土木学会誌11月号モニター回答
20世紀ニッポン土木のオリジナリティ考 世界に発信する日本の海洋土木技術
「合田式」!大学に入学して以来,モールの応力円,フルード数,マニング式など外国人の名前を冠した専門用語ばかり教わってきた.そんななかで,合田式と聞くだけでなぜかほっとした気持ちになった学部生の頃を思い出した.恐らく世界に通用する成果を日本土木は生みだしたんだというプライドを初めて教えてもらったような気がしたのだろう.大学の講義では単なる知識を教わるだけではなく,このような土木人としてのプライドを形成することも大きな目的の一つであると感じた.
(大阪大学大学院 松村暢彦)
合田式が世界に通用する工学的知見となりえた条件として,1.単に波圧を与えるものではなく実務的な式であった点,2.本質を的確に捉えた式であった点,3.常に海外への情報発信が行われていた点が挙げられていた.1.の設計に耐えうる式であることと,2.の原理原則に忠実な式であることを両方満足することは,当たり前のようでいて意外に難しく思われる.しかし研究の基本原則とも考えられる.また,3.の研究成果を国内にとどまらず,広く世界に知らしめようとする行為は,研究成果を積極的に発表するという活動の延長である.これらを考え合わせると,世界に通用する普遍的な研究成果も極めて基本的なプロセスの積み重ねの上に成り立っていることがよく分かる.自分の研究に対する取り組み方について改めて考えさせられる.
(東京工業大学 渡辺学歩)
このシリーズは毎回、興味深く読んでいる。今回は、波圧の算定式ということで、これまでの施工技術などのオリジナリティとはまた対象が違い、おもしろかった。この式を合田博士が発表されたのが、1973年。それ以後、世界中でこの式が設計に用いられている。1973年というと、自分の年から考えるとかなり昔のような気もするが、土木の歴史から考えれば、そんなに昔のことではない。このように、現代においても、次々と新しい式が提案され、それが実設計に反映されていっているのである。どの分野においても同じであると思うが、まだまだ解明されていないことが多いということであり、研究の重要性を改めて感じた。
(大成建設 古池章紀)
合田博士は,常に実務者を意識していたとのこと。設計のための実務的な式(設計公式)の開発目標をに掲げ,それに向けて着実に研究を進めていく。これは,日ごろから,ゼネコンの研究所に勤務する私が,上司に口がすっぱくなるほど言われていることである。合田博士の足元にも及ばない私であるが,土木の発展に貢献できる研究成果をだしたい・・・。と思う次第である。
(鹿島建設 新保裕美)
大学で海岸工学の講義も担当し,合田公式が優れた設計公式であることを教えているが,今回の説明は,水工学以外を専門とする学会員にもその公式のすばらしさを理解してもらえるのではないかと思う。
前回までの新幹線やシールド工法に続き,世界的に評価されているニッポンの土木が次々と紹介されることを楽しみにしている。
(福山大学 梅田眞三郎)
合田式がすばらしい公式であることは周知のことですが、世界中のマニュアルや教科書に掲載されているとは知りませんでした。
日本でよく使われる理論や公式が世界規模で見た場合にどのくらい通用しているのかを特集で取り上げるとおもしろそうですね。
それと、施工技術に関しても、海外から導入しそれを応用した施工方法はいくつもありますが、ニッポン土木のオリジナル工法が世界で通用しているものがあるのか気になり出しました。
施工方法に関しても特集のようなものができるのでしょうか。
(五洋建設(株) 佐々木広輝)
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