Civil Engineering Design Prize 2001, JSCE
Civil Engineering Design Grand Prize 2001, JSCE
牛深ハイヤ大橋
所在地:熊本県牛深市牛深町崎町地内 地図
氏名
所属
役割
岡部憲明
元レンゾ・ピアノ・ビルディング・ワークショップ・ジャパン代表、
現岡部憲明アーキテクチャーネットワーク代表
プロジェクトリーダー/基本設計・詳細設計
レンゾ・ピアノ
レンゾ・ピアノ・ビルディング・ワークショップ主宰 プロジェクトリーダー/基本設計・詳細設計
ピーター・ライス〔故人〕
ARUP 基本設計・詳細設計
伊藤整一
元株式会社マエダ 基本設計・詳細設計
・「坊主憎けりゃ袈裟まで憎い」でもなく、「愛は屋上の烏に及ぶ」でもない。牛深ハイヤ大橋の最優秀賞受賞はひとつの問題提起である。この橋は、「湾に浮かぶ一本の線」というコンセプトを文字通り実現した。しかもそれがどこから見ても同じ無表情な線ではなく、見る角度と距離、時間によって表情を変える、巧妙な仕掛けのある線として。桁橋という最もシンプルで見慣れた構造形式において見たことのない形を生み出した。この事実は土木デザイナーを素直に感動させ、改めて構造デザインの可能性に希望を抱かせる。今回の応募者はここまでしか言及しない。しかし現在は、ループ橋と橋上の信号機、歩車道分離柵の改変が加わっている。これらは当初の魅力を決定的に破壊するものではないが、確実に損なっている。そしてまた、当初からあった橋の必要性への疑問はいや増している。これら諸々の事実を含めて「土木デザインとは何か」を考えるために、はるばる現地に足を運ぶべき価値のある作品である。(佐々木)

・本橋は、車道部に底面が曲面になった箱桁、歩道部はブラケットで支える構造となっている。底面の曲面はリズミカルなブラケットの連続と相まって桁高を低く見せるのに成功している。ループ橋のデザインが本橋と異なる点は気になるが、丁寧なつくりとなっている。ループ橋との接合部では桁幅が広くなっているが、曲面を扁平させて対応するなど苦労の跡が伺える。本橋の最大の特徴は、遠くからもよく見え、印象的な風除板を用いたことであろう。これが、風洞実験後の後対策として設置されたものでないことは、その素晴らしいディテールから推察できる。風除板自体が精微な形とつくりをしており、高欄とその風除板がブラケットに取り付けられている。歩道板には、その風除板に光を当て、間接照明で歩道を照らすとともに全体として光の帯を形成する照明器具のための小さなブースが成形されている。ディテールの良さとその構成の巧みさに感服する。(杉山)

・照明を兼ねた風除板と歩道ブラケット、半円形断面の主桁に、それぞれ明快な機能を持たせた上で(風の渦巻き現象を避けるために半円形にしたというのは納得しかねるが)、それらを巧みに組み合わせ、洗練された形に仕上げることで、現地の美しい自然景観に溶け込んだ橋を実現している。構造デザインとしても、景観デザインとしても、十分に共感できる。熊本アートポリス構想という良き理解者を得て、コストも含めかなり自由にデザインできたであろうことの有利さを差し引いても、なかなか見事なデザインで、デザイナーの着想の豊かさと才能を感じさせる。しかし、道路屋の眼から見ると陸上部にも代替ルートが考えられそうであり、現地の美しい島と海の景観を壊してまで橋を作る必然性は今一つ実感できない。これは、設計者達の責任ではないが、高い次元で考えれば、このような場所には何も作らないのが最高のデザインであろうなどと考えるのは、へそ曲がりだろうか。(田村)
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