Civil Engineering Design Prize 2001, JSCE
Civil Engineering Design Grand Prize 2001, JSCE
志賀ルート -自然と共生する道づくり-
所在地:長野県下高井郡山ノ内町志賀高原 
氏名
所属
役割
高松 治
大日本コンサルタント株式会社環境景観事業部環境事業推進室主幹 道路計画コンセプト立案、環境アセスメント手法の企画提案及び調査・予測.評価の実施、設計に係る環境配慮の全体計画及び詳細検討
長田一己
大日本コンサルタント株式会社東京事業部技術2部次長 道路概略・予備・詳細設計、自然公園法森林法等に係る設計対応及び調整
高楊裕幸
大日本コンサルタント株式会社技術本部高度業務推進室主幹 橋梁基本コンセプト立案、十二沢ループ橋の詳細デザイン検討
山本教雄
[故人]
元志賀高原野外博物館代表 環境に配慮した設計・施工に関する総合的アドバイス
依田勝雄
現長野県中野建設事務所所長 予算措置・事業発注、設計・施工管理、関係機関との交渉・調整、住民説明
・志賀ルート整備においては、冬季オリンピック会場へのアクセスの道路線形、温泉とスキーの国際高原リゾート地における観光道路としての快適性と探勝性、国立公園特別地域における野生生物・水源保全の諸点において改善されなければならない。自然景観の中での路線計画では野生生物と自然景観への配慮はあたりまえの時代になった。路線計画のトンネルと橋梁使用は原則であり、動物の横断対策と土工の自然復元に技術が求められる。動物横断対策は不十分さが残るが、植生復元は高冷地なから表土保全と移植の効果が見られる。橋梁のデザインはエレガントさを欠くが表面処理や明度低下効果はある。のり画は現場発生の巨石を空積みにしたよう壁が景観、植生共になじんで良好だ。トンネル坑口は従来型も混在するが自然的で成功している。総合的に見ると走りやすい道路となり、景観、野生生物配慮などの点で難しい課題をこなし、技術的に成功したと評価できる。(北村)
・道路のデザインの評価は難しい。一つにはいい道路というのは、それ自体がほとんど意識されないものだからである。さて志賀ルートの価値は生態系に対する配慮がもちろん大きいが、動植物に疎い私は、あくまで走行者の眺めに訴えるものについて言及したい。まず巨石積みの擁壁との間から自力で生えてきた草木は目に嬉しい。その分、改良前からあったものも含めて数としてはかなりに昇るコンクリート擁壁は、目に障る。しかしこのおかげで巨石積みの有難さがわかるのは皮肉なものだ。橋梁については、かなりマニヤックな目になってしまうが、フェイシアラインが橋台にも通じていたり、壁高欄の高さが抑えられていたり、という丁寧な仕事振りに頬が緩む。トンネルの坑口は記憶に残らない。このような地道でまじめな仕事が当該区間に貫かれており、手抜きやこれ見よがしなところがない。多分一般の人には、志賀高原の美しい風景やスキーの思い出だけが残る道路になっているだろう。これは土木のいい仕事だと思う。(佐々木)
・道路の視覚資源としては,道路からの見え(View from the road)と道路の見え(View of the road)の二つの側面があり,景観設計ではこの両者を制御・操作し,安全で快適な道路を形成することになる。道路の見えにとって自然との共生は,ことに山林を通過する道路にとっては重要な課題である。本道路では,原生自然の基盤となる水源への影響を回避するルート選定を行うと共に,極力地山に沿った縦断勾配を用いて地形の改変を少なくしている。擁壁やのり面が現れる箇所でも,工事中現地で掘り起こされる巨石を空積みする擁壁や,表土を採取・保管し,これを新設のり面に復元するという丁寧な方法を採ることにより,自然との共生を図っている。ルート内にある3つの長大橋梁と3つのトンネルも,自然に対して突出しないよう抑制の効いたデザインとなっている。山林を通過する道路の景観設計の一つの手本となりうるものであろう。(杉山)
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