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所在地:愛知県豊田市扶桑町、越戸町 地図 事業者:愛知県豊田土木事務所(現・愛知県豊田加茂建設事務所) 豊田市矢作川研究所 |
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いたち水制は多自然型川づくりが始まった初期の作品であり評判を呼んだ。関係者は水制工設置前にスイス・ドイツの近自然河川工法を視察した。そのため、いたち水制は近自然河川工法で用いられる水制とよく似た形をしている。平成12年の東海豪雨では11基の水制のうち2基が破損したが、堤防の侵食まではいたらずより強固な石積み水制として、再びよみがえった。この時に、コンクリート護岸として固めなかったことは、地域の中でこの構造物が支持されていたことを示している。 これは「川のダイナミズム」の再生をコンセプトに、失われた矢作川の原風景を取り戻した計画である。整備当初の水辺は、竹林が生い茂り、人も近寄れぬ状況であったようだ。こうしたネガティブな状況に対して、自然石を用いた水制工により水辺を再生するとともに、「河畔林のあり方」までを含めて計画した点が高く評価された。計画の実施にあたっては、土木技術者と生態学の専門家が共同して参画し、「ひとつの川にひとつの研究所」の名のもとに作業が進められたという。その結果、豊かで重層的な樹林が再生され、水辺の愛護団体が形成されるまでに至っている。こうした専門領域の広がりのなかで計画が推進され、地域に定着していくことが肝要といえよう。今後とも、地域自らの維持管理により、良質な空間が維持されていくことを期待したい。(田中) |
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