■ ISO対応特別委員会
■ 委員会活動の趣旨
土木関連分野の公共事業は、様々な技術標準(技術基準、示方書等)に基づいて実施されているが、最近、国際標準化機構(ISO)において制定される国際規格(ISO規格)の整備が進むと共に、世界貿易機関(WTO)における「政府調達協定」および「貿易の技術的障害に関する協定(TBT協定)」の発効に伴い、国際規格であるISO規格の事実上の遵守が国際的に求められるようになっている。 そして、ISOにおける規格制定の動向に着目すると、土木分野で使用する資機材に関わる製品規格や試験方法規格にとどまらず、構造物の設計・施工に関わる規格の制定が本格化している。さらに、国際基準(規格)の制定に関しては、その主導権をとり、自らの技術標準(規格)を国際規格に反映させることが、各国の国際戦略であるとの認識もあり、欧州各国は欧州統合後の統一規格(EN)を国際規格化するための活動をISOにおいて積極的に展開している。構造物の設計・施工に関わる規格に関しても土木・建築の構造物全般を網羅する体系的な技術標準(Eurocode)が2003年を目標に試行的な欧州規格から正式な規格への移行が進められており、これらの規格がISOに持ち込まれる可能性も高いものになっている。 このような状況にあって、我が国においても長期的な戦略を持って、ISOに規格を提案するなど、国際規格の制定に対して国際的な技術競争の場であるといった視点から積極的な関与が必要となってきている。しかしながら、従来の我が国の土木関連分野のISO活動は、積極的なものといえる状況になく、さらに、土木分野としての横断的な議論がなされる場が無いなかで、個々の規格の審議に対応している状況である。 以上のような国内外の状況において、我が国で蓄積されている土木分野の技術体系全体の視点から、国際的な技術競争という側面もある国際規格の制定に対して戦略性を持った対応を行うことが急務となっている。 このような背景のもとに、本報告は、土木学会が国際規格(ISO規格)の制定に対して、積極的な対応を行うための基礎として、土木学会が受託し検討を行っているものである。 |