土木学会誌12月号モニター回答
東京・大阪1時間への挑戦
子供のころ、リニアモーターカーだと、東京−大阪間が、一時間になる聞いたときは、とても驚いたことを覚えている。その頃は、私にとって、東京−大阪間の時間がひどく苦痛だったため一時間というのは、夢のようであった。のぞみで約2時間半になったときもかなり驚いたことを覚えてる。時速200kmという速さも新幹線に乗っていても想像がつかないが、リニアモーターカーの時速500kmだと、窓から見える景色は、どのように見えるのだろうか?リニアモーターカーは、ただ速いという認識しか持っていなかったが、エネルギー問題や地球環境問題の点でも、環境負荷が小さいことなど、みんなの夢を乗せている未来の乗り物だと思う。一日も早い営業運転を望みます。
(徳島大学 田中映子)
これからは環境への負荷を最小限に抑える輸送システムの構築が必要であるため、航空機や乗用車に比べて単位輸送当りのCO2の排出量が極端に少ない鉄道の開発が重要視される事がよく理解できた。同様に新幹線とリニアモーターカーとの比較については記事の中にないようでしたが、実用化レベルまでの開発・改良がまだ必要なことも分かりました。開発に非常に費用と時間がかかっている分すばらしい成果が期待できると思っていますが、のぞみ運賃対航空機運賃も肉薄してきているので、まだ先ではありますが料金の設定が気になる所です。純粋に夢のある21世紀のイメージにふさわしい開発だと思います。あと5年以上かかりそうですが1日も早い完成を望みます。
((株)熊谷組 藤原正明)
鉄道業にその職を置く者として、陸上交通にも拘わらず航空機にも匹敵する速度を叩き出してしまうリニアモーターカー開発には大いなる関心がある。数年前に宮崎実験線を見学させていただいたことがあるが、その軌道は鉄道と言うよりもガイドウェイバスに近い印象を受けた。鉄道発明から引き継がれてきた"レールとまくらぎ"ベースの技術から完全に生まれ変わったのだ、ということを目の当たりにしたのである。
しかし実のところ、本稿にもあるように宮崎実験線に始まり山梨実験線を建設して現在に至るまで、既に20年以上もの長期にわたって開発が続けられていることになる。
子供の頃みた本では「10年後くらいに実用化される」という記事があったように記憶しいるが、既にその「10年後」は過去になってしまった。社会情勢の変化や次々に吹き出す諸問題もあろうが、全く新しいシステムの完成には相当な仕込みが必要ということなのだろう。
また、従来型の新幹線でも300km/h超の営業速度が射程内に入っている以上リニアの営業速度は500km/h以上を目標とせざるを得ないだろう。このレベルではもはやプロペラ航空機の巡航速度に近く、こんなものが地上を"走行"するというのは世界に例を見ないだろう。幸い、山梨実験線ではこれまでのところ良好な試験結果が多く得られているらしく、目標速度が高いことによる技術的なハードルは非常に高いのであろうが、鉄道と航空の技術が融合した新たな鉄道モードが完成されることを期待する。
中央リニア新幹線ルートはこれまで高速交通網からやや外れていた地方にその恩恵をもたらすものであるが、全線建設の為には整備新幹線で論議されている以上の費用が必要になることは必至であろう。このためその整備にはまだ相当の苦難が待ち受けていると考えられる。従来型新幹線よりも高コストになることが確実視されることや、航空会社のシャトル便構想など、取り巻く環境は厳しさを増している。しかし、それでも私は、リニアモーターカーの実用化を期待したい。これは従来の鉄車輪+鉄レールという鉄道の大原則をうち砕く新世代の動力革命ともいえるものであって、未来に向けて鉄道が運輸システムとして生き残って行くための切り札といえるからである。
(東日本旅客鉄道梶@太田正彦)
あまりの速さに驚いた。しかしこれだけ速いからこそ実用化されたときには多くの効果があり、そして、その実用化までの道のりが長いのだと思う。効果が大きい分事故が起こったときの被害は計り知れない。事故が起こってからでは遅い。今のうちに十分に試験をし、あらゆる可能性を考えて開発、改良した上で実用化に踏み切ってほしいと思う。最近JR各社のトンネル劣化が話題になっているが、このリニアモーターカーも実用化されてからも日々安全性に注意を払う必要がある。
経済社会の発展につながり、環境負荷の小さなシステムなどさまざまな利点があるリニアモーターカー。実用化される日がとても待ち遠しい。とても高速で感じが分かりにくいので、実際に早く乗ってみたいと思う。けれども将来、多くの乗り物が高速になってしまうと、窓の外の景色を見ながらゆっくり旅をするというのもなくなりそうで少し寂しい気もする。
(鳥取大学 飯田奈穂)
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