土木学会誌1月号モニター回答
テーマ5 インタビュー 21世紀未来都市を考える

 “21世紀の未来都市の祖型”の特集の全体的なトーンが、欧米を主体とした都市論を展開するのが基調となり、現実の日本の姿を見据えた“どろどろとした”視点が希薄な感じがするのだが、このインタビューは、日本をぐっと意識させる内容で興味深かった。
 土地所有権のごたごたと解決の不明瞭さに関する論議、そして“都市計画は政治家に相手にされない”というコメントはまさになるほどと感ずるところである。
 日本の都市計画(確固たるものが存在するのかどうかはわからないが)とか、インフラ整備計画を見ていると、変に妥協してしまって本来意図された目的が達せられないようなところがあるが、今後は日本固有の問題点を踏まえた強い都市計画が実施されることを望みたい。
(西松建設 林 謙介)

 数年前に新宿南口が再開発され、とてもきれいになりましたが、スロープがないので、小さな子供を連れた親が階段を上り下りするたびに、子供を抱き上げ、ベビーカーを折りたたんでいるのをよく見かけます。また、車椅子を利用している方には利用しづらい空間だろうとも思います。これからは、高齢者等、日本の社会ではあまり声をあげずらい方々の声も汲んで駅を中心としたコミニュティセンターづくりをしていただきたいと思います。
(国際協力事業団 神崎博之)

 伊藤先生のお話により なるほど都市計画の要諦は 総論賛成・各論反対、住民参加、家族の絆であるのかと得心いたしました。日本人の都市計画はやはり日本人の文化・生活に立脚したものであるべきであり それはなにも西欧をまねた町並みの美しさや整然さを追求すべきものでないという感を 一層強くいたしました。
 平易なことばでのお話で、都市計画の門外漢である私にでも大変理解しやすく楽しく読ませていただきました。
(千代田化工建設 清水啓之)

 伊藤先生の主張は独自性の豊かなご意見で、門外漢の私にとっては大変面白く拝聴しました。特に「都市計画問題」を、土地所有権に着目されて論じられたのは、バブル期の東京圏を始めとする土地投機騒ぎに大変苦々しい思いをしたことを記憶していますので、その切り口の鋭さに同感を覚えました。
 しかし、反面から見ると、どうも問題提起や現状批判に終始しているように思われ、未来都市は何を見据えてどう進むべきなのか、またその手始めにどのようなことをどう目指すべきなのかという具体的な提案・提言に乏しいように思われます。できそうもない夢物語の提案ではなく、できること、あるいはどうしてもやらなくてはいけないと信ずる建設的な提案があってこそ、この特集記事の目的と意義にかなうものとなるように思います。
 少し思い上がった意見になって申し訳ございません。
(エイトコンサルタント 石井憲郎)

 都市計画を考える上での新たな視点を身近な例と刺激的、逆説的な意見で紹介されており、非常に興味深く読みました。都市計画において様々な分野に精通しているエキスパートの人材を育て、その存在を社会に認識させることが大事だという意見は、突出した才能を容認しない環境にある日本社会において、その実現は時間がかかり、困難さがつきまとうと思いましたが、21世紀という時間で考えれば、結局それがよい都市づくりの近道かもしれないと考えさせられました。
(国土交通省 河藤千尋)

 この中の「ネバー・イン・マイ・バックヤード」が印象的であった.私も含めて,まさに日本人気質と思った.「これを変えれるか否かが,未来都市成立の鍵」という意見に賛成です.そのためには,ライフスタイルや価値観の変化,特に「赤信号みんなで渡れば怖くない」的な気質の改革が重要だと思う.土木は単に物を創るだけでなく,市民の意識改革も担う必要があると思う.特集にもあるように環境問題などを第一歩として,住民と一緒になって対応することが重要と思う.
(大成建設 伊藤一教)

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