所在地:岐阜県各務原市那加扇平2番地5 地図
事業者:各務原市都市建設部水と緑推進課
氏名 |
所属(当時) |
役割 |
石川幹子 | 慶應義塾大学環境情報学部 | ・公園計画の立案 ・斎場建築との協働体制のマネジメント ・基本計画・設計の立案 ・実施設計および公園工事監理 |
伊東豊雄 | 伊東豊雄建築設計事務所 | ・斎場建築計画、デザイン |
森真 | 各務原市長 | ・市の基本方針としての決定 ・「水と緑の回廊計画」の重点プロジェクトとして採用 ・市民協働の実施 |
各務原市都市建設部水と緑推進課 | ・プロジェクト推進体制の確立 ・設計監理 |
|
慶應義塾大学石川幹子研究室 | ・公園設計全体の設計方針提示 | |
伊東豊雄建築設計事務所 | ・斎場建築の計画・デザイン ・ランドスケープ計画との協働 |
円形の水面には白い屋根が映り込み、建築を取り巻く空間には静寂な空気が流れている。後ろの森の山並みを壊さない建築とそれを映す池の大きさは絶妙である。奥の山際には、市の水源林でもある森から湧きだすせせらぎが池に向かい流れ込んでいる。せせらぎの水際には湿性植物が繁茂し、そよそよと水が流れる音を作り出す。横のベンチに座ると建築と池の向こうに町並みが望める、とても気持ちの良い空間である。
墓地の東側の園路では犬の散歩をする人、ウォーキングをする人に出会う。この先の雑木林につづく山の園路があるため、墓参り以外でも人が日常的に利用しているようだ。
少し残念なのは、斎場のせせらぎの庭につながる出入り口が使用禁止にされていた事。メインエントランスからでは、池を回り込まないといけないので、せせらぎまでは少し遠い。斎場という特別な場所だからこそ、このとても素朴な自然の中で時間を過ごして欲しいと思う。(戸田)
瞑想の森は、過去に受賞した「各務野自然遺産の森」(2010)、「学びの森」(2008)などと並ぶ優れたデザインである。三方を森に囲まれた敷地に、斎場建築、溜め池、園地、墓地、駐車場などの全体が、のびやかに統一されており、癒しとやすらぎを感じさせる「やわらかさ」の構成が優れている。個々を見ると、建築の屋根の柔らかく波打つ曲面、丸いシンプルな池と睡蓮、なだらかな芝生のスロープ、園地のなかの小さな水路と護岸の細かい曲線、車用の管理通路の境界部の曲線などが柔らかい雰囲気を醸し出している。細部では金属の格子や墓地の石柱や擁壁のコンクリートなど自然石や植栽で隠し、人工的なイメージのものをできるだけ自然素材や綠で包み込もうとしている。今は池越しに市街地が遠望されるが、いずれ植栽が育つと見切り効果で閉じられた自然的な空間になる。総じてよく考えられた質の高いデザインであるといえよう。(北村)
墓地の東側の園路では犬の散歩をする人、ウォーキングをする人に出会う。この先の雑木林につづく山の園路があるため、墓参り以外でも人が日常的に利用しているようだ。
少し残念なのは、斎場のせせらぎの庭につながる出入り口が使用禁止にされていた事。メインエントランスからでは、池を回り込まないといけないので、せせらぎまでは少し遠い。斎場という特別な場所だからこそ、このとても素朴な自然の中で時間を過ごして欲しいと思う。(戸田)
瞑想の森は、過去に受賞した「各務野自然遺産の森」(2010)、「学びの森」(2008)などと並ぶ優れたデザインである。三方を森に囲まれた敷地に、斎場建築、溜め池、園地、墓地、駐車場などの全体が、のびやかに統一されており、癒しとやすらぎを感じさせる「やわらかさ」の構成が優れている。個々を見ると、建築の屋根の柔らかく波打つ曲面、丸いシンプルな池と睡蓮、なだらかな芝生のスロープ、園地のなかの小さな水路と護岸の細かい曲線、車用の管理通路の境界部の曲線などが柔らかい雰囲気を醸し出している。細部では金属の格子や墓地の石柱や擁壁のコンクリートなど自然石や植栽で隠し、人工的なイメージのものをできるだけ自然素材や綠で包み込もうとしている。今は池越しに市街地が遠望されるが、いずれ植栽が育つと見切り効果で閉じられた自然的な空間になる。総じてよく考えられた質の高いデザインであるといえよう。(北村)