クリップメモ 1998年10月号

 

道の駅

 「道路に駅があっても良いのでは」との提案が出たのが1990年.「流れ」中心の道路整備に,「たまり」機能の導入を考慮したタイムリーなアイデア.将来における長距離トリップの増大,高齢者・女性ドライバーの急増予測のなか,山口,岐阜,栃木の各県での市町村主体による実験も踏まえ,平成5年度から建設省は第11次道路整備5か年計画に「道の駅」を推進策として位置づけました.

 同年に登録・案内制度を定め,全国103か所で登録証交付がなされ現在も受付中です.共通コンセプトは,休憩,情報交流,地域連携の機能をもった地域とともにつくる個性豊かなにぎわいの場.つまり,各種の地域振興施設と道路管理者の設置する休憩施設を複合化し,道路利用者と地域を結ぶ社会空間の創出,地域の個性ある振興とサービス向上を図る町の顔作りともいえます.また,道路を軸とした地域間連携・協力の場ともなります.

 「道の駅」は一般道路での車の旅に利便性と心豊かな地域のロマンを賦与してくれます.素通りしては損した気分になります.駐車場,トイレ,案内所,電話施設,交通や天候の情報サービスから安らぎが,住民・歴史・文化・風景・地場産業等から親しみが提供され,「道の駅マップ」のさらなる充実を期待したいものです.(日野裕善)

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スーパー堤防って何?

 人口・資産が高度に集中した大都市地域における河川で,計画規模を上回る洪水により堤防が壊れた場合,低地の市街地は甚大なダメージを受ける恐れがあります.1987年に建設省河川局所管で始まったスーパー(高規格)堤防整備事業は,大都市の洪水による壊滅的被害を未然に防ぎ,かつ水と緑に恵まれた良好な親水空間を創ることを目的としており,次のような特長があります.

@堤防背後の低地(裏のり部を含む)に現堤防天端高さ程度まで盛土して幅広の堤防(幅100〜300

 m)とするため,計画以上の洪水に対しても決壊しません,

A堤防上部は通常の土地利用が可能なように整備するため,背後地の用地買収は必要ありません,

B従来の堤防は,街と河川を区切る高い壁が川辺へのアクセス障害となっていましたが,堤防および

 背後地のレベルをほぼ同一とすることで眺望が開け,親水性が向上します.

 現在,利根川,多摩川,荒川,淀川等全国6か所の大都市河川で整備が行われており,盛土された背後地は公園,レクリエーション施設,住宅,工業用地などに有効利用されています.(小林 真)

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海震って何?

海震というのは地震が発生した時,海底面の震動(縦波)が水中を伝播し,浮体構造物や船舶に衝撃力を与える現象で,しくみはスピーカーの前に置いたガラスコップが震えることに似ています.

その強さは,地震の規模と震源からの距離により変化しますが,水深に関係なく海底地盤と海面ではほぼ等しいことが明らかになっています.

海震の影響を受けた例は数多く報告されていますが,それによると,船舶の乗組員は,「浅瀬や岩などに座礁した」とか「水中で爆発があった」と錯覚してしまうことが多いということです.このほかにも,甲板上にある6トンもの鋼製部品が飛び上がった例なども報告されています.しかし,浮体施設についての現在の基準では,阪神震災クラスの地震であれば活断層の真上でも浮体施設への被害は軽微であると考えられています.なお,詳細な影響については今後の研究が待たれるところです.(小林 真)

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バリアフリーからユニバーサルデザインへ

高齢者や障害者が,安全でかつ円滑に移動できるバリアフリーの考え方が一般的になってきています.

最近,特に話題となっているのが,アメリカで提唱されたユニバーサルデザインという考え方です.

この概念は,高齢者や障害者を物理的な環境によって隔離,疎外することなく,年齢や障害のあるなしにかかわらず,すべての人々が利用できる空間を作り出すことです.特殊な昇降機や施設のように障害者のために作られたものは,一般の人々と障害者等を分離させてしまう点でユニバーサルデザインとはいえません.

(渡部英二)

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