Civil Engineering Design Prize 2003, JSCE
Civil Engineering Design Grand Prize 2004, JSCE
Chigonokuchi Park, Toyota City
所在地:愛知県豊田市久保町3丁目 地図
事業者:豊田市建設部公園課河川課
授賞対象者
氏名
所属
役割
早川 匡
豊田市都市整備部公園課(当時) 公園計画を立案・地域住民及び関係機関との調整
中根 金偏に孝
児ノ口公園愛護会会長(当時) 計画時より地域住民側として事業へ参加・原風景のイメージを提案
杉山 亘
児ノ口公園愛護会(当時) 現場管理者として新たなイメージを提案・公園の生態的管理手法を確立
成瀬 順次
児ノ口公園愛護会 児ノ口公園を生かしたまちづくりの展開
鈴木 元弘
[株]鈴鍵取締役 公園のコンセプトを提案・施設を設計
児ノ口公園管理協会
設計時よりまちづくりとして事業に参加・現在の原風景を創出した育ての親
バイオフィット研究会
設計コンセプトの提案
豊田市矢作川研究所
工事後の生物生息状況の追跡調査
講評
・「包容力」が高い空間というのがある。それは無限定で、自由に使える空間であり、言ってみれば「なんでもあり」の空間である。
 わが国の都市空間、殊に公共施設(道路、公園、広場、河川敷等)がつくる空間はそれぞれに様々な管理法があり、また安全を優先するあまり、様々なルールに縛られ、自由に使うことは殆ど困難である。一方、人びとは他人や制度に強制されずに、自らの思いに沿って自由に自らの時間を過ごすことで満足を覚える。都市の中にはこのような思いを満たせる空間、「包容力」が高い空間が是非とも必要である。
 児ノ口公園には、遊び方を決めることになる遊具もない。また歩く場所や座る場所を決めることになる園路やベンチもない。あるのは自然と何にでも使える広い広場だけである。人が自由に使えることを許容している空間である。児ノ口公園は市の中心に近い位置に「包容力」が高い空間を造り出すことに成功している。(加藤)

・この公園の魅力は、豊かな緑と生き物の棲む小川にある。遊具や運動施設はない。かつてあった緑と小川を壊して広場と遊具と運動施設をつくった場所が、もう一度もとに戻った。この場所の変化は象徴的である。再生された緑と小川はかつてのそれとまったく異なる意味を持つ。それは「自分達が作り、守り、育てている」という強い自覚を持つ人々を生み、それが地域のプライドとなっていることだ。
 公園の目的は、リクリエーション、環境保全、防災などと教わった。それらの実利的な機能に答える形が常に模索されてきた。しかし人が人らしく生きるに不可欠な意味の価値は、単なる施設の機能では得られない。現代においてその意味をもっともよく、また共有可能な形で体現するものが、人の手による自然なのではないか。
 デザインとは豊かな造形的表現というよりも、その結果生成される時代における意味なのではないか。この場所で起きた出来事をそうしたデザインとして高く評価したい。(佐々木)

・昔遊びの達人だった地域のおじさん達が、今の子供達や近隣の人々のために理想の空間を思いのままに創りこんだ、魅力あふれる公園です。「市民参加」という時代のキーワードにおもねるのではなく、一見ありふれた風景だが私達が懐かしさを感じる風景を丁寧に創り、さらにそれを育てていく仕掛けが市民を軸にしっかりとできあがっています。
 この公園は、様々な面で従来の都市公園の概念を見事なまでに壊してくれました。他のことには使えないゲートボール場や立ち入り禁止の芝生などを幕の内弁当のように詰め込んだだけの空間。限られたエリアに老人会や子ども会が季節の花壇をつくることが市民参加だと言ってすましている行政。
 そんな我が国の都市公園の現状にあって、市民のための公園とはどうあるべきかを考えさせられる作品です。このような計画を実現まで導いた行政の英断に敬意を表します。今後も地域の人々の手でしっかりと守られ育っていくことを期待しています。(樋口)                

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