土木学会誌2月号モニター回答
話の広場 内需不足経済下における道路の役割 道路の不人気に答えて
発想の斬新さに驚いた。とともに、道路事業に携わる者として絶大な応援歌を聞いたようで非常にうれしかった。道路を不足商品と見立て、この不足が土地問題、都市問題の元凶とし、また、この解決のためにも地方の道路投資の必要性を訴え、最高の投資効率をもつ物件と賞賛し、ひいては現在の不況脱出に非常に有効と論じる発想に感服した。声の小ささが道路の不人気につながっているなど、事業者としては耳の痛い指摘もうけているが、道路を必要と感じているサイレントマジョリティー(私は大勢いると思っている)が声を大にして議論に加わるようになればと期待している。
(日本道路公団 大築正明)
この記事には正直がっかりしました。いまだにこのような考えの人がいるなんて。こういう考えでいるから、道路行政は理解されないのです。経済のために、道路を作るのは当然のことですが、道路は社会に存在し、社会の中でその役割を果たすのです。記事のような論法で道路を作って受け入れてくれる社会がどこにあるのでしょうか。現場でお客様の声を聞いていれば、到底机上の空論でしかないことが良く分かるでしょう。経済優先の道路建設が現在の公害訴訟等の道路不人気を生み出しているのです。国民のコンセンサスを得ずに道路を作れば、反対から工期も延びるし、供用してからも訴訟や沿道対策に結局コストが高くつくのではないでしょうか。誰のお金で、誰のために道路を作るのかよく考えていただきたい。道路は社会と共生してくものなのです。
(首都高速道路公団 福田朋志 )
著者の言わんとすることは分かるが、少し偏りすぎた意見であると思う。道路不足解消が、現不況の打開策であるとまでいうのは言い過ぎではないか。道路投資がいいことずくめのように書かれていましたが、短所もふまえた上でこれだけの効果があるというストーリーであればもっと説得力を持って響いてくるのではないかと思う。
(住友建設(株) 水野克彦)
「クルマ派か公共交通派か」と言われれば間違いなく「公共交通派」と答えてしまう私であるが、この記事を一読して、いい意味でショックを感じた。今の日本の発展を支えた道路整備に対しては当然敬意を表するし、道路整備が「投資効率最高の投資」という記述については納得するところである。ただ、それに対する弊害、特に渋滞問題と環境問題についてもう少し突っ込んだ記述が欲しかった。特に環境問題については、1月の尼崎における国道43号公害訴訟での判決にあるように、自動車の増加が沿道、ひいては地球全体に与える悪影響について、もはや待ったなしの状況にある。渋滞解消により当然大気汚染の度合いは減るし、筆者の論理には納得するところも多いが、供給側からの見方だけではなく、対地球環境、居住環境の点からも道路整備が議論されてもいいと思う。
(地域未来研究所 塩士圭介)
予測が難しく,議論の多い問題について,ほとんど自著だけを引用して議論しているのは,学会誌らしくないように思う.書評でとりあげるか自薦図書の頁を設けて掲載してはどうか.
(大阪府立大学農学部 夏原由博)
経済社会的視点から道路を眺めるという、普段あまりなじみのない内容だけに、非常に興味深く読ませていただきました。不況脱出の手段としてこその道路整備という考え方に新鮮さを感じました。なかなか進まない大都市圏の道路整備に弾みを与えるきっかけとなればと思います。
(建設省土木研究所 林 昌弘)
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