1. 委員会名称 | : | 材料劣化が生じたコンクリート構造物の構造性能研究小委員会(331委員会) |
2. 提案者 | : | 委員長 下村 匠(長岡技術科学大学) 幹事 宮里心一(金沢工業大学) |
3. 委員会設立の主旨と目的
近年,既設コンクリート構造物の維持管理を対象とした示方書「維持管理編」が創設され,また,新設コンクリート構造物の耐久性を定量的に照査する技術的枠組みが示方書に本格的に導入された。
これらは,コンクリート構造物の劣化や耐久性,維持管理に関する研究の動向に大きなインパクトを与えている。その流れのもと,近い将来,確実に必要とされるのが,材料劣化が生じた構造物の力学性能を定量的に評価する技術である。既設構造物の劣化状況に基づき,その保有性能を評価すること,構造性能(耐荷力やじん性など)の時間的な低下を指標に,構造物の耐久性照査,寿命予測,LCC評価を行うことなどを考えると,材料劣化が生じたコンクリート構造物の構造性能に関する研究は避けて通れない。この種の研究は,これまで,また現在も散見されるが,性能低下の前段階であるコンクリート中の物質移動や化学反応の問題に比べると,圧倒的に研究例が少なく,体系的な取り組みがなされていないのが現状である。
以上の背景をふまえ,本委員会は,コンクリート構造物中の種々の材料劣化(鉄筋腐食をはじめ,腐食ひび割れ,凍害,化学的浸食によるコンクリートの劣化,アルカリ骨材反応による損傷,コンクリートの体積変化に起因した初期応力・初期ひび割れなど)が,部材・構造レベルの力学性能(荷重作用下における変形・破壊性状)に及ぼす影響に焦点を当て,組織的な調査研究活動を行うことを目的とする。この種の問題を研究する工学的意義の認識の共有,問題の体系化,現在の知見と方法論の整理,研究課題の明確化,実質的な研究の推進,今後の研究動向の模索を主たる活動内容とする。これらを通じて,本分野の研究に関する,研究動機の発揚,研究者層の充実,研究レベルの向上を目指す。
|
||
4. 調査研究課題
基本的には,各委員のこれまで・現在・今後の研究と,委員会の活動をリンクさせる方向で,研究課題を設定する。(ただし,本委員会の対象とする「材料劣化が生じた構造物の構造性能」に直接の関連性が薄い課題は取り扱わない。)近年,橋梁の長大化や少数主桁化あるいは断面のコンパクト化等に伴い,板厚の大きな鋼材を使用する機会が増えてきている。そのような厚板部材の現場継手では溶接が用いられる場合が多く,鋼橋の安全性,耐久性,経済性を高める上で,厚板の溶接継手が非常に重要になってきている。
おおむね以下の課題を想定している。
・材料劣化が生じた構造物の構造性能に関する問題の体系化
・材料劣化が構造性能に及ぼす影響に関する実験事実の整理
・構造性能の評価のための,材料劣化のモデル化の検討
・材料劣化を考慮した構造解析法と解析例
・非破壊検査等の既設構造物の劣化状況測定技術と,残存性能評価技術との連結
・補修補強効果のモデル化
・モデルの不確実性を補完する確率論的考え方の導入
|
||
5. 活動方法
最初に全体委員会を1,2回行い,主旨と目的を共有した後,WGを設置する。通常の活動は,WG会合,E-mail等を通じた情報交換,宿泊をともなう全体委員会による集中議論,を柱とする。
活動期間は,活動開始から2年間とする。
|
||
6. 応募方法
本委員会に委員として参加希望の方は,氏名,所属,連絡先を明記のうえ,幹事の宮里心一(金沢工業大学)まで,E-mail(アドレス:miyazato@neptune.kanazawa-it.ac.jp)でご連絡ください。その際,応募理由や抱負を短く添えてください。
|