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所在地:岐阜県大野郡白川村荻町 地図 事業者:白川村役場農務課 |
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・一次選考のために応募図書をはじめて見た時、様々な意味ですばらしい橋だと思った。そこで、二次審査のための現地調査には自ら希望して出かけた。 期待していたとおり、合掌造り集落を含む周辺の環境、景観に溶け込み、また橋の存在が消えていたと言ってよいほど、設計意図が十二分に達成されていた。また、このことは橋上を歩いている時にも橋の存在をあまり意識することなく、川の流れや周辺の景色をより直接的に、身近に楽しむことができるという効果を生み出している。加えて、右岸橋詰の秋葉神社が橋にとりつくに際してやや迂回する位置にあり、橋へのシークエンスに適切な変化が与えられていること、また左岸橋詰の駐車場からは階段を登って始めて橋を捉えることができるようドラマ性も付与され、設計が橋だけに終わらずに周辺との関係にも配慮されていることも秀逸である。(加藤) ・これ程、橋自身の存在よりも風景に透けることに徹した橋は少ない。禁欲的なデザインであり、白川村の自然の風景に溶け込む素朴な橋である。とくに、厳冬期の除雪管理の容易な構造が必要とされたこともあるが、従来の桁橋ではなくPC鋼材をコンクリートで包み込んだ吊床版の採用により、軽快で床版厚さ190mmの薄い橋となった。さらに、高欄のデザインには車道用のガードケーブルが用いられて黒色のプラスチック塗装が施され、支柱も茶色に塗装された。これらのデザインによって、護岸から橋を眺めても、また橋を通る人の眺望に対しても、風景に透けた橋が実現した。また今回の対象は橋であるが、県との調整により周囲の堤防、芝生の河川敷、駐車場の設置など、総合的な川の風景づくりへの視野を持っている。古くから蔦を使った籠渡しのための橋が繰り返し仮設されてきた風景は、現代の構造と素材を持ちながらもその本質はしっかりと引き継がれている。(川崎) ・本橋は世界遺産の指定を受けた飛騨白川郷のほぼ中央に位置し、村落からも新設の駐車場からもよく見える箇所にある。現地へ行って本橋を見ると、「観光客が歩いて渡ることを楽しみ、伝統建造物である合掌造り集落に溶け込み、しかも現代的なおもしろさを表現でき、厳冬期の除雪管理の容易な構造」というデザインのねらいを実感する。本橋は吊床版橋としてはごく普通の形式である。河川構造令では2径間の橋を計画することもできたのであろうが、吊床版橋以外の形式はここでは馴染まないだろうと思わせる「自然さ」を創り出した点を高く評価する。ディテールも手の込んだものというよりはむき出しの素朴さが目につく。その素朴さは合掌造りの村落とは合っているが、他の橋ではおそらく無造作にすぎると感じられるかもしれない。その意味では、合掌造りという造りの思想を現代風に昇華させ、洗練させたディテールの開発があってもよかったと思われる。(杉山) |
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