氏名 |
所属 |
役割 |
篠原 修 | 政策研究大学院大学、GSデザイン会議(当時) GSデザイン会議(現在) |
・整備・設計検討組織の監修 ・整備方針・理念の監修 ・デザインおよびデザイン監理の監修 |
西 慶喜 | 山都町教育委員会生涯学習課 | ・文化的景観価値の整理 ・整備・設計検討組織の構築 ・整備方針・理念形成 |
鬼倉 徳雄 | 九州大学水産実験所 | ・生態学的条件の把握・整理 ・環境保全方針の立案 |
本田 陽一 | 通潤地区土地改良区(当時) ―(現在) |
・地権者及び受益者の意見のとりまとめ |
井上 典子 | 文化庁記念物課(当時) 追手門学院大学社会学部社会学科(現在) |
・文化的景観価値整理の指導 ・整備・設計検討組織構築の指導 ・整備方針・理念形成の指導 |
田中 尚人 | 熊本大学政策創造研究教育センター | ・利活用価値の基礎調査 ・利活用方針の検討・立案 |
福留 脩文 | 株式会社 西日本科学技術研究所(当時) ―(現在) |
・デザイン・工法の検討 ・流水特性調査 ・流水制御方針立案 |
西山 穏 | 株式会社 西日本科学技術研究所 | ・デザイン・工法の決定 ・流水制御方針検討 ・現場におけるデザイン監理 |
松熊 修吾 | 株式会社 西日本科学技術研究所 | ・デザイン・工法の検討 ・詳細設計 ・積算補助 |
山都町教育委員会 | ・事業実施、役場内関係部局の調整 | |
重要文化的景観「通潤用水と白糸台地の棚田景観」保存活用委員会 | ・整備方針・設計検討組織の監修 ・ 整備方針・理念監修 ・ デザインおよびデザイン監理の監修 歴史・生態環境・利活用条件の把握・整理 ・各保全方針の立案 |
|
通潤地区土地改良区 | ・受益者組織の意志決定 ・地権者意見のとりまとめ |
|
株式会社 坂本建設 | ・下井手11号水路の施工方法提案、施工 | |
有限会社 村木建設 | ・下井手12・20号水路の施工方法提案、施工 | |
株式会社 松本建設 | ・下井手13・14・24・25号水路の施工方法提案、施工 | |
株式会社 尾上建設 | ・下井手25号水路の施工方法提案、追加工事施工 | |
株式会社 西日本科学技術研究所 | ・デザイン方針・工法提案 ・詳細設計 ・積算補助 ・現場デザイン監理 |
![](../../img/common/graymark.gif)
![講評](../../img/title_comment.gif)
夏の盛りに現地を訪れ、何よりもそもそもの景観に感じ入った。桃源郷とはかくばかりに農が地形を彩っていた。しかし、いざ「モノ」の実見となると、夏草に覆われて踏み分け道すら見つからぬ現場が山間にばらばらと顔を覗かせているだけで、この仕事がいったい何をなし得たのか、にわかには理解できなかったのである。思うに、この景観を景観たらしめているのは農耕である。農耕の継続を担保するためになすべきこと、それは傷んだ水路の補修と、農作業の足となる軽トラックのための道路整備だった。それらの仕事それ自体によってもともとの景観が損なわれることを食い止めた。これこそがなし得たことだと後になって合点した。この仕事を仕事たらしめたのは、本来、率先して応援すべきはずの農業土木系の事業ではなく、教育委員会だったという事実は意味深長だ。文化的景観の制度が整備されていたことはまことに幸運だった。地元の人々が知恵を絞り、議論しあい、協力体制を築いてなし得たこの仕事は、現代におけるアノニマス・デザインの復興といっていい。(齋藤委員)
9月末、白糸台地の棚田が黄金色に輝いている。複雑に入り組んだ田んぼに水を配分する用水路。地形を読み取る力がすごい。水田を切り開くという開発行為が美しい風景を生む。圧倒される思いがした。
用水路の補修が本事業のメインである。全体を造り替えるのではなく必要なところだけを補修する。素掘り水路がもつ生物の生育機能を維持していくためにコンクリート三面張りにはしない。使用材料は土と石とし、護岸は空石積とする。農業者の負担を軽減するために管理用通路の整備をする。総じてきめ細かい対応がなされており高く評価できる。ただ、水路の河岸が少し崩れているところや漏水が心配に思える場所が見られた。管理用通路は草が繁茂し維持管理が大変だと感じた。近世の技術思想には学ぶところは大きいが、しかし時代的な限界もある。土系舗装など現代の技術を上手に組み合わせていくことをもう少し考えてもよかったのではないかと思った。(吉村委員)
9月末、白糸台地の棚田が黄金色に輝いている。複雑に入り組んだ田んぼに水を配分する用水路。地形を読み取る力がすごい。水田を切り開くという開発行為が美しい風景を生む。圧倒される思いがした。
用水路の補修が本事業のメインである。全体を造り替えるのではなく必要なところだけを補修する。素掘り水路がもつ生物の生育機能を維持していくためにコンクリート三面張りにはしない。使用材料は土と石とし、護岸は空石積とする。農業者の負担を軽減するために管理用通路の整備をする。総じてきめ細かい対応がなされており高く評価できる。ただ、水路の河岸が少し崩れているところや漏水が心配に思える場所が見られた。管理用通路は草が繁茂し維持管理が大変だと感じた。近世の技術思想には学ぶところは大きいが、しかし時代的な限界もある。土系舗装など現代の技術を上手に組み合わせていくことをもう少し考えてもよかったのではないかと思った。(吉村委員)
photo:西山穏
photo:西山穏
photo:田中尚人