担について、ハード:官、ソフト:民という役割分担は肯ける提案です。これから我が国が技術立国を目標とするのであれば、コスト・工期削減を可能にするハード技術と高付加価値による競争力を維持するソフト技術のコンビネーションが重要で、インフラたるべきハード技術者は官が、各企業のアイデアが生きるソフト技術は民が受け持ち、相互に重複することなく補完しながら効率的にポテンシャルを高める工夫が必要です。明治維新後の我が国が教育というインフラを整備することで国力を向上維持したことを振り返るべきでしょう。今回はあまりに短時間で、皆さんの意見を聞く時間がなく残念でした。次回を期待します。
71まず感想ですが、パネリスト各人の発表については、さまざまな視点からテーマを捉え、原因からその対策、そして提案と興味わくものでした。しかし、あまりにもサブテーマの方向が違うため、「本題に結びつけるためにはどうしたらよいか?」ということに対してまとまりがなかったように感じます。またパネリストに官庁がいないこと、コンサルタントがいないこと、ゼネコンが4社もいたこと等バランスにかけていたと思います。新技術を開発・促進させるためには、(ハード面ではありますが、しかしソフトの面でもいえると思いますが)やはり官側の姿勢次第だと思います。実際、日本道路公団でやっている第二東名・名神高速道路等は、過去の同程度のものと比べ、大幅な工期短縮をしています。そしてそのために開発された技術は多く、また公団側もその採用に積極的でした。ゼネコンも昨今の経営状態から、基礎的分野への開発には消極的ですし、儲からなければやりたくないという姿勢は今まで以上に強くなってくると思います。そのような中では、官側が「あめとむち」を用いて、より効果的にお金を使うことが必要と思います。
72日本における社会資本整備は生活環境の改善、向上のためにはまだまだ必要とされているが、公共投資の将来展望は事業費の編減は否めない。また、今までに開発された技術の蓄積と技術開発への意欲は日本には多くあり、世界的に見ても実力と潜在力を持っていると考えられる。コスト編減をはじめ、社会的問題を解決していくには、従来に無い独創的なアイデアが必要で、それを実用化していくプロセスも必要である。そのため、社会的には少ないコストで大きな成果を上げるため、産学官各々の得意な分野、強みを互いに出し合える環境作りが必要である。具体的には、官としては新技術を開発するための予算措置の拡充(官の研究機関、民の研究機関への補助金、大学への研究委託等)とパイロット事業での実証を評価、優れた技術の採用システムの構築と、その対価の提供、民は建設管理を含めた設計施工管理技術の提案と実践、学は独創的なアイデアを初めとした技術開発の提案や評価支援と技術の体系、学問化等に力を入れる環境づくりをし、国内外へ貢献していくのがよい。

©Japan Society of Civil Engineers