古代の堰−都江堰−
中国(China),古代の堰(ancient weir)都江堰は,中国四川省中部の成都市の近く潅県西方にある古代の水利施設で,紀元前250年頃,奏国蜀群の太守冰父子が大衆を率いて建設したとの記録が残っています.
都江堰は,長江の支川岷江本川に設置された堰(流域面積約2万3千ku)で河川沿いの丘陵を切り開いてつくられた取水口(宝瓶口)へ灌漑用水を導き,成都平原の農耕地を潤し続けた施設です.
当時は,約2千kuの感慨を行ってきましたが,現在でも堰および用水路の改築が行われ,約6千kuの灌漑を行う重要な施設となっています.
今から2千年以上も昔,日本では弥生時代の前期にこのような施設を建設できる力があろうとは,深く敬意を表すしかありません. 建設省 久保田勝
右レールと左レール
鉄道(railway),軌道(track)「線路は続くよ〜,どこまでも〜♪」ふと足元を見ると2本のレールがありますが,さて,どちらが右レールでどちらが左レールでしょうか.鉄道の路線は起点と終点が決まっていて,ある位置を示す場合には「起点を背にして」が大原則です.正解は起点を背にして右側のレールが右レール,反対側のレールが左レールです.海沿いを走る線路では「山側・海側」と呼ばれることもあります.起点を背にしての原則はトンネルの入り口・出口にも適用されています.したがって,起点に近いほうが入口で,反対側が出口です.ですから上り列車は,いつもトンネルの出口から入って入口から出てくるというややこしいことになっています.…以上の定義は鉄道関係者では業務上の知識として不可欠ですが,他の人に話をしてウケるかどうか定かではありませんのでご用心を. (財)鉄道総合技術研究所 高井秀之
みなとの赤い灯台,白い灯台
港(harbor),灯台(lighthouse)灯台は岬や港の入口などに設けられる航路標識の1つです.灯火による標識を出して船に位置を知らせたり,航路を指示したりしています.乗船したフェリーが港に入港するとき,デッキで潮風を受けながら何気なく防波堤先端にある灯台を眺めている人が多いと思いますが,どこの港でも常に沖から岸に向かって右側に赤灯台,左側に白灯台が設置されていることに気がつかれたでしょうか.これにはちゃんとわけがあり,船舶が入港する際,自船が航路上のどの位置関係にいるか昼間でも認識できるよう,船の左舷標示が白色,右舷標示が赤と決められているためで,例えば左舷標識としての白灯台は航路または可航水域の左舷端を示し,その右側が安全に航行できるということになります.ただし,この赤,白は灯台の外壁の色ですが,灯台のシンボルともいえる灯色は左が緑色光,右が赤色光となっています.なにはともあれ,濃霧の中船が静かに航行している時,目の前に突然赤い灯台が現われる光家は何かロマンチックな気がするのは私だけでしょうか. 運輸省 寺内 潔