|
|||||||||||||||||||||||||||
所在地:神奈川県横浜市瀬谷区宮沢 地図 事業者:横浜市下水道局河川設計課(当時) |
|||||||||||||||||||||||||||
|
|||||||||||||||||||||||||||
限られた空間の中で人々の要求を受け入れつつ自然の再生を図ること。これは現代の都市河川整備の命題であり、そのための必要事項はおおよそ明らかとなっている。 都市計画的対応、河道の線形、際の処理、素材の吟味、水循環への配慮、ネーミング、地域住民の参加などなど。その的確で総合的な実践がここにある。しかしそれだけではない。この空間に出会って強く印象付けられるのは、現場管理の情熱とそれによってのみ可能となる造形の質である。原義の通り「適当」に「いい加減」に調整された石や土のおさまりとあしらい。 二百分の一の模型で検討し、二十センチ刻みの等高線で表現したという。さらに設計と施工の同時進行的過程があったはずだ。近代以前には当前であったこのシステムを現代で実践する困難は多くの人が知るところだ。過密な都市におけるアースデザインの秀作であるこの作品が、空間デザインの社会システムに一石を投じていることにも注目したい。(佐々木 葉) いたち川の多自然型川づくりに始まる一連の横浜の川づくりは、いよいよ和泉川で集大成した感がある。いたち川ではコンクリートで固められた川の中に自然の形態に近い低水路と植生が再生された。最初は住民の理解を得られなかったが、生き物が戻り人と川のつながりが戻った。いたち川方式とも呼ばれ、多自然型川づくりの定番となった。いたち川に携わった人たちが、和泉川でその視点を河川周辺の空間に広げた。 効率重視で潤いに欠ける郊外住宅地環境の多い状況のなかで、既存の地形を生かした本作品は、全体を通して懐かしい自然の水辺空間をつくっており、昔の田舎を思い起こさせるようなホッとした気持ちを起こさせる。実見時にも地元の人々が散策したり子供達が遊んでおり、生活のなかに定着していることが感じられた。周辺の斜面林、農地、民地の生け垣等、を取り込んだ自然なランドスケープとしての景観形成は、抵抗感がなく気持ち良い。橋梁、柵、サイン、車止めなども無垢の木が主体として使われており好ましいが、サインの表示や地図に関してはメンテナンスの問題も含め、配慮不足が感じられた。 |
|||||||||||||||||||||||||||
|
|||||||||||||||||||||||||||