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所在地:栃木県宇都宮市徳次郎町〜日光市清滝桜ケ丘町 地図 事業者:日本道路公団東京支社日光宇都宮道路工事事務所 |
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・もう10数年も前のことである。はじめてこの日光宇都宮道路を通った時、その景観、環境、また走行の快適性は国内の他の高速道路とは全く異なり、強く印象付けられた。殊に、沿道の植栽の豊かさには驚かされ、また眺望、景観に配慮して線形が決められていることも理解でき、通過時間が短く感ぜられたことも良く覚えている。 私は若い頃、アメリカのボルティモアに住み、仕事や買物等でワシントンまで出掛けることが多かったが、アメリカのパークウェイ敷設の初期に造られたワシントン・ボルティモア・パークウェイを利用していつもドライブを楽しんでいた。日光宇都宮道路は、このハイウェイを私に思い出させ、一層楽しいものであった。 その後何度かこの道路を利用しているが、今回の選考を通じて、その陰に、様々な工夫や努力があったことを知り、愛着が一層増すこととなった。(加藤) ・地上での都市間移動で時間短縮のみを重視する世論を不愉快に思っている。鉄道は航空を、道路は鉄道を意識して背伸びする。そんなに急ぎたければ、醜い法面保護工や鬱陶しい防音壁を人目に晒さず、死ぬまで地下で移動できる計画でも構想したらどうだ。地上を移動するということと、美しい山河を経験することとをなぜ重ねあわせないのか。日本の道路なら、設計速度を抑制して細やかな地形を巧みに迂回し、地形と植生を保護しつつ眺望を豊かに展開させることを道路屋の甲斐性だとなぜ思わないのか。外国の風景は賛美し、自国の外国人旅行客数の少なさを気にする割に、根本的なフィードバックは昨今何もやってないではないか、とまあ、憤りは大きいのである。この作品はその意味において救いである。日本人が根っからの開発野蛮人ではないことにほっとする。山懐や既存林を保全する観点から路線計画を突き詰め、道路外からの道路の眺めすら意識して土工や植栽を工夫した。その路上から日光連山が鮮やかに見える。が、これは国立公園内でしかも著名な観光地が絡んだ特例だという声に、また不愉快になるのである。美しく国土におさまる道路をつくることは義務と責任の外なのかこの国では、と。(齋藤) ・この道路は、男体山をはじめとする美しい日光連山が、木々の間に見え隠れし、沿道の木々の新緑や紅葉など、四季折々の美しい自然景観が楽しめる道路として、一般に高い評価を得ている。しかし普段何気なく走る分には、周囲と同化し、特段変わった道路とは感じない人も多い。道路の景観デザインには、名神高速道路以来、様々なとり組みがなされ多様な内容と考え方があるが、周囲の景観や自然と調和し、路面以外は一見そこに何も手を加えていないかの如き様相を呈する道路は、現在の環境デザインのめざす一つの究極の姿かもしれない。この道路も、その一つだと思うが、それを今から30年近く前に追求し実現した先見性と完成度の高さは高く評価できる。日光国立公園とのからみもあり、路線選定時点から施工まで一貫して、全線にわたり景観デザインの配慮がなされ、切盛土のり面、構造物の露出の最小化、緑化、植栽の工夫、表土や生態系の保全などの手法は、今では道路景観マニュアルなどに一般化されている。(田村) |
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