巨大地震災害への対応検討特別委員会

委員長 濱田政則(早稲田大学教授)

委員長 濱田政則(早稲田大学教授)

巨大地震災害への対応検討特別委員会報告書

2006.3

土木学会・日本建築学会 巨大地震対応共同研究連絡会提言書

Last Updated:2007/06/01


 中央防災会議の専門調査会は平成15年4月に「東海地震対策大網」を, さらに同年12月には東南海地震, 南海地震に対する防災対策推進地域を設定した.専門調査会の報告によれば, これらのプレート境界の巨大地震では阪神淡路大震災を上回る強烈な地震動が広域に亘って発生し, 住宅, 公共建物, 道路, 鉄道施設, 各種ライフラインシステム, 臨海コンビナート施設等に甚大な被害が発生すること, および津波により広範な沿岸地域に被害が拡大することが予想されている.このため, 既存構造物と施設の耐震診断と耐震補強を早急に実施し, さらに発災後の応急対策と復旧・復興対策を速やかに策定することが求められている.
 東海地震, 東南海地震および南海地震と並んで首都圏直下地震や日本海溝, 千鳥海溝周辺の巨大地震の危険性も指摘され, これらの地震に対しても中央防災会議の専門調査会を中心に被害想定および対策の検討が進められている.
 土木学会は平成7年の阪神淡路大震災に際し, 被害調査と報告会の開催および報告書の刊行, さらに耐震基準と耐震補強など土木構造物の耐震性向上のための基本方針を提言としてまとめ, 地震防災性に優れた社会基盤建設のための貢献を積極的に行って来た.特に土木学会が提唱した「2段階耐震設計法」と「性能規定型耐震設計法」は国の防災基本計画(平成7年7月)にも採用され, 地震後の耐震設計と耐震補強の基本方針となった.
 本特別委員会は, 阪神淡路大震災に際し土木学会が行った活動の経験を踏まえ, 東海地震などの巨大地震災害に対して土木学会が取るべき対応と社会に対して果すべき役割について検討し, これを速やかに実施に移す方策を検討することを目的としている.