Civil Engineering Design Prize 2003, JSCE
Civil Engineering Design Grand Prize 2003, JSCE
Jingashita Viaduct
所在地:神奈川県横浜市保土ケ谷区川島 地図
事業者:財団法人横浜市道路建設事業団
授賞対象者
氏名
所属
役割
向山辰夫
パシフィックコンサルタンツ[株]交通技術本部構造部 橋梁計画に対するコンセプト形成、基本計画の立案、橋梁形式提案
篠原修
東京大学教授 デザインコンセプト形成、基本計画アドバイス、橋梁設計アドバイス
杉山和雄
千葉大学教授 デザインコンセプト形成、基本計画アドバイス、橋梁設計アドバイス
大野美代子
[株]エムアンドエムデザイン事務所 デザインコンセプト形成、橋梁デザインアイデア提案、意匠デザイン担当
伊東靖
パシフィックコンサルタンツ[株]交通技術本部構造部 橋梁デザイン提案、構造ディテール提案、施工方法提案、詳細設計担当
環状2号線川島地区景観検討委員会
桁下も含めた橋梁及び周辺全体の整備方針の立案
横浜市道路建設事業団工務課
プロジェクトの基本構想立案、検討体制確立、関係機関との調整
講評
・これほど豊かな森が横浜の市街地の近くにあったのかと思われる場所を横切って造られた高架道路の構造物である。できるだけ森を壊さないように努力した計画と工事が行われたことがわかる。構造物は上り線と下り線で分離され、中央分離帯には森にもともと生えていた木が地上からそのまま上下線の間の空間から伸びている。その中央分離帯の空間から地上に光が差し込んで高架下の暗さを和らげている。高架の柱は1本柱とし、基礎も深礎基礎として、森をできるだけ傷めないように施工されている。高架下は遊歩道となっており、柱や桁下は形に配慮がされている。かなり力を入れてデザインされたことが読み取れる。評価対象範囲以外のこれに連なる市街地の高架橋とのあまりの違いが幾分気にかかるが。(石橋)

・大変わかりづらい場所にある上、応募範囲外とみられる路面周辺は拙劣な部分が目立つので、現地では少なからず当惑した。しかし、風致公園である陣ヶ下渓谷にようやく降りたったときには目をみはった。森の中に神木の列を見るような思いだった。美しい橋脚であり、見事な桁裏の仕上がりだった。杉の小幅板を使った型枠工は、円柱の橋脚と船底曲線断面の桁との接合部においてとくに困難を極めたはずだが、丁寧に仕上がっていた。風致公園の構成要素として位置づけるねらいと、構造の選択、施工への情熱がひとつになっていた。渓谷の森への日照をできるだけ確保するために、上下の路線を分離させた計画も−その真価は短日ではわからないが−当面は成功しているように見えた。日射しが森の中に届いているのである。伐採を免れた杉木立が上下線の間隙から顔を出しているので、この森の存在は道路利用者にも認知されるだろう。
 施工時に荒れた地面の処理と植生の回復の行方が楽しみである。最近、めずらしく目の保養になったと、渓谷のとうとうたる水音を聴きながら森の中を散策すると、北陣ヶ下高架橋北端でこの上なく無骨な橋台に行き当たり、これもどうやら応募範囲外のようなのだが、思いきり鼻白んだ。(斎藤)

・こんな優美なコンクリートの造形があるのか、と驚きました。巨大な構造物を支えるたくましさとともに、人を惹き付けるような優しさがあります。丸い柱の上部が朝顔のように開いていて、それがさらに下凸の曲線の路盤と交わっています。三次元的な曲面と曲面が溶け合っているのです。この部分の形の処理が美しい。コンクリートならではの柔らかな造形です。有機的な型枠の制作も、さぞや芸術的な職人技だったでしょう。高架の下に光を入れるため、路面を分割した配慮も好ましい印象を与えます。こうした配慮も加わって、この高架橋はその下に広がる自然と隔絶するのではなく、対話しています。残念なことに、道路側からはこんな造形が支えているとは想像すら出来ません。一方、渓谷の散策路を歩く人からは、森木立の中に突然現れる造形物です。柱の造形は巨大な茸を思わせ、森の自然との違和感がありません。建築空間に現れるようなこういう繊細さが、土木造形の中にも現れ得るという可能性を示したことに賞賛を送りたいと思います。(内藤)
土木学会 | 景観・デザイン委員会 | 研究発表会 | 論文集 | デザイン賞 | デザインワークショップ | 報告書/過去のイベント | 委員会について
(c) 2002-8 土木学会景観・デザイン委員会 テキストおよび画像の無断転用を禁止します
Copyright by Landscape & Design Committee, JSCE. All Rights Reserved.