Civil Engineering Design Prize 2001, JSCE
Civil Engineering Design Grand Prize 2001, JSCE
中央線東京駅付近高架橋
所在地:東京都千代田区丸の内1丁目9番1号 地図
氏名
所属
役割
八巻一幸
東日本旅客鉄道株式会社東京工事事務所中央課長 全体施工計画、
部外協議
篠原 修
東京大学教授 コンセプト形成、
意匠形成
守屋弓男
株式会社MIA建築デザイン研究所代表取締役所長 コンセプト提案、
意匠提案
山本卓朗
東日本旅客鉄道株式会社東京工事事務所所長 事業発注、
基本構想
石橋忠良
東日本旅客鉄道株式会社東京工事事務所工事管理室長 構造計画、
設計管理
・時代が求めるデザインではなく場所が求めるデザインを重視したい。丸の内という場所は日本の顔であり、歴代の風格あふれる駅や丸ビルなど、一見単調にしてデザインにこだわった古典、レトロ、モダンの建造物が並ぶ所である。そこでこの高架橋デザインは古典と現代の並立、高架下の圧迫感・陰湿感の緩和、軽度の装飾性による親しみ感と単調感の緩和、アーチのリズム感の心地よさなど、重たいコンクリートの桁を軽快にし、桁不空間を明るく仕上げている。非対称の構造物を左右非対称のままに橋脚の表面素材感まで変えて納める工夫は念入りだ。見方を変えればこり過きか周囲に気配り過剰。道をまたぐ2橋の違いの必要性、装飾の必然性、駅の屋根色と合わせた柱の色の妥当性など意見の分かれるところであろう。とまれデザイン的、技術的に難しい場所で、この高架橋と桁下空間デザインは細やかな配慮と複雑な条件の錯綜を巧みにこなしていると評価できる。(北村)

・都市内の鉄道高架橋に対するイメージを一変させる意欲的なデザインである。都市内の鉄道高架橋は河川や海に架ける橋とは異なった種類の多くの制約条件がある。本橋の場合も、国道、都道、区道の上空を縦断占有し、高架下には店舗が入り、しかも電車を止めずに施工せねばならなかったとされる。よほどしっかりとしたコンセプトを提示しなければ条件の調整すらできなかったものと思われる。都市側を緑青色の円形鋼管柱、鉄道側をコンクリート柱の非対称にし、中間梁をなくした橋脚は、構造物と歩道との軸線のズレを視覚的に解消するのに役だっているだけでなく、都市空間と鉄道空間の融合に大きく寄与している。高い桁位置とも相まって薄暗いイメージの高架橋は、都市に求められる質を有する施設へと変貌を遂げている。東京駅の近くという特殊性のゆえに整備できたということのないように、このような整備を次々と展開して貰いたいものである。(杉山)

・東京駅の丸の内側は、辰野金吾設計のレンガ造り駅舎のファサードと、それに続くレンガアーチの高架橋が特徴ある雰囲気を作り出している。これに沿う歩道は、高架下に入る店舗や歩行者にとっては、都市のプロムナードとしても重要な機能を有しているが、このような場所に鉄道高架橋をオーバーラップして作るという命題に対して、それに相応しい空間を作り出すためにねばり強い努力を重ね、よくそれを実現したと思う。関係者の苦労がしのばれる。従来、荷重の厳しい鉄道高架は、得てして無粋な脚柱の林立となりがちで、それをべ一スにデザイン的配慮を重ねても自ずと限界があったと思うが、ここでは関係機関のセクショナリズムから来る制約条件の多さと難しさが、かえって事業者にある種の覚悟(制度的、コスト的、技術的、等)を促し、結果的にこのようなユニークな空間を生み出したと見るのは、いささかうがち過きか。(田村)
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