標高約1300m の上信越高原国立公園鹿沢園地にある、自然学習のための園地と歩道施設である。園地にはインフォメーションセンターという名の木造の建物もある。
歩道施設は、「清流の小径」と「かえでの小径」のふたつがあるが、「かえでの小径」はもともとの地形に手があまりかけられていないように感じる。一方、「清流の小径」の方が、清流の四河、ジグザグ木道等、手がよくかけられている。木製の構造物は工夫されており、よく出来ている。また、流れの音は良い。一部の自然解説板等、手入れが行き届いていない部分がやや見られる。
天気も良かったので 、二時間以上歩いて、楽しく快適に過ごせた。ただ、その間、誰も歩道施設を歩いている人には出会わなかった。併設されているキャンプ場はほぼ一杯で、よく利用されている。もっと歩道施設に人を引き込むことが出来ないのであろうか?
あまり利用されていないような印象を持ったのが惜しまれるが、自然地形を生かし、よく整備された良い施設である。また、適切に維持管理されている施設である。(猪熊)
鹿沢園地は、清流の小径、かえでの小径、情報ステーション、インフォメーションセンター、キャンプ場、ひろば、休暇村などからなる、国立公園内の園地である。その中の自然学習歩道施設が受賞作品である。国道から園地への細い道路を進むと印象的な歩道橋をくぐる。歩道橋とつながっている全長1.6km の「清流の小径」、少し離れた休暇村の横から抜けていく全長1.4km の「かえでの小径」が今回の対象であり、これらの歩道を歩くと広い園内をほぼ回ることができる。
歩道橋は鉄筋を引っ張り材として用いた世界で初めての吊橋である。桁厚は薄く、色も地味で落ち着いている。上を歩くとゆっくりと揺れ、吊鉄筋によって、ゆったりとたわんだ曲線も面白い。歩道橋を進むとインフォメーションセンターと展望台がある。鉄骨トラスで組んだ展望台のデザインも整った形状をしているが、そこから何を眺めていいのかは判然としない。
自然学習歩道に設けられている木道、木橋(橋台も含め)、東屋、舗装材などいずれの構造物も手を抜かず細部までデザインされている。わたくしが最も感心したのは、歩道の線形とのり面の処理である。自然の地形の中を違和感なく、ごく自然におさめた手腕は秀逸であり一見の価値がある。(島谷)
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