土木学会誌6月号モニター回答
 
事故・災害 都市水害における地下事故二題

文中の"「無用の用」の設備"というところが気になった。 危険意識・危機管理の大切さという風に終っているので、そこが目に付き本文を読み始めた訳であるが、公共施設を計画する立場の者にとっても、施工する立場の者が訓練されている"危険予知の能力"が要求される例としてインパクトが大きかった。 公共施設のユーザーは言うまでもなく一般市民である。この人達が袋のねずみの状態に陥るか否かは、既に施設の計画時点で決定してしまうという恐ろしさを知った思いである。 建設業の災害が多いことから、最近の施工機械・設備は初めからセンサーを装備し、予知された危険を事前に感知して所謂フールプルーフとして動力系統を遮断するシステムを完備することなどによりその防止に努めている。作業通路や足場なども同じ考え方で安全な作業環境が整ってきた実績がある。 読者にとって、同様な考え方の設備・センサーが完成後の公共施設において必要か否かを判定するため、"危険予知の能力"が要求される場面が認識されたと思う。 
 (鹿島建設梶@中込國喜)

 以前、東京ではちょっとした大雨が降るとすぐ川があふれていた印象がある。最近は雨が降っても以前ほど川があふれなくなった気がする。大分治水工事が進んだのだと思うが、川があふれなくても記事のような事故は起こりうる。しかも、水害に遭うのはいつも同じ地区だ。記事の現場も東京では良く水害に遭う地域と記憶している。河川以外の治水も早く解消されるといい。
  (首都高速道路公団 福田朋志) 

 昨年の6月から7月にかけての梅雨末期集中豪雨による都市水害で、東京と福岡のビル地下において、水死者が出たのは記憶に新しい。 本稿は事故の詳細を解説するとともに事故防止対策についても提案している。大都市だけでなく地方都市でも、舗装化の進行で、短時間の大雨で流出雨量が急激に大流量化している。 日本全国の都市で、いつ起きても不思議はない種の事故であろう。また、これからの梅雨時期を控えタイムリーな話題でもあった。 
 (CRC松島研究所 小川真一) 

←戻る